仕事を辞めたくて考えた
我ながら、自己追い詰め型だと思うが
そういう人は案外多いように思う。
要は「頑張り屋さんのいい子ちゃん」だ。
今の会社に勤め出してもう9年になる。何度か辞めたいと思うことはあったが、わりと最近はやる気に満ちていた。子供がいても働く自分を誇りに思っていたし経済的に自立しているのも安心だった。
が、先日、仕事中にいつもならやり過ごせるようなことで泣いた。悲しくないのに抑えられなくなって、こんな歳で恥ずかしいが会社のトイレで15分くらい号泣した。
余裕がなくていっぱいいっぱいだった。
そんなことが10年前にもあった。
その時も物理的ではなく精神的に忙しかった。その時は今より何百倍も酷くて毎日朝が来るのが嫌だった。ご飯もろくに食べず、気分が憂鬱で、ただただ消えてなくなりたかった。家族と友人と本に支えられてなんとか立ちなおった。一体あの大嵐はなんだったのか未だにわからない。
辛かったが人生の転機だった。
考え方を変えるキッカケになった。
その後なんとか就職し、転職して、結婚して、異動して、出産して、また異動して、あっという間に10年が経った。
たまに雲行きの怪しい時があったが年齢を重ねるにつれて気持ちのコントロールは上手くなった。結婚して自炊をするようになり栄養面から体調が整ったことも大きかったしパートナーのいる安心感も大きかった。子供が産まれる頃にはもうパニックになることはなかった。
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復帰して1年くらい経った頃にあまり望まない異動があった。異動先の部署からの引き抜きということだった。期待に応えられればと思ったし、自分なら出来るというおごりもあった。与えられた環境に感謝していればきっとやっていけると思っていた。(と、割り切っていたが通勤中に1度だけこっそりと泣いた。)
異動先には報告下手で教育下手なベテラン先輩がいた。なんでも自分でやってしまうその人に仕事が回ると細かな状況が掴めなくなる。状況が見えないのに処理だけ回ってきて自分が成長できないのももどかしかった。労わないのに指摘好きなその人のやり方がちょっと苦手で、だったら最初から自分がやった方がいいと思ったし上司にも業務分担をお願いした。
その結果はうまくいった。
私も部内の業務の流れが把握できた。
上司は頑固でストイックで自分の思い通りにしないと気が済まないタイプの人だった。わりと気分屋ではあるが頑張り屋の上司に頼まれるとやらないといけない気がしたし、期待されると嬉しかった。認められると頑張らなければと思った。
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でも先日、急に心がぽきっと折れてしまった。
やらないといけないルーティンの他にいくつかのプロジェクトが動き出しそれだけでも時間がない上に、不運なトラブルにも巻き込まれてしまいこれがなかなか解決しなかった。最後は上司に投げようと思ったが長文の細かい指示が返ってくるだけだった。また一つずつやり遂げなければならないのかと思うと疲れてしまった。
上司の思い通りに進めるために周りに頭を下げる件もあったり、事情を知らない他部署の役員に結果が出てないと責められたことも重なった(結果だけを見たら仕方ないが) 。その上いつも指摘だけしてくれるお局の何気ない一言に何度も傷ついた。
毎日タイムリミットまでが短い。
保育園に迎えにいかなきゃいけない時間になれば嫌でも切り上げなければならない。家に帰れば子供の世話だ。時間も余裕も圧倒的に足りなかったし、ストレスも大きかった。精神的にいっぱいいっぱいだった。
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悪いことから目を逸らそうとすると、その時点でそれを考えてるもんだ。そして囚われて追い込まれる。
だから向き合ってみることにした。
なぜここまで感情が揺らぐのか。
考えた末、出来ると思いこんでいたのはエゴだったことに気付いた。ギリギリのバランスで保っていた自分のエゴが、立て続けに起こるトラブルで、音を立てて崩れていった。自分はキャパオーバーだということに気付かされた。
異動して2年では知識も経験も足りなかった。しばらくはその事を認められなくて悔しくてどうしようもなかった。
そもそも言うほど期待されてないのだろうし、他人の期待に応える必要は誰にだってないのだ。頑張ってしまうから都合よく仕事が回ってくる。
それにただ運の悪いことが続いたのかもしれない。
私の体調が悪かったのかもしれない。
時間が経てばまた頑張り続けることもできるかもしれない。
ただ、自分が無理をしてやり続けてしまったら、他人や我が子にも同じことを求めてしまうかもしれない。
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仕事を辞めたときに一番心配なのは金銭面だ。経済的に自立できなくなったときに落ち込みそうで不安だ。
その反面(矛盾しているが)たくさん持たなくてもいいとも思っている。たくさんあると人はもっと欲しくなる。たくさんあると、足りない気がしてくる。有り難さも薄れる。
できるだけ削ぎ落としてその中で今ある幸せに気づければそれでいいらしい。
その境地に達してみたいとも思う。
「正社員でなければならない。」
「今ある環境に不満を感じてはいけない。」
「みんなやってるんだから、辛くても耐えなきゃいけない。」
自分も無意識にそう思い込んでいたが
このご時世本当にそうだろうかと思う。
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ごちゃごちゃ考えず、大きな流れに乗ったらいいような気もする。人生良くも悪くも1度きり。もっとのんびりでよいのだ。
「思い通りになれば素晴らしいけれど、思う通りにならなくてもそれもまた素敵な人生」と本で読んだこのフレーズを心に焼き付けて、未来を案じすぎずに毎日を生きていきたい。
2021.10.10
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