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たたかう読書

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「自分を守れる自分」を作るための読書。
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記事一覧

角田光代『人生ベストテン』
40歳間近だが我が人生のベストテンを考えるという自虐的な趣味がやめられない。25年代わり映えのない日々を過ごした鳩子は大きな見栄を背負い中学時代の恋人・岸田に会いに行く…。「いつもと同じ」を変えようとする女性達が登場する5編の短編集。共感ばかりの一冊。

よしもとばなな『スウィート・ヒアアフター』(幻冬舎)
自然豊かな京都の街で、アトリエを構え作品創りに没頭する恋人と支え合って生きていくはずだった…。交通事故で最愛の恋人を亡くしてしまった主人公・小夜の「喪の作業」の物語。無理はしない、でも逃げない。命の強さと喜びを噛み締めた一冊。

村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』(文春文庫)

作家であり、ランナーでもある著者が「走る」という行為を通じて自分自身を見つめ、それを「正直に」言葉にした一冊。
本書を手に取ったきっかけは、わたし自身も走ることを習慣にしようと思ったからだった。

著者は1982年の秋に走り始め、それから毎年必ずどこかのフル・マラソンの大会に出るほどのベテランランナーだ。週に60キロ、一ヵ月に260

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桐野夏生『ハピネス』

桐野夏生『ハピネス』

桐野夏生『ハピネス』(光文社文庫)

若々しくて、綺麗で、セレブで、おしゃれで、ハッピーなママライフ。

桐野夏生『ハピネス』は、女性誌に頻出しているこれらの言葉を体現するような人たちが暮らす、東京都・江東区の五十二階建てのタワーマンションが舞台の物語である。

このタワーマンションに暮らす専業主婦の有紗は、娘の花奈と二人でタワマン生活を謳歌している。夫は海外に単身赴任しており、有紗の実家は新潟と

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羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』は現代社会の現実と、皮肉と、ずるさを多分に感じられる物語である。

「もうじいちゃんなんて、早よう寝たきり病院にでもやってしまえばよか」(11頁)

二十八歳の孫・健斗は八十七歳の祖父のこの台詞を毎日のように聞いている。新卒で入った仕事を辞め、アルバイトで食いつなぐ健斗はフルタイムで働く母のサポートのた

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吉田修一『路(ルウ)』(文春文庫)
台湾で、日本の新幹線が走る…。日本の技術を世界に広めるべく進められた台湾高速鉄道プロジェクトの過程を描いた物語。台湾で働く若手社員の春香の視点から、台湾の街並みと日々の暮らしが映し出される。仕事の疲れを台湾で癒したくなる一冊。 #本 #読書

犬山紙子『地雷手帖』(文春文庫)
顔は可愛いのに、なぜか異性に好感を持たれない…自称「負け美女」の著者が女性の言動・ファッション・SNS等々を研究し尽くした一冊。本書を読めば好感を持たれない原因=「地雷」を避けてモテ女子になれるかも?!著者の鋭い指摘に抉られつつも勉強になる一冊。

能町みね子『オカマだけどOLやってます。完全版』
表題通りのエッセイ。苦悩の学生時代や親へのカミングアウトを経てバレる恐怖に追われつつ女性として働く著者のOL生活が語られる。ユーモアを交えつつも著者の苦悩が垣間見える。無自覚に他人を傷つける人にならないように気をつけようと思った。

西加奈子『炎上する君』
「足が炎上している男」に惹かれる私と親友の浜中。男に出会った直後に二人の足も炎上していき…。恋に燃える様子を「炎上」と表現した表題作ほか7編の短編集。
横光利一の短編のような不思議な感覚を味わえる読みの可能性に溢れた一冊。表題作と「ある風船の落下」が好き。

2015年7月~12月読書まとめ

2015年7月~12月読書まとめ

みなさま、新年明けましておめでとうございます!

本年もどうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

新年初テキストノートは、去年の振り返りですw

トークノートにも書きましたが、2015年は読書目標の100冊を達成しました~!!(^◇^)

長くなりますが、たけしまの読書記録にお付き合いくださいませ!

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2015年1月~6月の読書まとめはこちらです(^◇^)↓
https:

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黒川伊保子『夫婦脳 夫心と妻心はなぜこうも相容れないのか』(新潮文庫)
独身だけど読む。感覚でものを言う"女性脳"と全体を俯瞰して合理的に考えようとする"男性脳"の違いを夫婦の関係性から解き明かす一冊。大いに納得!仕事においても役立つかもしれない。 #読書感想文 #本

桐野夏生『グロテスク』

桐野夏生『グロテスク(上)(下)』(文春文庫)

9月はだいぶんおさぼりモードで、お久しぶりのnoteになりましたm(_ _)m
シルバーウィークに伏見稲荷大社でおみくじをひいたら「焦らずにコツコツ努力しなさい」というお告げが出たので、引き続きコツコツゆるゆる更新していきます。

本書は「アメトーーク」の読書芸人で光浦靖子さんが紹介していた一冊。
都内の名門私立女子校が舞台で、とある少女(のちに成

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浅田次郎『終わらざる夏』

浅田次郎『終わらざる夏』

浅田次郎『終わらざる夏(上)(中)(下)』(集英社文庫)

一年ほど前にnoteで紹介したいわた書店
(https://note.mu/mrn_123_mrn/n/nac918ea47122)
の素敵なサービス「一万円選書」が先週届いた。

今年のお正月に申し込み(約7ヶ月待ち…!)、やっと届いた11冊!どれを読もうかな〜とうきうきしながら背表紙のあらすじを流し読み、浅田次郎『終わらざる夏』を手に

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フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』

フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』

フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』(新潮文庫)

もしもわたしが作者だったら…『アンヌごめんなさい』みたいな安易なネーミングしか思いつかないだろうと思う。「言葉が美しい」ということを体感させてくれる一冊だった。

フランス南部の海辺の別荘で気ままなヴァカンスを楽しむ主人公・セシルとその父・レイモンのひと夏の悲しい思い出の物語。

思春期は過ぎたが成人になる直前の生意気盛りの年頃のセシル

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