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実らぬ恋のお話。

私の昔の友人の話です。

もう10年以上前ですが、私はその当時アメリカのフロリダ州に住んでいました。

ホテルで、ダンスなどを見ながら食事できるディナーショーの受付の仕事をしていました。

その当時同僚として一緒に働いていた同い年のアシュリー(仮名)。私たちはまだ20代前半でした。彼女は同じ職場のウェイターのカイル(仮名)に片思いしていました。5歳くらい年上で、背が高くガタイは良くて男らしく、紳士的で優しいし、愚痴も全然言わないし、責任感のある好印象な人でした。

アシュリーからは仕事中もそれ以外でもよく相談されていました。ショーのお客さんのチェックイン前、チェックイン中、ショーの最中、ショーが終わってお客さんが帰る時、仕事後一緒に出かける時、もう四六時中彼女はカイルの事で頭がいっぱいです。何の話をしても必ずカイルの話に落ち着きます笑 

そんなある日、カイルの友達4人がディナーショーに遊びに来ました。アシュリーと私がちょうど2人で受付している時です。カイルが受付のあるフロントまで挨拶に来て、とても嬉しそうです。というより私たちはカイルの友達4人が全員揃いも揃って男前で、やはり類は友を呼ぶって本当だなって感心していました笑

普段はお客さんを席に案内するのは別の人の仕事ですが、カイルの友達という事でアシュリーが席への案内を買って出て、そしてショーが始まりました。

ディナーショーの席は通常通り満席。受付の斜め後ろの方向に席が広がっており、その奥に舞台が見えるのですが、いつもの様に盛り上がっており、やはりフロリダですのでトロピカルなお酒が飛ぶ様に売れている様です。

途中でお客さんを何人か選び舞台でアクティビティーをしてもらうインターアクションがあるのですが、その日はカイルの友達の1人も選ばれていました。舞台の上でも演者と同じくらいかっこいいカイルの友達。やはりさすがだって思っていました。

その後無事ショーも終わり、帰り始めるお客さん達。一度に500人くらい入る大きな会場のため、少し時間がかかります。アシュリーと私は受付からお客さんにあいさつをして見送ります。

やっとほとんどの人が帰った頃、カイルの友達4人はまだカイルと楽しそうに話しています。よほど嬉しかったんでしょうね。自分の職場に家族とか友人が来る時って、特にこういう職種だと照れ臭くも嬉しいもんです。

そして友達4人をお見送りにフロントの方まで一緒に来たカイル。2、3分何か話し、挨拶をしている感じでした。

と、次の瞬間、カイルが、あの舞台に上がったハンサムな友達の唇にキスをしました。

え・・??

アシュリーと私は、顔を見合わせて、一瞬止まりました。

カイルが受付に来ます。めっちゃ笑顔です。

「良いショーだったね。彼らの席への案内ありがとう。楽しんでいたみたい。じゃ、片付けしてくるね!」

めーっちゃ笑顔です。(2回目)

アシュリー撃沈。

あとで職場のカイルと仲の良い人に聞いたら、カイルはゲイで、あの友達もみんなゲイだったそうです。そして言うまでもありませんが、友達の一人はカイルの彼氏です。

でもカイルも含め、みんな見た目は背が高く鍛えていて強そうでカッコイイし俳優さんとかモデルさんの様な容姿です。しかもみんなストレートにしか見えないのが不思議です。普通喋った感じとか態度でこの人そうなのかなって大体分かりますが、カイルは完全ストレートなオーラ出てますからね。友達も同じ様な感じだったし。

ゲイはカッコイイ人が多いってよく言いますが、こんなに揃ってカッコイイ人達は初めて見ました。まるで美男を集めた芸能ユニットかなんかの様です。

こんなアメリカ映画とかドラマでよくありそうな、ザ・失恋話みたいなコメディーが本当に現実にもあるんだって思わされた出来事でした。アシュリーはかなり傷ついていたのでコメディーって言ったら失礼ですね。すみません。でも人は見かけによりませんね。て事で、アシュリーの実らぬ恋のお話でした。




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