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教育移住・留学は、低年齢で急ぐ必要はありません【今日からできる本当の留学準備、12の習慣】 前編

【過去記事を読みやすくリライトし、情報を加えました】

マレーシアへの教育移住を実践する方、関心を持たれる方が増え続けています。

特にコロナ後は低年齢化が顕著で、何人かの教育移住関連の仕事をしている知人等から聞いたところによると、感覚値的に小学校2~3年生が多く、幼稚園やそれ以下での移住もとても増えているということです(制度上、より低年齢から学生ビザを発給できるようになった、という点も関係していると思います)。

マレーシアへの教育移住ブームの始まりはコロナ直前頃。当時は小学校高学年~中1前後の子どもが多かった印象でした。中学受験と留学とどちらがいいかと天秤にかけて「中学受験(の勉強)よりは英語の勉強や留学の方が頑張れる(意義がある)」と考えた小学校5・6年生の子どもや保護者。中学受験で思った結果が出なかったことを機に留学を検討したという家庭。中学に進学したけどやめて留学する方がいいと判断して来たという方、などです。

現在は「早ければ早いほどいい」「英語力がないなら小1までが理想」、なんて言われる向きもあるようですが、その考え方はちょっと危険だと思っています。もちろんその年齢で実行してもいいと思いますがそれが理想なわけでも、万人に最高のタイミングなわけでもありません。

もっといえば、「留学や移住が羨ましい」とか「する方が絶対にいい」と思う必要もないと思うのです。

今日は、そんなに急がなくても大丈夫、とお伝えするとともに、何歳で留学したとしても「成功している留学生」をたくさん見てきて、その留学生に共通していることから考える「本当の留学準備、12の観点」を、そのご家庭が行っていた生活習慣のヒアリングのまとめとしてシェアしたいと思います。



教育移住で意識したい「目的・出口戦略・プランB」


まず、留学や教育移住の開始年齢について。

考えやライフプランや金銭面含めた事情は人それぞれなので、どんなタイミングで何年留学に行こうと、すべて自由だし、すべてが意義のある経験になると私は思っています(早ければ早い方がいいのは、手数料の入るエージェントや、学費を受け取る期間と教育のしやすさを気にする学校です)。

ただ、多くの場合は「目的」と「出口戦略」と「プランB」を考えておく方がいいです。特に留学年齢が小学校高学年以降の場合は、留学生活が合わなかった場合どうするか/中等教育から高等教育をどこでどう受けたいかを考えて、戻ってこられる場所を確保しておいたり、進学の道筋や判断のタイミングをイメージしておくとより安心かと思います。



「成功している留学生」には共通点がある


留学生当人の学生やそのご家族、いろいろな考えやいろいろな人がいますが、留学に成功している子どもや家庭には共通点がいくつかあると感じます。

小さい頃から英語をやっていて英語力が高い子、だと思いますか?

いえ。
最初から英語力があれば有利ではありますが、本質はそこではないと私は思っています。

私が直接お子さんと保護者さんを知っている人の中で、マレーシア・カナダ・アメリカ・イギリス・ニュージーランド・スイス・中東に、未就学~高校生で行った人がいます。年齢も留学先の国も、形態(母子留学・駐在・移住)とさまざまですが、海外生活に馴染み、いい友人を得て、年齢相応にいろいろな分野で活躍したり素敵な成長を遂げている「成功している子」には共通点があります。

そうした子どもとご家庭が、特に子どもが10歳以下のときに「具体的にやっている(いた)こと」を聞いた中からいくつかピックアップして、これから留学したいな、と興味のある方が将来の留学生活に向けての準備として、英語以外に親子で習慣づけておくとよいことのアイデアとしていくつかお伝えしようと思います。


教育移住を成功させる家庭の「12の習慣」


習慣1.特技を持っておく

夢中になって取り組んだ経験のある子、特技のある子どもは強いです。特に、「勉強以外で認められる経験」(=親が子どもを勉強以外で認めてあげる)をしておきましょう。

サッカーやバスケ、陸上、体操、水泳など、留学先で絶対やるようなスポーツ
ピアノやバイオリンなどの楽器、絵画、ダンスなど学校で披露する機会がありそうな芸術分野
アニメやK-popなど世界的に支持者が多いエンタメ
マイクラやゲームなど世界中の若者がやっているようなこと
読書経験とそれから得られる知識量の多さ、虫博士、電車博士雑学博士など。
好きなことならなんでもいいです。
海外の人からみて「日本らしい」ものである柔道・空手・日舞・茶道・華道・書道などもとてもいいです。

特におすすめはスポーツです。海外に暮らすことで最重要なのは実は「健康」だったりしますので、心もフィジカルも鍛えられる運動はとてもよいです。
でも、好きなことならなんでもいいです。勉強以外のことで認められる経験や「得意なこと」を作っておきましょう。


習慣2.「子どもが決める経験」をさせる

着る服、遊びたい友達、行きたい公園、通りたい道、右足と左足とどっちから歩き始めるか、食べたいおやつ、やりたい習い事・辞めたい習い事……
なんでもいいので、できるだけ子ども自身が決める習慣をつけましょう。

とんでもないチョイスにならないように、選べる範囲を親が提示するのはありです。「AかBか」の2択でもいいですし、「ゲームは平日はしないけど週末なら。ただし○○優先」など方向性は親が決めてもいいです。でも、子どもが自分で考えて、決めて、その結果の責任も取る。失敗したと思ったら次から気を付ける・再チャレンジできることを知っておく、そういうクセづけは大切です。

国内外問わず、学びに何よりも必要なのは主体性と意欲だからです。

自分が決めてコントロールできると信じられなければ主体的になれないですし、「失敗しても間違ってもいい」と保証されていなければチャレンジはできません。


習慣3.結果ではなく経過を褒める

結果にフォーカスして褒められる経験しかしていない子どもは、褒められるために結果が確実なものを好んでやるようになります。
チャレンジ精神が育つよりも、絶対に成功する安全圏内のことをやりたがり、確実にクリアできる低めの目標設定をしがちになります。失敗するかもしれないことを嫌がるようになります。失敗すると、どんなに頑張ったことでも褒められないからです。

結果的に失敗したとしても、その経過やチャレンジを褒められる子どもは、失敗することを恐れなくなります。自分の挑戦を見ていて認めてくれることが安心感となり、「やりたい」という意欲を育むことができます。
やりたいことをやらせてやり、やりたくないことをやめさせてやることも重要です。

80点を取ったなら、獲得した80点に注目してやり、取れなかった20点に言及するのをやめるべきなのです。
仮に獲得したのが20点で落としたのが80点だったとしても同じです。

小さい頃は結果を褒めていてもだいたいうまくいきますが、経験的に8~9歳以降くらいになると、結果を褒めていたことの弊害はボディブローのように効いてきます。

9歳過ぎると間に合わない、というわけではないですので、もし今ついつい結果を褒めてしまっているのなら、「こういう結果を出せたのは○○を継続したからだね」と付け足して褒めるとか、「思った結果が出なかったかもしれないけど、途中の努力は絶対に次に実を結ぶよ!」とか「前回よりいいから大成功だよ!」と認めてあげるとか、一言付け足すようにしてみてください。


習慣4.子どもの好きなことを否定しない

ゲームでもYouTubeでもマンガでも推し活でも、子どもの好きなことを否定しないようにしましょう。好きなものを好きと言えるのは、自分の意思を持つ第一歩です。

「そんなのくだらない」「下手だからやめれば?」「時間(お金)がもったいない」のように扱っては良くないです。

費やす時間や金銭の制限は年齢にふさわしいように設定するべきですが、好きなものを否定されていい気分の人はいません。注意しましょう。



習慣5.本を読む、一緒に学ぶ

今までいろいろな学年・教科を担当する先生がたに学習相談をしましたが、ほぼ全員が薦めたのが「本を読む」ことです。
(海外でも国内でも。マレーシアでもカナダでも。学校でも塾でも。インターナショナルスクールでも現地校でも。校長先生でも担任の先生でも)

幼少期の絵本ならバイリンガル版や英語CDがついているものならおうち英語の実践にもなり一石二鳥。
英語であることが気にならない迷路の本なども、英語力がなくても抵抗なく読みやすいのでいいです。

小学生なら、英文学の日本語訳のものを読んでおくと便利です。特にロアルド・ダールルイス・サッカーは、マレーシアのイギリス系インターの小学生~Year7くらいまでに必ず出てくると思います。デビッド・ウォリアムズもインターに通う同級生のほとんどの子が読んでいます。
日本語版でいいので読んで内容を把握しておくといいです。

それぞれの作家から1冊ずつ選ぶなら、うちの子どもたちが実際に授業(英語・ドラマなど)で使ったお話は以下です。

ロアルド・ダール    『マチルダは小さな大天才
ルイス・サッカー    『

サン・デクジュペリ   『
星の王子様
シェイクスピア     『
ロミオとジュリエット
デビッド・ウォリアムズ 『
おばあちゃんは大どろぼう

このあたりの本は、うちの子どもたちも「日本語で読んでおいてよかった」と言っていました。

親も本を読み、エージェントや他人の言うことに惑わされたり先入観を持ちすぎたりしないよう、知識や判断基準を持てるといいです。
マレーシア在住の文筆家・編集者の野本響子さんの本はマレーシア教育移住をする人に直接役立つものが多く、自分で学校を選ぼうと思うなら『子どもが教育を選ぶ時代へ』は手元にあるといいです。わからないことがあったときに辞書のように拾い読みして使えて便利です。留学後も、通っているインターがしっくりこない場合などに転校先や今後の作戦を考えるのに役立ちます。

マレーシア母子留学の父親目線でのエッセイの『マレーシアで働く妻、そして学ぶ子。単身残留父によるエッセイ集』もおもしろかったですし、コロナ後の留学事情をアップデートする『アフターコロナの留学』なんてキーワードもチェックしておくのも選択肢を増やすことに繋がります。英語力強化のために何ができるかなども本にヒントを求めてもいいです。

長くなったので、習慣6以降は後編に。
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うちの息子(10歳でインター入学)が「いちばん読んでおいてよかったのは、コレ」と言ったのはルイス・サッカーの「穴」。お話としてもとてもおもしろく、意外な結末はさすが児童文学の第一人者。日本語でも英語でもおすすめ、だそうです。


英語版はAmazonでNo1ベストセラー。Year6あたりで扱いました。



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