木の上で寝るおっちゃんの話

まえがき

このnoteは実際に聞いた話をそのまま記しているので、良くないとされる表現をそのまま使っています。
また、個人が特定されそうな地名や数字等は伏せてあります。

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あんたが話しかけてくるのは知ってたよ。
挙動不審だったからね笑
気にしてることはわかってた。

故郷

もともと、実家は百姓だった。米とか、イグサとか、たばこの葉とか。いろいろ作ってた。私は1月生まれの7人兄弟の一番末っ子。

今でも1番尊敬しているのはお母さんだな。94歳で亡くなった。最後までプライドを持っていて、負けず嫌いの女の人だった。

どうせ死んでるだろうな

私は15歳の時に、九州の○○県から「金の卵」として東京の上野まで来た。そこから○○県にあるプレス加工の会社に就職した。あまりいい環境じゃなかったな。

同い年で入社した4人のうち2人がプレス加工の機械に腕を挟まれてかたわだよ。今じゃ生きてるか死んでるか知らないけどね。

ひとりが肘のところから。もうひとりが親指から無い。

私は地元にいる親のすすめもあって25歳で会社を辞めた。そこから当時の夜行バスで2日半。昭和38年の正月、大阪に着いた。○○にある電気系の仕事をする工場に6年間勤めたよ。

そして31歳、大阪で出会った知人から紹介してもらった、和歌山県の○○に出来るっていう○○の工事の仕事で和歌山へ移住した。そこでは○○なんかをつくっていたな。仕事は10メートルくらいの高さでの作業だからかなり危なかったね。

犬

趣味？「呑む・打つ・買う」くらいだ。

昔は赤犬なんて食ったもんだ。知らないの？赤犬。焼いて食べたよ。うまかった。

今はそうめんが食べたいなあ。三和そうめんが好きだね。もう何十年も納豆と豆腐と魚しか食べないな。肉なんて食ったら気持ち悪くなる。

ゴロ新聞

○○では毎日23：30になったら朝刊を売ってた。知り合いが売ってたんだよ。競馬に関わって商売している人もいた。○○には元学校の先生、元警察官、元弁護士なんかもいたね。

逃げたらあかんで

いろんな人間を見たよ。話をしているときに目をそらす人はダメだね。信用できない。

山谷ブルース

ーーおっちゃんが歌い始めた。

今日の仕事は辛かった
あとは焼酎をあおるだけ
どうせどうせ山谷のどや住まい
他にやる事ありゃしねえ
一人酒場で飲む酒に
帰らぬ昔が懐かしい
泣いて泣いてみたって何になる
今じゃ山谷が故郷よ
工事終わればそれっきり
お払い箱の俺達さ
いいさ　いいさ　山谷の立ちん坊
世間恨んで何になる
人は山谷を悪く言う
だけど俺達いなくなりゃ
ビルも道路もできやしねえ
誰もわかっちゃくれねえか
誰もわかっちゃくれねえか

『山谷ブルース』　作詞作曲：岡林信康

これ知らないの？笑そうか。

寝る

木の上とか。ハンモックをかけて眠ると蚊は上の方まで来なくて良いんだよ。あとは洞窟。人間みんな昔は洞窟で暮らしていたのにね。○○は洞窟が少ないよ。

そうね。知ろうとしすぎるのは良くないよ。聞かない方がいいこともある。

おわりに

ーーおっちゃんに、「私に何かアドバイスないですか？」って聞いてみたら3つ返ってきた。

１．気をつけなさい
２．体を大事に
３．相手をよく見て