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✓二人の嘘/一雫ライオン

▽あらすじ
女性判事・片陸礼子の経歴には微塵の汚点もなかった。
最高判事への道も拓けてもいた。
そんな彼女が懲役刑に処した元服役囚。
近頃、裁判所の前に佇んでいるのだという。
違和感を覚えた礼子は調べ始める。
それによって二人の人生が宿命のように
交錯することになるとも知らずに・・・


▽印象に残った文章

「なんで人は、大事な事を話すときに、横にいるんでしょうか。」
「むきあってしまえば、目を見てしまう。
目を見てしまえば、真実を語りたくなってしまう――
だからじゃないですかね。」

▽感想
礼子はまるでロボットみたいと思った。
毎日同じ時間に起きて家事じして通勤をして退社して寝る。
夫にも義実家にも職場にも自分の感情持ち込まないし
そもそも持っていない。
こんな人生楽しいのかなと思ったけど、
本人自身がそういう感情がないのなら話は別のなのかもしれない。

でも、元服役囚の蛭間の前だと感情をあらわにする礼子。
とても楽しそうで、そして幸せそうだった。

夫も外で女と過ごしているし、
義実家からの扱いもなかなかにひどいし、
この夫婦の本当の形って何なんだろう。
そういうの見れば蛭間といるのが
良いのかな、なんてことを考えてしまった。

寂し間と哀愁がただようこの小説は
今の時期に読むにはぴったりの季節感だと思った。


✓二人の嘘/一雫ライオン/幻冬舎文庫

↳サンプルもありますので、ぜひ

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