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✓マカロンはマカロン

▽あらすじ
下町の小さなフレンチ・レストラン、
ビストロ・パ・マルは、スタッフ四人。
カウンター七席、テーブル五つ。
フランスの田舎を転々として、
料理修業をしてきた変人シェフの
三舟さんの気取らない料理と、身も心も
温めてくれるヴァン・ショーは大人気。
そして、実はこのシェフ、客たちの
持ち込む不可解な謎を
鮮やかに解く名探偵でもあるのです。
豚足をめぐる少年と母親の
再婚相手との物語。おしゃれな
大学教師が経験した悲しい別れの謎。
消えたパティシエが残した言葉
「マカロンはマカロン」とは?

▽印象に残ったフレーズ

「好き」という言葉は
嫌い以上の大きおな幅を持っている。

▽感想 
今回もおもしろい謎ときばかり!

乳製品アレルギーの女性の話では
お母さんは交通事故で亡くなり、
お父さんはその女性を東京に預けて
1人でシェフとして働き続ける。
その父はバターと生クリームをたっぷり使った
フレンチ料理専門だったから
お父さんの料理は食べられなかった。
お互いにきちんと歩み寄れず
それを女性はずっと悔やんでいた、
そんな時に見つけたお父さんの遺品の
ベッコフという食器…
その意味を知ったときに、
もっと早ければ歩み寄れてたのではと
思わずにはいられなかった。
今後のベッコフが彼女にとって
良い思い出になるといいな。

再婚した母、そして息子とその相手との話では
お肉が食べられなかった冬樹くんが
隅田さんと出会って、
食べられるようになった…なぜ?
実は食べたチキンの骨で
標本を作っていた!
この発想にはにやりとした笑
男の子の心をしかも思春期の子の
心をぐっと掴んだ隅田さんは凄い、
きっと優しいお父さんに
なってくれると思った。
三舟シェフが最後共犯になったのも
ニヤリとしてしまった。

日本人男性と海外で出会った
中国人女性との話では、
とある旅先で鮮鴨血を食べるというのは
野蛮すぎると男性が言った言葉に
ショックを受けた彼女。
なぜなら彼女の産まれた故郷は
そういう文化があるからだ。
彼に故郷を否定された気もしたし
それを恥ずかしいと思った自分にも
ショックを受けていた。
この話はなかなかこたえた。
悪気のない言葉が誰かを
傷つけてしまうこと。
そして、彼女は愛してもらおうと
自分の食文化も愛してほしいから
彼に歩み寄ろうとする姿勢が
とても素晴らしいと思った。

他にもたくさんあったけど。
三舟さんがとても勘がするどい。
前作もだったけど、料理に絡めて
この謎を作るのは凄いなあ

マカロンはマカロン/近藤史恵/創元クライムクラブ

↳文庫本

↳単行本

試し読みもありますので、ぜひ

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