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第5章<成長する>能力開発計画

この章で、能力開発計画について頻繁に言及する。付録4.4 で、計画の記録と進捗確認に最も有効だと思われるフォーマットを紹介している。

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1.ビジネスに必要なスキルを開発する際には、キーアクションに重点を置くことが重要である

多くの(おそらくほとんどの)組織が見落としているキーポイントがある。リーダーのスキルを開発するときは、それが現在も将来もビジネスに必要なスキルでなければならないということだ。第2章にて、サクセス・プロフィールによってそれらを明確にし、ビジネスと整合させる方法を論じた。ビジネス・ドライバーは、組織の独自の状況における幅広いリーダーシップの優先順位を定義している。そしてビジネス・ドライバーにつながるコンピテンシーは、適切なスキルの組み合わせに重点を置いている。キーアクションは、各コンピテンシーをどのように開発するかを詳細に示す。コンピテンシーとビジネス状況(ビジネス・ドライバー)に整合したキーアクションに重点を置かなければ、能力開発を行っても必要な方法あるいは速度であなたのビジネスは前進しないだろう。


→理由を説明しよう:

スキルは行動である。リーダーは新たな課題を克服するために行動を変えて――新しい行動を学び、古い行動を修正して――スキルを築く。単純なことに聞こえるが、典型的な学習経験では行動を変容させられないことが多い。変革を実現するためには経験以上のものが必要だ。変えたいと思うだけでは足りないし、適切な行動を認識するだけでも足りない。屋外で冒険をしたり、山で合宿をしたりしても、リーダーシップ能力は向上しないだろう。リーダーシップ能力を築くには、組織によるコミットメントや計画立案、多大な労力が必要である。トレーニングをしたりコーチを任命したりするだけでなく、リソースや動機づけを与えて学習目標に向けて最後までやり遂げて、成功に必要なスキルを高める気にさせることが重要なのだ。

コンピテンシーはリーダーシップスキルに係る共通言語であることを忘れてはいけない。特定のスキルの向上につながる行動を、例えば「戦略的影響力」、「変革リーダーシップ」などの言葉で表すものである。だが第2章で述べたように、すべてのコンピテンシーがそうだというわけではない。具体性に欠くことが、リーダーのスキル構築の障害となる。コンピテンシーを開発するためには、日々実践することになるキーアクション(コンピテンシーの特定の行動要素)への落とし込みが必要である。

例:「あなたの影響力を改善してほしい」とカルロは上司に言われた。自分の成長に関心の強いカルロは、もっと詳しく説明してほしいと頼むだろう。上司は、戦略的影響力のコンピテンシーの定義を列挙するだけでは不十分だ。ある程度は役に立つかもしれないが、カルロは戦略的影響力が何か(あるいはその概念)は分かっている。彼が知りたいのは何のスキルをどのように改善するかなのだ。もっと質問をすべきなのか?もっと人の扱いをうまくするべきなのか?簡単に諦めすぎるのか?うまく自分の言いたいことを伝えられていないのか?カルロは、戦略的影響力のどの側面を伸ばすべきなのか、その詳細を知る必要がある。それがわからないと、何を変えるべきかは推測するしかなく、改善への努力が続かないだろう。

コンピテンシーの開発を早く実現するために最初にすべきことは、学習者が対象となるコンピテンシーのキーアクションを理解して、最も見返りの大きなキーアクションに集中することだ(注)。そうすることで、フィードバック、トレーニング、コーチング、実践、測定の精度が上がり、より意味のあるものとなる。単純なことに感じられるが、これに重きを置いていない、あるいは完全に無視している企業が多い。

(注)対象となる複数のコンピテンシーに共通してあるキーアクション(インタアクション・スキル、第2章)は、最も強調されなければならない。ひとつのコンピテンシーの中で取り組むことで、それら複数のコンピテンシーすべてに大きな影響を与えるからである。

学習者が特定のキーアクションの開発を必要としていることをコーチ、メンター、ファシリテーター、インストラクターが把握していれば、その分野に強いリーダーと組み合わせるか、モデルとして相応しい人のチームに入れることができる。こういった小さな調整と思われることが、結果的にコンピテンシー開発の取り組みに大きな影響を与えるのだ。

学習者、上司、メンター、その他人材開発の加速化プロセスに関わるすべての人が、リーダーシップのパフォーマンスを推進する特定の行動に関して、詳細な情報を手に入れられなければならない。オリンピックを例に考えてみよう。フィギュアスケート、体操、飛び込み、スノーボード、その他すべての競技の選手は審査基準を明確に理解しており、それを基に練習し、準備している。難しい職務に就こうとしているリーダーが全員、コンピテンシーの開発方法を知っているとは限らない(知らなかったがために失敗したというリーダーの例は数多くある)。成功につながる行動を理解し実践するには、具体的な情報が欠かせない。あなたの仕事は、事前にスコアカードを提供して試合の準備ができるようにすることだ。コンピテンシーの開発を加速化するためにリーダーに行わせるトレーニングや能力開発行動のすべてについて、ガイドとなるキーアクションの詳細を提供しなければならない。

フィギュアスケート、体操、飛び込み、スノーボード、その他すべての競技の選手は審査基準を明確に理解しており、それを基に練習し、準備している。あなたの仕事は、事前にスコアカードを提供して競技準備を始められるようにすることだ。

2.スキルの習得

成功に必要なキーアクションを理解するのと、キーアクションを実際にやって見せるのは別の話だ。誰もが、どこかの時点で音楽や絵画、体操、工作、テクノロジー、建築など難しいスキルを学ぼうとした経験を持つだろう。これらはすべて、複雑で多面的なスキルを組み合わせたもので、基礎を学び、その後上達していくためには公式な指導(コース、実地指導、eラーニング、オンラインセミナー、ビデオなど)が必要となる。

組織内のあらゆる階層のリーダー職務には、それぞれに基礎として学んでおくべきものがある。だが最高の指導を受けるとしても、複雑なスキルを初めて学ぶのは難しいことだし挫折感を伴うこともあるだろう。諦めるのは簡単だ。しかし大事なのは、新たなスキルを学ぶためには単に新しい行動を試してみるだけでは足りないということだ。新しい行動を試すための、そしてフィードバックを受けるためのモチベーションと自信が必要である。

5.2図 公式学習の主な障害(重要度が高いものから)
学習者による評価(グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2014 | 2015)

コンピテンシーを開発するためのモチベーションには、個人のニーズと組織のニーズが関連し合っていなければならない。われわれはこれを、能力開発の「なぜ」と呼び、その欠如が公式学習で学ぶ際の最大の障害と位置づけている(図5.2参照)。
 
学習方法が個人のコンピテンシーの開発ニーズと合うと、リーダーシップスキルの開発における自信も増す。そのため、多くの組織がさまざまなスキル習得の方法(トレーニングコース、オンラインの自己学習コンテンツ、学習者同士のネットワーク、コーチングなど)を用意している。特定のコンピテンシー、キーアクションに最適で、学習者のさまざまなニーズやモチベーションに適応するものも少なくない。いくつかを適切に組み合わせ、ビジネスとの関連性を高く保てば、学習者は新たなキーアクションとコンピテンシーを深く学んでいくだろう。

3.おすすめ人材アセスメントソリューション

4.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

5.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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