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万年筆の徒歩旅行

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万年筆くらぶ会誌『フェンテ』に投稿した雑感を順不同で転載するアーカイブ。 万年筆を筆記具より文化的な視点で話そうかと思っています。 マガジンタイトルは、中原中也の詩「自滅」から。
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#文具

その7:万年筆は何処まで書ける?

その7:万年筆は何処まで書ける?

人は一生の中でどれだけの文字を書くのだろうか。
そんな疑問をふと抱いたが、残念ながらさすがにそれには個体差があるし、まして言語や文化等の環境の差も左右するだろう。こればかりは統計の取りようがない話。
では、読み書きの“読み”ではどうだ。
文科省や民間機関の調査を組み合わせて数字を出すところでは、人の一生(10~80歳の期間で)の読書量は平均で約1,950冊ほどだそう。単行本一冊あたりの文字数が約1

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その4:ペンは剣より強し

その4:ペンは剣より強し

「万年筆は男の武器である」と説くのは、池波正太郎の『男の作法』(新潮文庫)だ。
万年筆を男が外へ持ち出す場合、それは刀のような武器であり、若者でも高級なものを持ったほうが立派に見えるし、気持ちとしてもキリッとすると言うのが理由。
日本の武術には、江戸時代初期に夢想権之助勝吉という武芸者が編み出した神道夢想流から始まる杖術というものがある。
日常で使う杖で戦う武術であるが、では同じく日常で用いられる

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