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古典文法のお話。

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枕草子で解く、古文の問題 2

こんばんは、しめじです。 数日前に、枕草子を題材に文法などの練習問題を作ってみました。 今夜は、その続きです。 もしよかったら解ける問題だけでも解いてみてください。 問題問 次の文を読んで、問に答えなさい。 宮仕人のもとに来などるする男の、そこにて物食ふこそいとわろ( A )。食はする人も、いとにくし。思はん人の、「なほ」など心ざしありていはんを、忌みたらんやうに口をふたぎ、顔をもてのくべきことにもあらねば、食ひをるにこそはあらめ。いみじう酔ひて、わりなく夜ふけてとま

枕草子で解く、古文の問題 1

こんばんは、しめじです。 久しぶりに、高校で学習する古文の話をします。 要は、簡単な練習問題です。 基本的な知識問題から、訳出問題まで、一通り出しますので、自分の学習の進度に合わせて、解ける問題だけ解いてみてください。 本文は、全て岩波文庫版に依りますので、お手元の本と章段の数字や細かな表記が異なるかもしれません。 問題問:次の文を読んで、問に答えなさい。  清涼殿の丑寅のすみの、北のへだてなる御障子は、荒海の繪、生きたるものどものおそろしげなる、手長足長などをぞか

【オト・コク】大人になってもややこしい敬語の話。

こんばんは、しめじです。 今夜は、タイトルのとおり「敬語」についてお話しします。 古文をきちんと読めるようにするには必須とも言えるのが敬語の知識です。 この知識がないと、主語が書かれないことが多い日本語の文章において、誰が何をいったのか、誰が何をしたのかを把握することが難しくなるからです。あるいは、敬語の知識を持っていれば把握がめちゃくちゃ簡単になるからです。 今の日本語は、性別や年齢などで使う言葉の「相場」のようなステレオタイプが存在しているので、例えば女性上司と男性

誰が何をやってるのかわからない、という人に

こんばんは、しめじです。 今夜は、古典のお話をします。 今年、高校生になった人であれば、とりあえず用言は一通りおわり、今は助動詞に悪戦苦闘している頃でしょうか。 受験生なら、そろそろ「メジャーではない」単語とかも一通り押さえたいところですし、基本の助動詞だけでなく、各種副助詞と終助詞の知識も確実にしていきたいところですね。 ただ、実際に文法を概ね身につけても、古文ってやっぱり読みにくい。 今夜は、ちょっと古文苦手だな・・・と言う人に向けたお話です。 古文って何で読みづら

古典文法の話7-番外編3 「せ」「し」の識別練習問題の答え合わせ後半。

こんばんは、しめじです。 ちょっと体調が悪かったので中断してしまいましたが、今日は昨日書いたことの続き、「せ」「し」の識別問題の答え合わせ、後半です。 問 次の各文の太字部の「せ」「し」は、それぞれ次のうちのどれか。1 過去の助動詞 2 使役・尊敬の助動詞 3 サ行変格活用動詞(またはその一部) 4 助詞 5 その他 第7問 水車を作らせられけり 答:2使役・尊敬の助動詞(ちなみに使役です) まず、前から見てみましょう。 直前の語は「作ら」。 古典の学習を進めてきた

古典文法の話7-番外編2 「せ」「し」の識別練習問題の答え合わせ前半。

こんばんは。しめじです。 今夜は、昨夜書いた「せ」「し」の識別練習問題の解答、解説を書こうと思います。 まあ、文法的な識別って、知識として正確に把握しておく必要があるのは受験生だけなんですが、古典を趣味で読めるようになりたい、という方も、最初はこういうところを丁寧にやっていくことから始めるのも手だと思います。また、こういう機会でもないと文語文法について解説付きで勉強することってなかなかないので、単に「知らんことを知るのが楽しい」という方も、うーんと頭をひねってくださるとうれ

古典文法の話7-番外編 「せ」「し」の識別練習問題

こんばんは。しめじです。 今夜は、昨夜予告した通り、識別の練習問題をだしてみようと思います。 昨夜、「せ」「し」の識別について話をしてみたのですが、実際に書いてみると思ったよりややこしかった(これは私の話の展開のさせ方が下手だっただけなんですが)ので、実際の問題を見ながらやってみましょう。 今夜は、問題編ですので、明日解答、解説を書こうと思います。 今夜の出典は「今鏡」「宇治拾遺物語」「徒然草」の一節です。東京書籍が出している国語総合の教科書に掲載された文面をベースにし

古典文法のお話7-4 「せ」「し」の識別。

こんばんは。しめじです。 今夜は、とりあえず押さえておきたい識別の話の続きをしようと思います。 今回は、「せ、し」の識別です。 「せ、し」のよくあるパターン3+1「せ、し」の識別を求められたとき、考えるべきはそれぞれ以下の4パターンです。 「せ」の場合。 ・サ行変格活用「す」の未然形。 ・使役の助動詞「す」の未然形、連用形。もしくは「さす」の未然形、連用形の一部。 ・過去の助動詞「き」の未然形。 ・その他、なんかの一部。 「し」の場合。 ・サ行変格活用「す」の連用形。

古典文法のお話7-3 「る、れ」の識別。

こんばんは。しめじです。 今夜は、「なむ」「に」に続いて、識別のお話をしようと思います。 今回は、「る、れ」の識別のお話です。 「る、れ」のパターン2+1 「る、れ」の識別を求められた場合、考えられるのは以下の三つです。 ・自発、受身、可能、尊敬の助動詞「る」、もしくは「る」「らる」の一部。 ・存続、完了の助動詞「り」の連体形、已然形、もしくは命令形。 ・動詞、助動詞の活用語尾の一部。 です。 ただし、一番下のものについては、「上の二つのいずれでもなければコレ」とい

古典文法の話7-2.2 「に」の識別:後編

こんばんは。しめじです。 今夜は、「に」の識別のお話の続きです。 昨夜は、前編として、完了の助動詞「ぬ」の連用形、の場合と、断定の助動詞「なり」の連用形の場合についてお話ししました。 軽く振り返っておくと、 ・「にけり」「にき」「にたり」「にけむ」といった、「に」+過去や存続の助動詞の組み合わせの場合→完了の助動詞「ぬ」の連用形 ・「にあらず」「にこそあらめ」「にやあらむ」「にもあらず」など、「に」の後に「あり」がある場合→断定の助動詞「なり」の連用形 でしたね。 で

古典文法の話7-2.1 「に」の識別:前編。

こんばんは、しめじです。 今夜は、「なむ」の識別に続いて、「に」の識別についてお話ししようと思います。 なぜ、「に」の識別?「に」の識別の問題が、おそらく出題率ナンバーワンです。 ちゃんと数えて統計とったわけではないので、あくまで単なる主観ですが、「よく出る文法問題は何の問題ですか?」と入試指導関係者に聞いたら、多分「に」の識別だと答える人が一番多いと思います。 で、なぜ「に」の識別かっていうと、知識があればわりと簡単に識別できるんですが、その知識がなくて文脈とかだけを

古典文法のお話7−1 「なむ」の見分け(識別)について。

古典文法の話をまとめたマガジンです。 これからやっていく内容を理解するにあたって、振り返りたいことがある時は(全てが網羅されているわけではありませんが)、是非ご覧ください。 今夜から、(もちろん他のことも多々挟みますが)「識別」について話をしていきます。 今夜は、頻繁に見かける割には、識別もしやすい「なむ」の話をします。 なぜ「識別」が必要なのか。 例えば、次の文を見てください。 とく金メダリストにならなむ。 「とく」は古典ではよく見かける副詞で、「早く」と言う意

「図らざるに」の「ざる」って何で「ざる」なのか?

でも、こんばんは。しめじです。 今日の、放課後、生徒から相談を受けました。 その生徒が自分で買ってきて取り組んでいる問題集(古文)の「宇治拾遺物語」から出題された文章に、 図らざるに という語句が出てくるのですが、 「先生、なんでこれ『ぬ』じゃなくて『ざる』なんですか?」 とのこと。 確かに、一般的に打消の助動詞「ず」の活用のうち、ラ変型の活用をする「ざり」とか「ざる」とか「ざれ」は補助活用と言って、基本的には助動詞が続きます。 しかし、「図らざるに」の「に」は接

古典の文法の話6−2 実践問題①の解答。

↑古典文法のお話をまとめたマガジンです。 今日の内容が、「あれ? そうだったっけ?」という時は遡ってみてください。 こんばんは、しめじです。 昨夜は、『枕草子』の第三段から、助動詞の問題を出しました。 今夜は、その解説をしていきます。 何番まで書くかは特に決めていません。もちろんできれば最後まで行きたいですが、字数があまりにも増えたら途中で分けるかもしれないです。では、早速。 七日、雪間の若菜摘み、青やかにて、例はさしもさるもの目近からぬ所にもて、騒ぎたるこそ、をかし