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共通テストの解説(超簡易版):大問3 古文 本文の訳

こんばんは、しめじです。

今夜は、共通テストの第3問、いよいよ古典のことについて書いていこうと思います。
まずは、本文の口語訳が、大体どんな感じになるか、ということを紹介しておこうと思います。

実際の問題を解いた時に考えた手順や内容は、また次回以降書こうと思っています。

例によって、本文のリンクを貼っておきます。

まず、出典について。

今回は、「栄花物語」からの出題となりました。
2014年の「源氏物語」以来の、所謂「有名な物語文学」からの出典となったように思います。
(夕霧だったので、何なら読んだことある人も少数居たかも)

女性の手によって書かれた物語風の歴史書で、メインは藤原道長の死までが書かれた部分です。これが全体の文量の訳7割以上を占めています。

どうせ複数テキストをとるなら、今回のでもよかったですが、「大鏡」との比較とかでも面白かったかもしれませんね。
リード文に「栄花物語」と書いてあるのを見て、「大鏡」が出るかも、と思ったのは私だけではないのではないでしょうか。(そしてあまり関係ありませんでした)

訳(原文はリンクをご覧ください)

では、簡単に「こんな感じの訳ですよ」っていうのを書いてみようと思います。
検索した感じ、他にも書いていらっしゃる方は(当然ながら)おられるので、それらもご覧になって総合するとより豊かで正確な解釈になるかと思います。

・概ね逐語訳ですが、逐語訳に徹するという姿勢はとっていませんので、訳出していない語や、語調を整えるために加えた箇所も多少はあります。
・「思し残す」をどう訳せば今の日本語のニュアンスとして自然なものになるかわかりません。単なる私の勉強不足です。

 大北の方も、故人と縁あった方々も、また返す返す悲しみで転げまわっていらっしゃる。これをすら悲しく忌々しいことだと言わずに、一体何が悲しく見えるというのか。さて、中納言殿の亡き妻の亡骸を運ぶ車のあとに、大納言殿、中納言殿が続き、それ相応の方々はついて歩きなさる。そのご様子は筆舌に尽くしがたく、とても言葉で語り伝えられるものではない。北の方や、女房たちのお車が後に続いている。お供は数えようのないほどに大勢いる。法往寺では、いつものご来訪の時とは似ても似つかぬ車のご様子に、僧都も思わずお目が涙でくらみ、まっすぐ拝見なさることもかなわない。そしてお車の轅を降ろし、続いて人々が車から降りた。

 さてこの物忌の間は、誰もがそこに籠っていらっしゃるはずだった。山の方をぼうっと眺めなさるにつけても、さりげなく山々の紅葉色づいている。鹿鳴く声にはっとしては、少しばかり心細い思いが募る。長家の姉らからも、思い慰めようとする見舞が度々届くが、今はただ夢を見ているかのようにのみ思われながら過ごしなさる。月がひどく明るい夜でも、物思いをし尽くしてしまいなさる。内裏の女房達も、様々に見舞申し上げるが、それなりの身分の相手に「今に直々に」とだけお返事を書きなさる(ほどに憔悴している)。進内侍と申す者が、(中納言殿に)申し上げた。

契りを交わしただろう千代の歳月は涙の水底に沈んでしまい、あなた様の枕だけがその涙に浮いて見えているのでしょうか。(それほど、悲しみに暮れて多くの涙を流していらっしゃるのでしょうか)

中納言殿の返歌

寝ても覚めても妻と交わした契りは絶えて尽きてしまうことは無いから、だから枕を浮かべるほどの涙であるのだな。(それほど多くの涙を私は流しているのだ)

また、東宮の若宮の乳母の小弁は

悲しさをこのように深くお思いながらも、心をお慰めください。誰もが最後までとどまることが出来る世の中でしょうか。(いいえ、誰もがいつかこの世にとどまれない時が来るのです)

それへの返歌

悲しみを慰める方法などありはしないから、この世に永遠不変のものなどないということも、理解することができないのだな。

このように思われおっしゃっても、いやはや、ものを思うことはできるようだ、ましてや数月、数年と経てば、思い忘れてしまうようなこともあるのだろうかと、自分のことながら辛くお思いなさる。何事においても、どうしてこうも(素晴らしいのだろう)と感じの良い方でいらっしゃったのになあ、姿かたちをはじめとして、心の持ちようも、字も美しく、絵に深く心を寄せて、つい此間まで熱心にうつ伏せうつ伏せ絵をお描きなさったのになあ、この夏に描いた絵を枇杷殿にお持ち申し上げたところ、(枇杷殿は)その絵をいたく気に入ってお褒めなさって、お納めになったが、よくぞお持ち申し上げたな、などと、思い残すことはなく、何につけただ恋しくばかり思い出し申し上げなさる。(妻が)長年書き集めなさった絵物語などは、何もかも数年前の火事で焼け失せたあと、去年今年の間に集めなさったものも多かったが、実家に帰った時には、取り出して観賞して心慰めようとお思いなさった。

多分、大体、こんな感じです。
冒頭にも書きましたが、「思し残す」の「物思いを味わいつくさずに残す」というニュアンスをどうしたらいいか分からないので、ここの訳だけ著しくあいまいです。

もしもいい訳し方、あるいは、「ここの『思し残す』は未練の方だよ」という指摘がございましたら教えてください。

全体的に敬語が多用されていて、頭の中でいちいち全部訳しながら読んでいたら結構辛い文章だったように思います。

また、最後の段落、大半は長家の物思いが書かれていますが、その中にさらに引用が含まれる入れ子構造になっていて、正確に訳をとるのは結構大変な文章です。格助詞「と」や、終助詞「ものを」を丁寧に拾い上げて判断していくという点では、設問からは直接的な文法問題が消えましたが、ちゃんと文法知識をフル活用していかないと最後の最後に大混乱する素材が選ばれていたように思います。

ちゃんと単語を覚え、語彙を増やし、助詞や助動詞をしっかり勉強し、敬語も抵抗なく読めるように練習を積み重ねてきた人こそ高得点が期待できる、良い素材だったのではないかと思います。

では、今夜はこの辺で。

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