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かつての詩133「HX」

「HX」

515,280分目は夜だ
色鮮やかなイルミネーションを目の当たりにしながら
繁華な街を歩いてみれば
半端な気分でモミの木が欲しくなったりする
だけど僕の部屋には置く場所がなくて
飾りを付けてキャンドルも灯してみたいけど
僕の部屋には派手すぎる

358日目の夜には
コバルトブルーの夜空に星が流れたらいいな
薫らぬ寒さが吹き止んで
涙のように星がひとすじ
雪でも降り出してくれたらどうだろうか
まあ 無い物ねだりは良くないから
せめて今夜を怖がらずに積み重ねよう
確か去年もそう考えてコートの襟を掴んでいたっけ
子供の頃は露知らず

Happy Birthday Jesus!
聖なる夜が更けたら至福の風よ吹きたまえ
全ての悲しみが止まりますようにと願うベルの音は
クランプスの腰の鐘で
箒はひっぱたくもんじゃないし
マフラーは首を絞めるもんじゃないのだ
握り締めた幸せを粉砕してはならない

十二回目の二十四日は
通例の如く街並みが騒がしい
こんなムードのモードに切り替われば
そこかしこに覗き込む発光ダイオードの凍った光と
キャンドルの灯りに溶かされる雪こそが
積み重ねた年月のように素敵なんだとつくづく思うようになる
幸せはゆっくり噛み締めるものだ
ケーキのように突然甘いものじゃない

そうだ 『クリスマスキャロル』は読み返したか?
キャンドルの炎のように灯す想いで
年に一度は世のスクルージたちは後悔しなくちゃいけない
幸せと祈りとは何か?
簡単に破棄した誓いの数だけ幸せの扉をノックして
靴下にプレゼントをねじ込まれたい
Happy Birthday Jesus!
Merry Xmas!
聖なる時に声を掛け
そっと天使の声を聴け
誕生日を祝うのに宗教なんて関係ない
Happy Xmas!

こんな夜だから
優しい誰かのもとで歌が唄えたらいいのに
五線譜に旋律を散りばめて
スピーカーと僕がおどけて愛を唄うんだ
さあ彼方の空に流星を探そう
せめて今夜は貴方の元でささやかに
全ての悲しみが止まりますようにと
グラスを傾け語り合う
上手く話せないかもしれないが


Masanao Kata©️ 2015
Anywhere Zero Publication©️ 2022

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