かわかみ まさひろ

会社勤めをリタイアして、東京の多摩地域で悠々自適の日々を送っています。 クラシックギタ…

かわかみ まさひろ

会社勤めをリタイアして、東京の多摩地域で悠々自適の日々を送っています。 クラシックギターを下手の横好きで習っていますが、他方で加藤秀俊先生の「隠居学」を手本にしています。

マガジン

  • 日本の歴史

    日本の歴史に関係した随想をまとめています。大きな事件よりも、時代の移り変わりが準備されていた時期に関心があります。戎光祥出版㈱から発行されている月刊誌「歴史研究」を購読しています。

  • 映画

    どちらかというとマイナーな映画を観た感想をしたためています。ネタバレあり。

  • 世界の歴史

    たいそうなタイトルになりますが、内容は読書感想文のようなものです。文明や民族・国家の盛衰のようなことに関心があります。

  • 隠居学?

    加藤秀俊先生の真似をして、雑学的な散文をものしてやろうという魂胆です。

  • 随想

    本来、エッセイはテーマを伴った試論または論考という意味も持つのに対して、もう少し気楽に見聞や経験をもとに思いついたことを気ままに綴ったものが随筆だと思うのですが、日本でいうエッセイはもっと軽いもののようです。どちらもひっくるめて随想としておきます。

最近の記事

乙巳の変の不思議

乙巳の変とは  乙巳の変(いっしのへん)とは、西暦645年に中大兄皇子(後の天智天皇)と中臣鎌足(後の藤原氏の祖)が首謀して蘇我蝦夷を宮中で誅した事件。私は大化の改新と学校で習ったけれども、この事件に続く大化の改新そのものにいろいろ疑問が出てきたこともあり、蘇我氏宗家を打倒した乙巳の変と、中央集権国家の樹立を目指した政治改革とされる大化の改新を分けて呼ぶようになったように思われる。  中央集権国家を目指す動きは、さらに時代を遡る聖徳太子の時代に始まったように見える。太子が

    • 歌詞和訳 "As time goes by"

       1942年制作のアメリカ映画『カサブランカ』のテーマ曲として知られている曲だけれど、もともとは1931年にハーマン・フップフェルドが、ブロードウェイ・ミュージカル『エブリバディズ・ウェルカム』(Everybody's Welcome)のために作詞・作曲した曲だそうだ。ミュージカルでは、フランシス・ウィリアムズが歌ったが、映画ではドーリー・ウィルソンが歌った。  映画のストーリーは、主人公であるアメリカ人男性のリック(ハンフリー・ボガート)が、パリが陥落する前に理由を告げずに

      • 映画「ドーナツもり」(ネタバレあり)

           アマプラで観た44分の短編映画だが評価は平均4.4と高い。主演した公子役の中澤梓佐さんは容姿や雰囲気が原田美枝子さんに似ている気がしたが存在感を放っている。  ドーナツには、どうして穴が空いているのか、その理由には興味はないけれど、ドーナツの穴を通して見える世界は愛おしいようなことを公子は冒頭に語る。  彼女はイラストレーターの仕事をしているが、必ずしも思うようには評価されない。別れた彼氏はカメラマンで公子とよりを戻したいのか軽薄な感じで、まとわりついてくる。それを、

        • 塩野七生「ギリシャ人の物語」から

           以前、ヘロドトスやトゥキディデスが遺した歴史書を読んだ。それらは貴重な古典だが、われわれ現代の日本人がギリシャの歴史について、教養として識るには塩野七生氏の「ギリシャ人の物語」も有用だと思われる。4分冊となっている新潮文庫版にそって、そのあらましと感想をノートしておく。 1.民主政のはじまり  紀元前5世紀の初め、ギリシャのポリス連合がペルシャの侵略に立ち向かって勝利したペルシャ戦争に多くのページを割いている(前490年マラトンの戦い、前480年サラミスの海戦、前479

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        • 日本の歴史
          5本
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          8本
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          5本
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          19本
        • 隠居学?
          17本
        • 民俗あれこれ
          13本

        記事

          新しい封建制とは?

           最近、気になった本を二冊読んだ。読みながら思ったことなどを記しておきたい。 「新しい封建制がやって来る」ジョエル・コトキン  著者はカリフォルニア大学で都市社会学を研究している人物である。コンピュータと通信技術の発達および並行して進む脱工業化・知識社会化によって、中産階級は没落しプロレタリア化すると同時に富は一握りのエリートに集中する。インテリつまり知識のある教育された人々は、エリートたちが富を独占することを正当化する、中世の聖職者のような役割を担うと世界の経済と社会の

          新しい封建制とは?

          タンメン

           タンメンとは、もやしやキャベツなどの野菜を豚肉と一緒に炒めて、塩味のスープと一緒に煮込み、中華麺に盛り付けて作られる麺料理のこと。その具材は他にも、にんじんや玉ねぎ、にらやきくらげなどがあり、野菜の旨味がよく出たスープになる。  ちなみに、漢字で「湯麺」も「タンメン」と読むけれど、この2つは日本では違う意味になっている。湯麺とは、もともと中華料理の用語で「スープに入った麺」のことを指し、スープ入りの麺料理は全て「湯麺」になる。これに対して茹でた麺を水切りして、上から具材をか

          東京ラーメン

           noteにかつて二郎系ラーメンと横浜家系ラーメンについて書いたことがある。二郎系は東京都港区が、家系は神奈川県横浜市が発祥の地で、どちらも東京で人気があるラーメンの二大ジャンルといっても過言ではない。  ただ、noteでは斜に構えて思うところを述べたのだった。二郎系については流行りだしたのはバブル景気が終わって不景気になってからだということを書いた。家系については、名店の一つの倒産に絡めて少々複雑なお家事情について書いた。  それぞれのジャンルのファンの方にしてみれば、ひね

          Chromebookでkindleを読む

           今年の年始に、kindle paperwhiteを購入した記事を書いたことを思い出しました。趣旨は自宅で使っているPCがChromebookなのだけれど、Chrome OSではkindleの図書を読むためのアプリが動かないのでkindle paperwhiteを購入して快適に読書しているというものでした。  その後、補足せねばならないことがありました。Chrome OS上ではkindle for PCが動作しないし、kindle cloud readerで通常のテキスト書

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          秋の午後(短編映画)

           2016年の神保町映画祭で上映された11分のショートフィルム。監督は高橋秀綱、原案・脚本は渡賀來かっこと高橋秀綱。  黒い喪服を着た美女が白いレジ袋を下げて日本文学専門の古書店を訪れる。祖父の法事に参加した帰りに、祖父が好きだったことを思い出して、秋刀魚を買ったのだが料理がからっきしで、どう料理したらよいのかわからない。  だからといって、料理本を買うために古書店に飛び込んで来た時点で、この女性かなりの天然だが、30代半ばで親戚からはいつ嫁に行くのだとせっつかれているらしい

          秋の午後(短編映画)

          谷保天満宮(東京都国立市の縄文神社?)

          谷保天満宮の由来  東京の天神さま(菅原道真公をお祀りした神社)で有名なのは、湯島天満宮、亀戸天神社と、国立市の谷保天満宮ということになる。その内、最も古いのは、ここ谷保天満宮である。意外かもしれないが、湯島のお宮そのものは古墳時代の雄略天皇の時代の創祀と伝えられるほど古いものの、天神さまが祀られるようになったのは14世紀のことらしく、亀戸は江戸時代の初め頃に創建されたそうだ。  これに対して、谷保天満宮は901年に道真公が太宰府に左遷された折に、三男の道武公が谷保の地に

          谷保天満宮(東京都国立市の縄文神社?)

          二宮神社(東京都あきる野市の縄文神社)

           武藤郁子さんという方が「縄文神社」という著書を世に出されている。知る限り、首都圏篇と関東甲信篇があるのだが首都圏篇の中で、あきる野市の二宮神社を取り上げて絶賛されていた。縄文神社とは武藤さんの造語なのだが、現在まで続いている神社の起源に縄文時代から崇められていた聖域が直結しているに違いないという話なのである。  神社が今のように鳥居と本殿、拝殿という形態を伴って創建されたのは古墳時代以降のことかも知れない。だが、今われわれが見る神社という形態で祀られるよりも先に生活に密着し

          二宮神社(東京都あきる野市の縄文神社)

          "さごち"のたたき

           行きつけの店で"さごち"のたたきをいただいた。なかなか美味しくて、佳い酒肴だった。でも、目の前に出されるまではマゴチやメゴチの仲間の魚が鯵のたたきのように包丁で細かくされて出てくるのかな、と思っていた。味覚も見た目もちょっと想定外ではあった。  "ゴチ"とは言ってもマゴチやメゴチの仲間ではない。どうやら鰆(さわら)の未成魚のことを関西では"さごし"、東京では"さごち"と呼ぶそうだ。たしかに、これは鰆のような味だな、と思った。  なんで、さごしとか、さごちとか言うのか気にな

          練習が苦にならない曲

           去年の4月からフランシスコ・タレガの曲をレッスンで指導いただいている。4月の発表会では、<プレリュード1番>および<エンデチャとオレムス>を弾かせていただいた。どちらも哀愁が漂う美しい小品で、特にエンデチャとオレムスは歌のような曲である。  <ラグリマ>や<アデリータ>はもとより、タレガには美しい小品がたくさんあるのがありがたい。発表会が終わってから、レッスンしていただいているのは<アラビア風綺想曲>で、こちらは少し長い曲になる。タレガと言えばギターを弾かない人にも<アルハ

          練習が苦にならない曲

          雪印乳業集団食中毒事件(リスク・マネジメントと正常性バイアス)

          事件のあらまし  今となっては知らない人もいるだろうが、四半世紀前まで雪印乳業はバターやチーズの他に牛乳と関連製品も製造販売していたのである。ところが、2000年6月に同社の低脂肪乳などを原因とした集団食中毒事件が起きたことで牛乳事業は全農などの支援を受けた新ブランドMEGMILK等に分割され解体することになったのである。被害者は大阪市を中心に1万5千人近くと言われた大きな事件の結末だった。  直接の原因は、大阪の加工工場の工程で黄色ブドウ球菌が繁殖し、その毒素が低脂肪乳

          雪印乳業集団食中毒事件(リスク・マネジメントと正常性バイアス)

          帯状疱疹

           たいした話ではないのだが、5月連休の間に帯状疱疹を発症してしまった。話には聴いていたが、実際に経験してみないと、その痛みはわからない。命に関わる病気ではないにしろ、あまりに痛みが酷いと夜、睡眠をとるにも支障が出てしまう。  ご存じない方もおられるかも知れないが、この病気は子どもの頃に罹患した「水疱瘡」のウイルスが体内に潜んで残り、体調が弱った時などに再び活性化して発疹を生じさせるとともに神経を圧迫し、強い痛みを覚えるものである。  当初は、変に肩が凝るような感覚だったが、し

          稲城のガンダム

           東京都稲城市は神奈川県川崎市と境を接する多摩地域南部の市で人口は約9万人。京王電鉄や小田急電鉄の支線が走るようになり、住宅地として人口が増えてきたが、もともとは梨の産地として知られている土地である。筆者自身は何も縁はない。知人に一人稲城市に住んでいる方がいるくらいのものである。  土地勘もないのだが、以前、南武線が何かの事故で運転を取りやめた時に稲城長沼駅で長い時間停車することになってしまった。仕方ないので、通過するだけで降りたことがない駅の周辺を探索しようと思った。ところ