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『世界一流エンジニアの思考法』で学ぶ自分をコントロールするということ


文系にも役立つ

タイトルを見ると「理系向け」と思ってしまいますが、ド文系の私でもマインドセットが書き換わるほど面白い本です。著者は自らのことを「三流」と謙遜していますが、米マイクロソフト社で働く超優秀なエンジニアです。メジャーリーガーでも大谷翔平選手の二刀流を見たら、自分は「三流」だと言う人がいるかも知れません。それと似た意味での「三流」です。つまり、フツーの世界から見ればやっぱり「一流」であることに違いありません。

著者がとても大切にしているのは、「自分の手でコントロールする」ということ。人生も仕事も、周りの環境にコントロールさせるのではなく、自ら主体的にコントロールしていくことの重要性を述べています。それを実現できる環境が米マイクロソフト社のような、グローバルチームで働く環境にはあるようです。定時帰宅は当たり前、納期のために徹夜はしない、失敗はウェルカムなど。

子育てをしていたり、介護をしていたり、様々なバックグラウンドを持った人がそれぞれの専門性を最大限に発揮するなかで、創造的なものが生まれていく。上司からの強制ではなく、楽しいからやる。睡眠や健康的な食事・運動を犠牲にしても、そんな働き方は続きません。

サステナブルか?

なぜこのような考え方をしているのか?

根底にあるのは「サステナブルかどうか」

無理に徹夜をして納期に間に合わせたとしても、完璧なものなど最初からできる訳はなく、必ずバグが存在します。せっかく間に合わせても、「バグがあるじゃないか!」と頭ごなしに否定されてしまっては、やる気がポッキリと折れてしまいます。そうではなく、小さなステップをコツコツと積み上げていくことの強さ、積み重ねたスキルによって自らものを生み出すことのできる「専門性」の価値を理解しているため、楽しく続けられることは絶対なのです。

ChatGPT だって、7年に渡る積み重ねの成果なのですから。

日本の企業風土やエンジニアに対する扱い、そしてなにより「批判文化」に対する、著者からの訴えは迫力があります。非接触アプリCOCOA にまつわる話は読んでいて涙が出そうでした。

Be Lazy.

「少ない時間で価値を最大化する」ためにはどうすればよいか。

自分ひとりで時間をかけて試行錯誤を繰り返すよりも、他者の意見をどんどん聞いてしまった方が早いし、全体としての価値の創造もしやすいよねという考えや、失敗を歓迎しフィードバックして活かす、という考えはどれも全体の生産性向上に大きく寄与していると感じます。

日本企業の衰退はソフトウェアの軽視にある。

著者の指摘は問題にとても鋭く切り込んでいるのではないでしょうか。現場で手を動かしている人、実際に作っている人が一番偉いはずなのに、「マネージャー」のような人が高給を取って威張っており、エンジニアを薄給で長時間労働させているようでは、ぜんぜん「サステナブル」ではなく、これからも日本は取り残されていくのではと思わされます。

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