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映画感想文・今敏作品「千年女優」「パプリカ」 時代を先取り、でも自分は欲張ってしまう

配信で「千年女優」と「パプリカ」を観ました。
感想を書いてみようと思います。
両作とも今敏(こん・さとし)さんのアニメ作品。

現在、今氏の「パーフェクトブルー」という作品が4Kリマスターで映画館で上映されてて、面白そうだなと思ったのだけど、映画館に行く時間が取れなかったので、家で他作品を観たのでございます。

千年女優

2001年の作品。
長い間人前に出てこなかった伝説の老女優のドキュメンタリーを撮るために、男2人が老女優の邸宅に向かう。
そして老女優はインタビューに答えながら、自分の人生を振り返るーーー

ってのが物語の太い縦軸。
映画女優なので、彼女の人生を出演映画に重ねて描いていきます。
時に映画、時に現実の入れ子構造の展開が鮮やか。
1時間半ぐらいの尺ですが、その構成で最後まで突っ走ります。

まあやってることは、主人公の老女優が初恋の人をひたすら追いかけるというシンプルなものの繰り返しなんだけど、脚本がとても緻密で出来がいい。
だから飽きません。映画内映画も楽しい。
自分が好きなタイプの映画です。

でもじゃあ、ものすごく評価が高いかというと、どこか物足りない。
うーん🤔結局は自意識の拡大というか。
描かれてるのは初恋の人を追いかける気持ちを結晶化したシーンばかりだから、どこをとっても金太郎飴的に素敵なんだけど、一方でそれがちょいと自意識を長く伸ばしてる感じで食傷してしまう。

前にアメコミ論を書いた時にヒーローは自意識過剰が良いと書いた自分なので、自意識過剰気味なのは好きなのだけど、いかんせんアメコミだと必ず出てくる敵がいないので、相対化する相手がいない。
自意識だけで突っ走ってる。

現在のネット時代の自意識拡大(この文章も含まれます)につながるお話だと思うけど、自分はその先を描いて欲しかったというのが本音です。
でもこれは欲張りすぎかもしれません。

平沢進氏のエンディングテーマ🎵がめっちゃ良かった↓↓↓(6番目の曲です)

パプリカ

こちらは2006年の作品で、原作あり(筒井康隆氏の同名小説)。
他人の夢に入れる機械「DCミニ」が盗まれるのだけど、それが悪用されるのを防ぐためにサイコセラピストの主人公たちが奮闘する物語。

「千年女優」は映画と現実を行ったりきたりする話だったのに対し、「パプリカ」は夢と現実が交わっていく話。
あのクリストファー・ノーラン監督「インセプション」に影響を与えているとのこと。

こちらの「パプリカ」も脚本が緻密で、とっても出来がいい。SF好きとしては夢の中に入れるってだけでワクワクします。

ただこの「パプリカ」も何だか物足りない。
この作品も夢という自意識の拡大なのだけど、このお話は黒幕がいて、最後パプリカ(主人公の名前です)と黒幕が対峙する。

で、パプリカは黒幕を口から吸い込んで勝利する。
打撃系の闘いにはならないところは歓迎するのだけど、そこにカタルシスを感じられなかったから、物足りなかったのかもしれない。

うーむ🤔でもここの表現は難しいですよね。
今氏はあやふやにするのは潔くないってことで、ちゃんと見せる姿勢はステキ。
敵すら自らの体内に取り込むって意味合いは時代を先取りしてると思う。
ただ観てると「なんじゃそりゃ」感もある。
ほんと難しいよなあ。
打撃系じゃない決着のつけ方はよいのだけど、その先を観たかったというのがこれまた本音です。
でもこれまた自分が欲張り過ぎかも。

両作とも2023年から観た感想なので、フェアじゃないことは断っておきます。
むしろ今観ると思うところある作品かなと。
おすすめします。

両作とも総合評価 ☆☆☆+☆半分(☆5つが最高)

こちらも平沢進氏のエンディングテーマ🎵がめちゃくちゃ良かった↓↓↓
千年女優の曲とともに通勤でヘビロテしてます。

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