見出し画像

音楽の話 その三

バンドでやるとメンバー同士の仲の問題とか、スタジオに集まる時も時間を合わせなきゃいけないし、録音だってNG出せばやり直さなきゃいけない。
僕は数十曲でも百曲でも曲を書く自信はあります。
ただ、ヒット曲を作るとなるとそう簡単にはいかないんですけど、ヒット曲をある程度研究してきた結果、コツはわかってます。
ボーカルがいなかったらボカロでやるというやり方もあります。
ボカロというのは知ってのとおり歌詞とメロディーを打ち込むとコンピューターの声が歌ってくれるというソフトです。
まあ、デモテープの段階ではそれでもいいんですけど、ボーカルが不在でも最終的には誰かに歌ってもらうし、そういう前提で作ります。
できた曲はYouTubeにアップします。
他にいいメディアがあったらそれでもいいです。
ボーカルがいなかったら僕が歌います。
ただ、僕は裏方でやりたいのであくまでYouTube用にですが。
現にそうやって活動してる歌手、バンドもたくさんいますけど、注目されるには映像のほうにも力を入れる必要があるかもしれません。
そういうのはその都度考えていけばいい。
僕は若い時に音楽の理論を一通り学びました。
ただ、一通りなので当たり前のことを当たり前にわかってるというだけですが。
音楽にそれほど詳しくない人向けに言うと、音楽の和音にはざっくり言ってメジャーコードとマイナーコードしかありません。
基本は3話音なんですが、これにもう一つ加わって4和音にしたりします。
3和音のコード進行だとコード感がくっきり出るんですけど、4和音のコード進行だとコード感がぼんやりします。
だから4和音はアップテンポよりはバラードのほうが向いてます。
バラードのオケっていうのは全体的にぼやーっとさせたほうがいいですから。
メジャーコードは明るい、力強い響きなのに対してマイナーコードはちょっと暗い、悲しい響きです。
ほとんどの曲はメジャーコードとマイナーコードの組み合わせでできています。
例えば、明るい曲を作ろうと思って全部メジャーコードだけで作ったとしても、そうするとのっぺりしてしまって起伏がないし、悲しい曲を作ろうと思ってマイナーコードばかりで作っても同じです。
メジャーコードとマイナーコードを組み合わせることでどっちも引き立つ。
ただ、やっぱり明るめの曲はメジャーコードのほうが多いですし、暗めの曲はマイナーコードのほうが多いです。
音域には低域から高域がありますが、例えば低い音域を強調したいと思ってバスドラとベースだけでオケを作ってもいまいち低域が際立たないんです。
そこにハイハットやシンバルが加わることで低域感が出る。
だから、僕が言いたい音楽の極意の一つは差ということです。
コントラストをつけることが大事だと思ったんです。
スイカに塩をかけると甘さが際立ったり、あんこを作る時、塩を入れるようにコントラストがあってはじめて際立つものがある。
僕が音楽から学んだ事は世の中のいろいろな事に当てはめて使えるんで役に立ちます。
普通のアーティストっていうのはひたすら自分たちがカッコいいと思う音楽を追求してやっていく傾向があるんですが、プロデューサーを目指していた僕はそれぞれの人の良さを引き出して際立たせることが大事だという視点でいろいろな音楽を聴いてきたんです。
だから、アーティストを目指している人と僕とでは音楽の聴き方やものの見方は違うと思います。
演歌はすたれたって言われてますけど、なんでかおわかりですか?
演歌に理論的な定義というのはないんですけど、強いて言えば「ヨナ抜き」という作曲の仕方で作られてるんです。
「ヨナ抜き」というのはドレミファソラシドの4番目と7番目の音を使わないで作曲するということ、つまりドレミソラドの音だけで作曲するというやり方です。
もちろん演歌に理論的な定義はないんで、ファやシの音を使ってもいいんですけど、ファとシを使わないからこそ演歌っぽく聴こえるわけで、それやったらおそらく演歌っぽく聴こえなくて歌謡曲っぽい曲になっちゃうんじゃないかな。
歌謡曲はドレミファソラシド全部使います。
つまり歌謡曲やJ-POPは7つの音で作曲できるのに対して、演歌は音が2つ少ない5つの音しか使えないんで、全盛期の時にメロディーが考え尽くされてしまったようなんです。
そんな単純なもんなのかと思うかもしれませんが、音楽って案外そういうもんです。
だから、J-POPだっていずれすたれる運命にある。
もうその時代に入ってると思いますけど、まだすたれきってはいないようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?