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人材アセスメント(人材評価)とは~センター方式のヒューマン・アセスメント(HA)で人材の発見と選抜

1.ヒューマン・アセスメントの由来

現代では、ヒューマン・アセスメントという名称は現代語辞典に収録されるほど広く認知されています。創始者であるブレイ博士は、この手法をアセスメント・センター・メソッドと呼んでいました。しかし、日本での導入と紹介の際に、その内容をより理解しやすくするために、MSCではヒューマン・アセスメントと呼ぶことにしました。当時、アセスメントと言えば、テクノロジー・アセスメントが新聞紙上を賑わせており、混同を避け、人的資源の活用を目的とすることを理解してもらうための和製英語でした。


1992年の国際アセスメント会議には、この技法を活用しているアメリカ、ヨーロッパ、アジアの世界各国から多くの参加者が集まり、その席上でアセスメント・センター・メソッドという名称をアセスメント・メソドロジーに変えようという動議がありました。結局、賛否両倫あり結論は持ち越されることとなりましたが、提案の動機は改名することによって既存の枠にとらわれず、アセスメント技法をより幅広く多角的に活用しようというものでありました。

本コラムでは、ヒューマン・アセスメント技法について、その骨子と運用について簡単に紹介します。

2.ヒューマン・アセスメントの解説

🔶ヒューマン・アセスメントの定義

ヒューマン・アセスメント(HA)とは、組織の成員である個々人が目標達成に向けて発揮する能力・適性を、多面的・客観的に事前評価する技法です。技法活用のプロセスとしては、個人の能力・資質を、

①心理学的に設計された数種の演習課題を使って
②参加者の態度や行動が外面に表われやすい状況をつくり出し
③特別に訓練を受けたアセッサーが、参加者の演習行動を観察記録する

そして、その行動を、

④目標職務に必要な能力要件を表わすディメンションにもとづいて評定を行ない、その結果を、人材の適性発見や能力開発に活用する

ものです。この意味で、ヒューマン・アセスメント(HA)は適材適所を目指す人事制度運用上の大きな核となるものです。

🔶ヒューマン・アセスメントの目的

現在ヒューマン・アセスメント(HA)は、採用、配属、昇進、昇格、あるいは教育訓練、自己啓発など、人事制度の諸領域に広く組み込まれています。活用方法は、能力開発目的のD型(Development)を主として、選抜目的のS型(Selection)現職適性の診断を目的とするI型(Inventory)、若手社員の早期能力発見のEIA型(Early Identification Assessment)などが、一般的に行なわれています。

①能力開発目的―D型
HAにおける各種演習体験、それ自体がマネジメント訓練としての意義をもっていますが、さらに参加者同士の相互診断により、相互啓発効果が期待できるよう開発したプログラムの展開方法です。

②選抜目的―S型
参加者のなかから将来、目標職務に登用、または配転や再配属のためにデータを得るべくHAを行なうものです。

③診断目的―I型
本来HAは、目標職務に対する能力適性の診断です。しかし、すでにその職務に就任している場合、現職に対する能力適性をあらためて確認し、診断し、啓発や活用計画を立てたいという企業の要請も多く、そこでHAの応用版としてI型を設計しました。

④早期適性発見―EIA型
最近、入社5~6年の若手社員に対してHAを実施し、早い時期において能力適性の把握を行ない、将来の適職に向けて自己啓発の機会をつくり出すことを計画する企業が多いです。とくに20歳代のうちに自己の適性と可能性を認知し、それに向けて職場における実践的な育成を目指すものです。

🔶ヒューマン・アセスメントと人事考課

企業においては、人材を評価するシステムとして従来から「人事考課」が行なわれていますが、ここでヒューマン・アセスメント(HA)との関連を明らかにしておきたいです。

人事考課は職制上の上司による部下評価で、職務遂行の実績について、これまでの6ヶ月ないし一年間を振り返り、記録と記憶をたどって、「あの時、あの場」(There&Then)のかたちでみていくものです。これに対し、ヒューマン・アセスメント(HA)は、直属の上司以外のアセッサーが複数で、「いま、ここ」(Here&Now)における行動を観察・評価します。すなわち、演習という共通場面における各個人の行動特性を観察し、多面的に評価するものであり、それにより、上司が日常気づかない部下の能力側面を発見することができます

したがって、人事考課とヒューマン・アセスメント(HA)のどちらが評価の妥当性がより高いなどと、比較検討をするものではありません。いわば「車の両輪」のごとく、この二者は相互補完の関係を保っています。人事考課は現在の職務において、会社として評価したい項目であり、ヒューマン・アセスメント(HA)におけるディメンションは、将来の目標職務において評価したい項目です。したがって、ヒューマン・アセスメント(HA)のディメンションは目標職務における人事考課項目とかけ離れたものであっては意味がありません。ヒューマン・アセスメント(HA)のディメンション(評価項目)選定に際しては、人事考課の「評定要素」との関連について配慮することが望ましいです。

3.ヒューマン・アセスメントの実施プロセス

ヒューマン・アセスメント(HA)を実施する前に、次のことをあらかじめ準備しておかなくてはなりません。それは、

●どのような目的でHAを導入するかを明確にし、具体的な目標を設定する
●必要とするディメンションを決定する
●目的に適した演習課題を選択する
●プログラムを設計する
●アセッサーを確保する

です。

🔶ディメンションの決定

目的を明確化したうえで、ディメンションの選定を行なうが、ディメンション決定には、

●MSCの汎用ディメンション・リストを参考に、企業とMSCが討議して決定する
●職務関連分析を実施して決定する
●その他

などの場合があります。

一般的には最初に記述したように、MSCの汎用リストから選択する場合が多いです。その場合は企業担当者とMSC講師が、人事考課や業務評価の項目を参考にしながら決定します。2番目にあげた職務関連分析を行なって選択することは、ヒューマン・アセスメント(HA)のすすめ方として最善ですが、とくに階層別アセスメントの場合においては、管理者の職務に要求される能力要件は、多くの企業において共通性が高いことから、これまでは第一のケースであらかた決まってしまっていました。しかし、昨今は企業がそれぞれ独自の経営理念や行動方針のもと、各目標職務に期待する能力要件が個別化してきています。

とくにセールス・マネジャーやプロジェクト・マネジャー、専門職などの選抜や能力開発、あるいは採用のためのアセスメントに関しては、ディメンション決定のための職務関連分析が必須です。今後は職務内容もより一層多様化すると思われるので、職務分析を実施するプロセスは、さらに重要になっていくものと思われます。

企業の経営理念や方針と呼応するディメンションを選定する場合、そこに使用されている用語の意図するところを十分討議して、関係者が共通の認識をもち、それを行動レベルまで厳密に分解して、ディメンションを選択する必要があります。

ディメンションの選定項目数は、ヒューマン・アセスメント(HA)の目的によって異なりますが、一般的には15項目から20項目ぐらいを使います。項目が少なすぎると、一つのディメンションで複数の能力をみる結果になり、また多すぎると、ディメンション一項目当たりの行動例が少なくなって、統合したプロフィール像が描きにくくなります。

🔶演習課題の選定

ディメンションを決定したあと、目的に見合う演習課題を選択します。

たとえば、対人能力にかかわる能力をみようとするならば、「グループ討議」や「面接演習」のような対人場面の行動が求められる演習を採用する、というように観察すべき行動特性と演習課題の関連づけを行なって「コースの準備」をします。

初級、中級の管理職の能力開発の場合、一般的にはそれぞれに状況が異なる演習課題を選択します。上級管理職の場合、最近は一つの複雑な状況を選んで、そのなかでグループ討議、インバスケット処理、面接演習や分析・発表演習を組み合わせることが多いです。それは、参加者が状況理解に時間を少なくし、同一の状況のなかで活躍する当事者としての言動を、トータルにより深く観察したい、という判断によるものです。

🔶ヒューマン・アセスメントの実施

ヒューマン・アセスメント(HA)の実施にあたっては、企業ニーズにもとづき、極端に日程が短いものでは一日、長いもので4泊5日など、さまざまありますが、一般的には2泊3日、あるいは1泊2日の場合が多いです。

通常は18~20人くらいは、1コース当たりの参加者人数です。それに対して、アドミニストレーター1人、アセッサー3人という編成が標準的なものです。アセッサーは、MSC講師が担当する場合と、MSCはアドミニストレーター(プログラム統括責任者)のみを派遣し、社内アセッサーと共同で実施する場合とがあります。

ヒューマン・アセスメント(HA)コース実施中は、参加者は「各演習に参加」し、アセッサーはその状況を「観察・記録」し、「演習ごとのディメンション評定」を行います。

1人の参加者については、演習ごとに担当アセッサーを替えて、見方が偏らないようにして観察します。アドミニストレーターやプログラム運営の事務局は、観察分担表を作成し、できるだけ多人数の観察者による多面的評価となるよう工夫します。2泊3日の標準コースを実施した場合を例にとると、参加者は4~6回分ぐらいの演習を実施し、その演習のなかで各人が示す行動データが蓄積され、ディメンション評定が行なわれます。

アドミニストレーターはすべてのヒューマン・アセスメント(HA)演習終了後、担当アセッサーを集めて、各参加者についての評点とその根拠となる行動データを発表し、共有化するための「アセッサー・ミーティング」を開き、全員の討議を経て、参加者の総合ディメンション評定を行います。

🔶アセスメント結果のフィードバック

ヒューマン・アセスメント(HA)の実施により、参加者各人の能力特性がディメンションという評価項目で評定されます。それらの評定にもとづく参加者のプロフィールおよびディメンションの評点結果をもとに、アセッサーは「フィードバック・レポート」を作成します

この「フィードバック・レポート」は通常、アセスメント結果を要約した総評と、自己啓発への提言や示唆の二つの面で構成されています。また、企業の要望に応じて、さらに一歩進んだコンサルタントとしてのコメントを提出する場合もあります。

ヒューマン・アセスメント(HA)終了後、各参加者に対して、報告書または面談を通じて結果を提供し、討議などを行なうことは極めて重要です。主として、この役割はアドミニストレーターか、フィードバック担当者が行います。

フィードバックの方法には次のようにいくつかのタイプがある。

●だれが行なうか
①アドミニストレーター
②担当アセッサー
③人事・教育部門の責任者
④参加者本人の上司

●どんな形式で行なうのか
①面接(口頭)
②文章
③面接と文章

フィードバックの方法およびヒューマン・アセスメント(HA)の最終レポートのサンプル例については、MSCにてお問い合わせください。

🔶ヒューマン・アセスメント実施後のフォロー計画

ヒューマン・アセスメント(HA)の結果をどのように活用するか、人事制度や研修計画にいかに組み入れて成果を生み出していくか、この点は多くの企業が研究課題としているところです。

実施後の能力開発や研修計画には、次のようなケースがあります。

●ヒューマン・アセスメント(HA)プログラムの最後の一日または二日を使って、ヒューマン・アセスメント(HA)の結果を活かしながらただちにフォロー研修を行います。

この方法には、参加者の自覚も新たで、かつ各地、各部署から再度集める労力が省略されるという利点があります。

●1~2年後に再アセスメントを行なって、啓発の進捗度合いを確認し、さらに啓発計画を見直すケース。

再アセスメントをフォロー研修として行なう場合、選抜目的で実施した場合と、啓発目的で行なった場合では、フォロー研修計画の内容は異なります。

MSCでは啓発目的のフォロー研修プログラムとして、インタアクション・マネジメント研修(IM)を推薦しています。

インタアクション・マネジメント研修(IM)は、日常の管理行動のレベルアップを目的とし、一対一の話し合いを通じて、管理者としてのリーダーシップ・スキルを習得することに力点をおいています。

インタアクション・マネジメント研修(IM)はヒューマン・アセスメント(HA)実施後の研修プログラムとして有効に活用されています。

4.ディメンション

🔶ディメンションとは

ヒューマン・アセスメント(HA)演習に際して、参加者の態度や行動・発言などを観察評定する項目をディメンション(Dimension)と呼んでいますが、これは「観察項目」「評定項目」であり、目標職務に対して期待される能力要件です。

ディメンションの決定にあたっては、その職務において、高い業績をあげ、かつ優れた能力を示している者の特性と行動を検証する作業を、事前に行なわなければなりません。しかし多くの場合、組織の各職務遂行に期待される能力要件や行動に関しては、共通の概念をもって代表されるものも少なくないです。

次の「マネジメント(階層別)・ディメンションの定義と解説」は、それらの能力要件を示すディメンション例である。企業は、当面実施しようとするヒューマン・アセスメント(HA)プログラムに適合するディメンションを選定し、プログラムの展開をはかります。

🔶マネジメント・ディメンションの定義と解説

①インパクト
強い印象を与え、注目をひき、自信ある態度を示し、自己を認識させる能力。
▶組織は、相手に強い印象を与え、相手の注目と関心を引きつけ、自信のある態度で接し、他者から認識される人を求める

②イニシアティブ
率先して行動し、他に働きかける能力。
▶組織は、自発的・積極的に行動する人を求めている。すなわち、状況に適応するだけでなく、問題や必要性に気づき、自ら先んじて活動する人を求める

③バイタリティ
目的に対して能動的に取り組み、より高いレベルの活動をやり抜く能力。
▶組織は、気力、活力のある人を求める。すなわち、職務遂行にあたって意欲的に活動し、高いレベルの成果を目指して努力する人を求める

(※一部例)

ほかMSCの標準マネジメント・ディメンション(階層別ディメンション)については、MSCにてお問い合わせください。

🔶JAC(Job Analysis by Computer)

ヒューマン・アセスメント(HA)の目的や運営上からしても、ディメンションの選定は重要であり、企業によっては今後の人材育成の基盤をなすといった考え方をとっているところも多いです。

MSCにはコンピュータによる職務分析のプログラム、JACがあるが、最近ではMSCの汎用ディメンションの活用によるだけでなく、JACによる職務分析を行ない、ヒューマン・アセスメント(HA)を実施する対象者の目標職務に求められる能力要件を調査のうえ、ディメンション決定を行なう企業も増えています。

5.演習課題

🔶演習と評価

ヒューマン・アセスメント(HA)では「参加者」の能力資質をとらえるため、各種の状況をシミュレーション(Simula-tion=模擬)した演習課題を使います。人事に関する評価を正当に行なおうとするとき、次の3条件がそろっていなければ、その結果に対する信憑性は低いものとなる。それは以下のとおりです。

①同一対象者をみること
②同一評価基準によってみること
③同一状況下においてみること

HAプログラムの実施においては、

①複数のアセッサーが、参加者を同時に観察していること

②アセッサー養成コース(後述)において、観察項目であるディメンションおよび演習課題についての理解を深めている。またHAプログラム終了後の評定に際しては、アセッサー・ミーティングにより、十分論議を尽くして評定結果の調整を行なっていること

③参加者全員が同一条件下で、同一演習課題に取り組むようにしてあること

などによって、前記の3条件を満たすことができます。

ヒューマン・アセスメント(HA)プログラムに関しては、演習課題がシミュレートされた状況であるから、「現実の職務遂行の場面における評価なら納得できますが、つくられた状況にもとづく演習課題による能力評価は受け入れにくい」という意見もあります。

この点はむしろシミュレーションだからこそ、現実の慣行や実務の経験にとらわれず、その人の本来もっている能力や資質が引き出されるのであり、職務状況ではあらわれてこないその人の潜在能力をも発見しやすいのだといえます。

🔶演習の構成

演習では、目標職務の状況にほぼ近い状態をシミュレートしますが、職務状況には次の3つの側面があり、演習課題はそれに対応したかたちで作成されます。

①個人作業……情報処理、問題解決案作成、文章作成など、いわゆるデスクワーク

②面接作業……部下、顧客、その他の関係者と一対一で対話し、問題解決、動機づけ、折衝などを行なう対人状況

③集団作業……会議、打合せ、職場活動など

集団のなかで問題解決や課題処理を行なうヒューマン・アセスメント(HA)では、この3つの側面にもとづいて7種類の演習課題および背景面接演習が用意されています。さらに、それぞれの種類において、異なる目標職務階層ごとに多くの演習課題があります。

🔶演習課題の概要

①インバスケット演習
これはインバスケット(未決箱)のなかに入れられてある案件(通信文、メモ、資料など)を、設定された状況のもとに、目標職務遂行という立場に立って、各人が個々に処理していくものです。

通常、案件処理に2時間半ないし3時間かけ、その後各人の処理結果をもち寄って、グループで話し合い、さらに全体会議を行います。アドミニストレーターの解説があり、これは学習としての効果性を高めます。

②分析・発表演習
参加者は、数ページにわたる資料の状況や内容について分析を行います。さらに分析結果に対する対応策を立案・発表することを求められます。資料分析に2~3時間、発表には10分程度の時間が割り当てられます。発表状況をビデオに収録し、演習後のフィードバックに活用します。

③事実発見、意思決定演習
これは事例研究の一種「インシデント・プロセス」のすすめ方を取り入れたものです。参加者は、ある状況について簡単な情報を文章によって与えられ、これに対し、いかに対処するか意思決定を求められます。ただし、与えられた情報だけでは情報が不足するように設定してあり、一定時間内で情報保有者(リソース・パーソン、アセッサーが担当する場合が多い)に対して質問し、情報収集を行なって内容を整理・補完したうえで、自己の意思決定とその理由を発表します。

④面接演習
参加者は、ある困難な状況(たとえば、問題を抱えている部下との話し合い、顧客からの苦情への応対、部下の動機づけなど)に対して、一対一の話し合いによって事態を改善することを求められます。すすめ方としては、まず指示書を読み(通常10~15分間)、状況を把握し、面接プランを立て、10~15分間ぐらいの面接を行います。被面接者(相手役)には、アセッサー、もしくは訓練を受けた専任者があたります。面接状況はビデオに収録し、後からグループ・メンバー間で相互フィードバックに活用することが多いです。

⑤文章作成演習
参加者は、ある状況設定に対して報告書か手紙の形式で回答する。通常40分ないし1時間を要します。若干形を変えたものとしては、詳細な資料・情報を読ませて要約をさせるケースがあります。

⑥グループ討議
グループ討議演習には、参加者に特定の役割を演ずるように指示したものと、グループ・メンバー全員が同一の立場にあるように設定しているものと2種類があります。

🔵グループ討議――役割あり
原則として参加者6名を1グループとして、各人がそれぞれ異なる役割や目標(たとえば予算の獲得、部下の推薦など)を分担し、個人目標と集団目標の二つの目標をあわせて達成しなければならないという立場におかれる。そこで、各人が意見を発表・調整・統合しながら、グループとしての結論を導き出すために、1時間の討議を行なう。

🔵グループ討議――役割なし
参加者が全員同じ立場(たとえば、コンサルタント・グループ、社内の委員会など)で、集団に与えられた同一目標を追究する点が①と異なる。

これらの討議状況をビデオに収録し、討議終了後、ただちにプレイバックして参加者の相互フィードバックに活用しますが、これは参加者の自己の行動認知のうえで役立つものです。

⑦マネジメント・ゲーム
1チームを4~6人で編成し、チームごとに競合して、できるだけ多くの利益・得点をあげるよう課題に取り組むものです。時間はゲームによって異なるが、1~3時間程度を要します。

6.アセッサーの養成と活用

🔶アセッサーの役割

HAを構成する要素は、「演習課題」「ディメンション」および「アセッサー」の三つです。なかでもアセッサーの役割はとくに重要で、アセッサーの能力の高さがヒューマン・アセスメント(HA)プログラムを効果的に展開していくうえで重要なことです。

そこで、アセッサーの観察精度を高めるためには、

●複数のアセッサーによる多面評価
●アセッサーを訓練に参加させ、観察力の向上と強化をはかる
●アセッサーミーティングにおける徹底的な検討

が必要です。

同時に、社内アセッサーを起用する場合は、被観察者の直属の上司、あるいは本人をよく知っている人物をなるべくアセッサーに選ばないほうがよいことにも留意したいです。事前に本人を知っていることによる先入観が影響しないようにするためです。

昨今は、社内アセッサーを養成して、ヒューマン・アセスメント(HA)を実施する企業が増えてきました。

社内アセッサーの活用は、ヒューマン・アセスメント(HA)プログラム本来の目的からいって重要なことであるとともに、社内アセッサーを経験することは、社内の人物評価眼を高めるうえで大いに役立ちます。

🔶アセッサーの要件

アセッサーを任命するとき、次の諸要件を念頭におきます。

🔵目標職務(レベル)の経験者
HAの対象者(参加者)は多くの場合、未経験の目標職務に挑戦するわけであるからです、これを観察・評定するアセッサーは、目標職務ないし、そのレベルの職務を経験した人が望ましいです。

🔵人材の能力発見と把握に情熱をもつ人
行動の観察・評定という仕事は、かなりの忍耐力と情熱をもってあたらなければ成功しません。人材の能力開発に高い関心と興味をもって、粘り強く取り組む人が望ましいです。

🔵人事考課の公正さについて、その重要性を十分認識している人
部下の評価について、公正に行なうことの重要性を認識し、努力している人は、ヒューマン・アセスメント(HA)の観察・評定も的確に行なうことができます。

🔵コミュニケーション・スキルの優れている人
アセッサーは、口頭でも文章でも、自分の考えを正確、かつ効果的に表現できる人が望ましいです。他人の言動を克明に記録・整理し、分析し、それを全体的な人物像に構成できる総合力が望まれます。

さらにヒューマン・アセスメント(HA)の報告書をまとめ、必要に応じて参加者にフィードバックできる対人スキルとコミュニケーション・スキルが求められます。


7.おすすめソリューション

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント


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