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配給会社ムヴィオラの映画1本語り

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#河

【配給会社ムヴィオラの映画1本語り】『春江水暖〜しゅんこうすいだん』⑪「河(川)の映画」というものがある気がする

【配給会社ムヴィオラの映画1本語り】『春江水暖〜しゅんこうすいだん』⑪「河(川)の映画」というものがある気がする

ちょっと入稿続きで、間が空いてしまいました。

とある新聞社の映画記者Iさんとメールのやりとりをしていたら、「「河(川)の映画」のことを思い出した。Iさんは昔、パオロ・ソレンティーノの『グレート・ビューティー/追憶のローマ』の映画評を書いていたのだが、そのテベレ川の描写が見事で、文章を読んで「このテベレ川を観なくては!」と映画館に駆けつけた。後日、お会いした時に「川の映画がお好きですよね」と言った

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【配給会社ムヴィオラの映画1本語り】『春江水暖〜しゅんこうすいだん』⑥10分53秒のシーンを何十テイクも? 鬼ですか?

【配給会社ムヴィオラの映画1本語り】『春江水暖〜しゅんこうすいだん』⑥10分53秒のシーンを何十テイクも? 鬼ですか?

昨日の記事の続きになるが、「競争しないか?僕は泳いで君は歩く」の、泳いでから最後船に上がるまでの10分53秒の超ロングテイク。これは素人キャストだからこそできたシーンと言ってもいいと思う。もちろん「映画のためならなんでもやります!」と、延々と泳いでくれる奇特な俳優さんももちろんいるだろうけど。普通なら「スタント使いましょう」だ。

このシーンに登場している孫娘グーシー役のポン・ルーチーさんは、小さ

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【配給会社ムヴィオラの映画1本語り】『春江水暖〜しゅんこうすいだん』⑤「これは驚いた」「これは映画史に残る」。10分53秒の自由。

【配給会社ムヴィオラの映画1本語り】『春江水暖〜しゅんこうすいだん』⑤「これは驚いた」「これは映画史に残る」。10分53秒の自由。

リュミエール兄弟によって、パリのグラン・カフェ地階の「インドの間」で、『工場の出口』を含む10本の短編が上映された1895年12月28日。この日を「映画が誕生した日」と呼んだりもするが、それから125年。それだけ経てば、映画の撮り方・作り方はセオリーだらけで、もう「映画の表現」は出尽くしたろう、新しいことなんかないだろうと思う人がいるかもしれない。映画に愛着のない人だと「映画はもう古いメディアです

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