古典の文法の話3 形容動詞の活用
こんばんは。しめじです。
(追記:okno様のご指摘で気付いたことですが、本文の一部で主述の対応が乱れていました。教えてくださってありがとうございました。修正後にコメントを読んだ方が混乱するかもしれないので、コメントは私の返信も含めて削除致しました)
今夜は、用言の活用の最後、形容動詞の活用についてお話しします。
動詞の活用をしっかり身に着けた人であれば、非常にシンプルで、簡単ですので、さらっと理解して覚えてしまいましょう。
いつも通り、活用表から。
そもそも、形容動詞とは。
文字通り、形容動詞+動詞です。
意味は形容詞(ものごとの状態や様子をあらわす)、活用は動詞。
動詞みたいな形をした形容詞だから形容動詞、という感覚でいいと思います。
歴史的には、形容詞が足りない(既存の形容詞で形容できない状況にまで表現が細分化した)時に、名詞(静か、堂々、つれづれ)に、「にあり」や「とあり」をくっつけた言葉が使われ、それが一単語として扱われるようになった、と一般的に考えられています。
なので、その言葉が「形容動詞」なのか、「名詞+なり」なのか、あるいは「形容動詞の連用形が副詞化したもの(さっぱり何のことかわからないと思います。いずれわかります。今急いで覚える必要はないことです)」なのか、見分けが非常につきにくいです。というか、見分けようがないことがたくさんあります。
(まあ、見分けようがないものはあまり試験問題には出ないので、あまり不安がる必要はありませんが。これを見分けられるようになるよりも大事な文法事項は山ほどあるので)
(余談)「形容動詞」は学校でしか使わない?
「形容動詞」という分類は、実は「学校文法」特有のもの。
以前もお話しましたが、日本語文法は大きく分けて四つの派があります。形容動詞は、そのうちの一つ、学校文法のもとにもなった橋本文法が定めた品詞分類です。橋本文法と、もう一つの派がこの「形容動詞」という分類を用いています。
そして、残りの二つはこれと同じ「形容動詞」という分類は設けていません。
なので、とても雑に言うと学校文法の学習くらいでしか出てきません。
他の派では、「名詞+なり」「名詞+たり」としていたり、「形容動詞」という名前はあるけど分類が全く違っていたりします。(結構バラバラです)
なので、実は広辞苑はじめいくつかの辞書は形容動詞という分類を設けていません。それくらい、動詞・形容詞と比べて微妙な立場の品詞なんです。
じゃあ「形容動詞」という括りが無駄か、というと、そういうわけでもなくて、できるだけ助詞(いわゆる「て、に、を、は」)に頼らずに文の構造を考えることができるという点では非常に合理的な考え方だと個人的には思っています(この辺の話はややこしくなるのでもうしませんが)。
活用の覚え方。
「ナリ活用」と「タリ活用」の二つがあります。
「ナリ活用」は、「名詞+に+あり」がつづまったもの、「タリ活用」は「名詞+と+あり」がつづまったものなので、どちらも活用の形は動詞の「あり」、つまりラ行変格活用と同じです。
あとは、連用形に「に」「と」で終わってしまっているもの(○○に、○○と)が加わっているとだけ覚えればOK。
加えて、もう一つ覚えておいてほしいのは、二つある連用形の使い分け。
「○○なり」の場合は、そのあとに助動詞がつながります。
(例:静かなりけり)
それ以外の品詞は、「○○に」につながります。
(例:静かになる、教室は静かにて、静かに走る)
これも、理屈としては形容詞の補助活用と一緒ですね。
また、「ナリ活用」と「タリ活用」の違いとして、
「ナリ活用」は「静かなり」「豊かなり」「徒然(つれづれ)なり」「大きなり」などの、「和語+なり」という言葉が多いです。
(和語…日本固有の言葉、日本にもともとあったと考えられる言葉)
一方、「タリ活用」は「堂々たり」「悠々たり」「洋々たり」など、「漢語+たり」という言葉が多いです。
(漢語…中国から輸入した言葉)
という点が挙げられます。
というわけで、以上、形容動詞の基本的なお話でした。
あとは、実際の文章を見ながらやっていくのが一番だと思います。
しばらくは、用言の活用を中心に実際の問題で練習していきましょう。
何度も言いますが、これをしっかりマスターすれば、古典文法一番の難所、助動詞の理解もかなりスムーズになると思います。
では、今夜はこの辺で。
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