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コンピテンシー採用面接~科学的手法で絶対に成功する採用面接

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コンピテンシー採用面接とは 「経験」や「直感」に頼った面接は採用ミスを引き起こす。世界のリーディングカンパニーが取り入れる「コンピテンシー面接」で企業と人材のベストマッチングを実… もっと読む
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#人材育成

コンピテンシー採用面接

1.コンピテンシー採用面接とはコンピテンシー採用面接とは、候補者が有する特有の能力やスキル、行動特性、そして価値観など、職務を果たす上で欠かせないコンピテンシー(能力や資質)を見極めるための独特な面接手法です。この手法は、候補者の過去の経験や特定の状況下での行動を通じて、将来にわたって職務を効率的に遂行する能力を予見することを目的としています。 コンピテンシー採用面接の独自性は、従来の面接が経歴や学歴といった客観的なデータに注目するのに対し、このアプローチでは候補者の行動様

これでは「採用ミス」が続発する~「第一印象」が90%?そして最後は面接官の「好き嫌い」Vol.2(2/3)

4.「能力」を「行動特性」として捉える大筋のポイントの説明は以上ですが、実感として理解しづらかったかもしれません。もう少し具体的に「ありがちな面接」の例を挙げてみましよう。 その前に、「ありがちな面接」とはどういう内容をいうのか、説明しておきます。 これをひと言でいうなら、「面接によって引き出すべき情報がきちんと取れていない」ということです。また「引き出す情報」とは、「応募者が自社で業務を遂行するときに必要な能力をもっているかどうか、それを判断するための材料」だと理解して

「思いこみ・決めつけ採用」がもたらす組織へのダメージ~<こんなはずじゃなかった>ではもう遅い Vol.3(3/3)

8.サプライズ社員は組織の活力を殺いでしまうそして、 サプライズ社員のインパクトが大きいのが⑤(職場の士気)にある職場の士気の低下なのです。 サプライズ社員が配属された職場では、 「なんでこんな人を採用したの?」という、人事(ひいては会社) に対する疑念と不信感が募ることになります。 みなさんもたぶんそうであるように、社員は採用に敏感なものなのです。 しかも、 それだけではありません。業務を満足に遂行できない、あるいは職場の風土になじめない異質な社員の流入は、 それまで保

「合否の理由」を明確に語れますか?~コンピテンシー面接・行動質問のススメVol.4(1/3)

1.役員を採用ミスして組織が崩壊「〈コンピテンシー面接〉を、役員採用にも導入していれば、私が以前働いていた会社もあんなことにならなかったと思います」 ある外資系IT企業の元役員の方(Aさんとよぶことにします)が、しみじみと私にこうおっしゃいました。 この会社はべンチャーから急速に成長した、業界ではかなり規模の大きな会社です。私はそのクライアントに対し、次世代リーダーの発掘と育成のためのアクセラレーションプログラムを、若手リーダ1クラス対象に実施するコンサルティングを担当し

行動科学で考える人材採用~偶然を期待する採用からの脱却―「名人芸」から「科学的」へVol.5(2/4)

3.行動情報を複数収集すると真偽がわかるところで、面接において行動事実を聞きだす場合、一つの事例だけではりスクがあると考え たほうがいいでしょう。というのも、応募者は面接官からの行動質問を予測して、一つだけはとびきり上質の行動事実を用意していることが小なくないからです。 最近、「学生時代に頑張った経験について詳しく話をする」ノウハウが流布しているようです。ある人事担当者の方から、「学生時代に最もあなたが力を入れた経験について話をしてください」という質問に対して、すばらしいエ

行動科学で考える人材採用~偶然を期待する採用からの脱却―「名人芸」から「科学的」へVol.5(4/4)

9.「ストレス耐性」をどのような方法で探るか人を内観することにつながる要素、たとえば「ストレス耐性」を面接で見ることを、私はあまり勧めていません。勧めてはいませんが、多くの採用担当者からは、「ストレス耐性」を事前に見極めたいという相談を受けます。 ある大学病院から「どうしてもストレス耐性の有無や強弱を面接で判断したい」という要請を受けて、その方法論を一緒に検討したことがあります。 面接で「ストレス耐性」を見極めるうえでの参考になればと思い、そのときのことを以下にご紹介しま

採用の戦略的視点~採用成功の三つのポイント「正確」「公平」「賛同」Vol.6(3/4)

7.「ターゲット・コンピテンシー」の2大効用以上のような手順を経て、「人が組織の中で成功する要因は何か」という観点から「自社に必要なコンピテンシー」を決めます。このようにして、組織にとって必要とされる複数のコンピテンシー(総じて「ターゲット・コンピテンシー」――面接でフォーカスすべき「的」となるコンピテンシー――とよぶことにします)が設定されるわけです。 本マガジンでは、新入社員の主な配属先となる現場の課長クラスに議論してもらい、その意見を(人事部門が)集約するという方法を

「量」の採用から「質」の採用へVol.8(1/7)

1.採用が変われば組織が変わる先に私は、採用の目的を「企業競争力のアップにつながる人的資源の確保」というように記しました。企業のエグゼクティブたちは、企業価値を生むのは、「人」であると確信し、人材の採用のあり方について強い関心と問題意識をもっています。「人という資産」が自分たちの企業を存続・発展させ、競合他社との差別化につながるということを実感しているのです。 企業の採用意欲は高まっていますが、その一方で、若者の意識をはじめ働く人たちの考え方や価値観、キャリアの選択はます

「量」の採用から「質」の採用へVol.8(2/7)

3.採用活動は企業目的達成のための一環私が、このコラムを通して提唱する科学的アプローチをとり入れた「戦略的」採用システムとは、中・長期的経営戦略に基づいて自社に必要な人材像をまず策定する。そのうえで、求める人材を惹きつけ、確実に採用するために、「組織が必要とする人材」に極カアピールできる方法を通じて母集団形成をし、科学的な選抜・合否決定をする。そして、人材の定着のために、その後の配属・研修・育成まで、コンピテンシーをベースに一つのシステムとして構築していく――こうした一連の内

「量」の採用から「質」の採用へVol.8(4/7)

7.採用にはトップ自身がかかわるべき事実、トップ自身が前項に挙げた危機感や認識をもっている企業は、採用活動のあり方が明らかに違います。 私がよく存じあげている経営者の場合、自社の採用活動に対して積極的にかかわっていらっしゃいますが、それは最終面接に自ら立ちあうということだけにはとどまりません。 「わが社は今、こういう方向に進んでいる。したがって、今年の採用活動におけるミッションはこうで、わが社の求める人材はこういう人だ」 と、人事部門の担当社員だけではなく面接を担当する

「量」の採用から「質」の採用へVol.8(6/7)

11.ある素材メーカー新任社長の決断ところで、こういうお話をすると、いわゆる中小企業の経営者や人事部長からは、「それは大手企業の話ではないか」といわれるかもしれません。 「ウチはネームバリューもないし、ブランド品を売っているわけでもないし、応募してくる学生も少ないし、おまけにレベルも低い。そんな現状でいくら『自社に必要なコンピテンシー』を掲げても、それにふさわしい優秀な人材が採れるわけない」と。 ほんとうにそうでしょうか。私がこのようにおっしゃる経営者の方に申しあげた

コンビテンシー面接の活用術Vol.9(3/4)

7.性格への決めつけが部下を壊すこうしたインタビューの際、上司が一方的に質問するのではなく、部下の話には十分すぎるくらい時間をかけてじっくり聞いてあげてください。それとともに、このとき特に気をつけなければならないのは、上司が「にわか心理学者」になってはいけないということです。このことはVol.5でも申しあげました。 インタビューの際に行動質問をするのはいいのですが、その回答を聞いて「こういう行動をとる人は、このような性格だ」と決めてかかる。それが「にわか心理学者」の最もよく

コンビテンシー面接の活用術Vol.9(4/4)

10.次世代リーダーの発掘と育成最後にもう一つ、コンピテンシー評価の活用例として、MSCが実施している「次世代リーダーの発掘・育成」プログラムについても記しておきましょう。 これも基本的には前項のアセスメント手法と同じですが、このプログラムでは行動面接ではなく、アセスメントセンター形式――評価対象者の行動そのものを観察し、そのデータを判断材料にする方法――をとっています。また、その目的は文字どおり、次の世代を担うリーダー(社長をはじめとするボードピープルの候補者)たり得るか

コンピテンシー面接~科学的手法で絶対に成功する採用面接~終わりに

1.総括採用は企業にとってとても重要なプロジェクトであり、HRのコンサルタントとしてさまざまな負度で企業における「人」のテーマに携わっている私にとって、新たな人材を組織に導入する「採用」は、興味の尽きないテーマであることは間違いありません。 特に、数年前、「ビジネス社会あるいは企業組織の中で、個人のキャリア形成はどうあるべきか」を自分なりに追究し、「キャリア」についてあらためて勉強をしたことをきっかけに、個人が職業を選択する(すなわち、就職する)ということの重みと、企業にと