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✓思いわずらうことなく愉しく生きよ/江國香織

▽あらすじ
余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。
三人三様問題を抱えているものの、
ともに育った家での時間と記憶は、
彼女たちをのびやかにする―――
不穏な現実の底に湧き出るすこやかさの泉。


▽印象に残ったフレーズ

「人はみないずれ死ぬのだから
そして、それがいつなのかは分からないのだから
思いわずらうことなく愉しく生きよ」

思いわずらうことなく愉しく生きよ


▽感想

江國さんの名前は知っていたけれど、
作品を読むのは初めて。
読んだのは2,3か月も前で、
ちょうど鬱の症状も落ち着いて
本を読み始めていた時期
本のタイトルがその時の自分に
響いたので手に取った記憶がある。

メンタルケアというかエッセイか詩集なのかなと思っていたけど
そうではなく、3姉妹が各々の人生をタイトルどおり
思い煩う(いろいろと苦しんで悩む)ことなく生きていくお話し

麻子、治子、育子の恋愛や
結婚を通して相手とのやりとりや行動が
私の思う恋愛観や結婚観に
当てはまったり当てはまらなかったり…
今の自分に子供がいなかったり、
来世も人間に生まれ変わったら
やってみたいなと思う男女関係もあった笑

文章と文章の間、ページを捲るときで3姉妹の視点が切り替わる
という書き方に始めは誰の視点か分かりにくかったけど
読み進めていくうちに、
3姉妹がどんな性格でどんな人間なのか
それが分かってくると後半は
誰の視点で書かれているかすぐに分かった。
人の特徴を読者に伝え刷り込ませる
この作者さんは凄いなと思った。

あとは、兄弟、姉妹がいると
心強いなと本を読んでいて思った。
私も下に二人いるけれど、
いつも妹弟がいてよかったなと思ってる。
きっと作中の三人もそう思ってたと思う。

きゅんとしたりする恋愛小説ではなく
こんな生き方、こんな恋愛、結婚もあるよという
本だった気がする。

ちなみに学がないのがバレてしまいそうだけど
なぜ「楽しく」ではなく「愉しく」なのか調べたら
楽しく:与えられたこと(物理)に対して過ごすこと
愉しく:自分自身の気持ちや思いから生まれたたのしい状態のこと
らしいです!知らんかった!

思いわずらうことなく愉しく生きよ/江國香織/光文社文庫


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