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✓もう別れてもいいですか

▽あらすじ
58歳主婦・澄子は 、横暴な夫・孝男との
生活に苦しんでいた。
田舎の狭いコミュニティ、
ギスギスした友人グループ、
モラハラ夫に従うしかない澄子を変えたのは、
離婚して自分らしく生きる
元同級生との再会だった。
勇気を振り絞って離婚を決意するも、
財産分与の難航、経済力の不安、
娘夫婦の不和など困難が山積み…

▽印象に残ったフレーズ

「そもそも給料が全然違うじゃろ」
だったら何なんだ。
給料が多いほうが人間として上等なのか。
人間の価値は給料の額で決まるのか。

そのときふと、この野菜たちは
妻という立場の人間と同じではないかと思った。
鍋から溢れそうな瑞々しい野菜を、
ギュッと無理やり抑えて狭い場所に閉じ込め、
水分が出て萎びて
小さくなる時間を待つ…。
それはまさに女の人生そのものではないか。
みんな離婚しないのではなくて、
できないのだ。
だってお金がない生活が怖いから。
女1人で生きていく自信と
強さを兼ね備えていないから。
そしてなんと言っても、
世間の人に不幸な女だと思われるのが
恥だと思っているから。

「たとえば旦那はあのとき
人前で私を馬鹿にしたとか、
自分より舅姑を優先したとか。
そういったひとつひとつの出来事は、
男からしたら
些細なことに感じるかもしれないけど、
屈辱感が積りに積もっていくのよ。
そういうのって時間が経っても
忘れたりできない。
いわば永久不滅ポイントよ。」

人には色々な考え方がある。
自分と違うといって否定していたら、
この田舎町では孤独に陥ってしまう。

▽あらすじ
こういう離婚の類の話を聞いたり
読んだりするときに必ず思うのが
永遠の愛を誓ったのに
別れを告げるほど
ボロボロの関係性になるのは
どうしてなんだろうなあと思う。
何が関係性を変えて
何が悪くしていくのかなあ。

DVやお金問題は
別れるに値する理由だと思うけど
モラハラというのは
一度愛した人を
どうして蔑むような扱いになってしまうのか
それが不思議でたまらない。

こいつにならそう言っても大丈夫だろう
という下にみた関係性になってしまうのか
俺が私がいなきゃ、こいつはやっていけない
という、束縛にも似たような感情から来るのか
当人達ではないから分からないけれど
悲しいなあと思う。

でも、それは自分にも
無いわけではないなあとも思う。
ふとしたきっかけで
相手にそんな思いを抱かせてしまうかもしれないし
自分が抱くかもしれないし。

モラハラな夫の言動に、終始腹が立ってたけど
その都度思ったことがある澄子が
その言葉を飲み込むのにもモヤモヤした。
それを言い返されるかもしれないけど
その都度言うって大事だなと思った。

お互い助け合って夫婦をやっていきたいな。
気づけばやるも、気が付かないフリも
しないことが前提だし
思ったことはいつもどんな時でも
口にできるような関係性を
作りながら夫婦をしていきたいなと
思わされる本でした。

もう別れてもいいですか/垣谷美雨/中央公論新社

↳試し読みもありますので、ぜひ

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