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【映画感想文】SF作品3つ!

この1月にSF作品を立て続けに鑑賞したのですが、各々つぶやきで感想を書きました。
短い文字数でパパっと打つのが、なんか心地よくて。
ただもう少し長い文章で表現したいという気持ちが盛り上がってきたので、3作まとめて感想を書いてみようと思います。
お付き合いいただけると幸いです。
※いずれも配信(なんちゃらプライム)で鑑賞しました。


カオス・ウォーキング

2021年 アメリカ
監督 ダグ・リーマン
西暦2257年、汚染した地球を旅立った人類は新たな星「ニュー・ワールド」にたどり着くが、その星では男たちの頭の中の考えや心の中の思いが「ノイズ」となってさらけ出されてしまい、女は死に絶えてしまう。ニュー・ワールドで生まれ育った青年トッドは、一度も女性を見たことがなかったが、ある時、地球からやって来て墜落した宇宙船の生存者ヴァイオラと出会う。初めて見た女性のヴァイオラに恋心を抱くトッドは、ヴァイオラを利用しようとする首長のプレンティスから彼女を守ろうと決意。逃避行の中で2人は、星に隠された驚くべき秘密を知る。

映画.comより

職場の同僚に勧められて鑑賞。
「スパイダーマン」のトム・ホランド、「スター・ウォーズ」のデイジー・リドリー、あとマッツ・ミケルセンも出てます。豪華俳優陣でございます。

あらすじからだとちょっと分かりにくいかもしれませんが、ジェンダーや多様性を意識した作品だと思いました。
未来・新しい星・男の心の声だけダダ漏れ・異星人などなどハードSFの要素を通して、こんにちの社会感覚に合わせた野心作。

男だけのコミュニティで暮らす主人公・トッドは村はずれの男性同士のカップルに育てられているし、この星にやってきた女の子のヴァイオラはトッドと行動を共にするのだけど、常にトッド(男)より前に立つ。
もうひとつ存在した男女混合のコミュニティのリーダーは女性だし、男だけのコミュニティでは「異星人が女性を殺害した」と信じられていたけど、その異星人は見かけはクリーチャー(怪物)っぽいけど、狂暴ではなかった。
実際女性たちを殺したのは、男だけのコミュニティのリーダーであるマッツだった、っていうオチ。
で、そのマッツも最期自分が手をかけた女性たちの幻影に怯え、命を落とす。

何かとても暗示的ですよね。。。
まあトッド役を演じたホランド君が初めて女の子を見て、「かわいい。キスしたい」って心の声がダダ漏れのところはラノベ的に微笑ましいといえば微笑ましいけど、男って「権力欲」と「性欲」しかないのか。。。
「(性別に起因することなく)より良い社会を作りたい」って男は皆無なのか。
まあ今の政治家見るとほんとどうしようもないけど。

話を作品に戻すと、ひとつひとつの要素は深堀りできそうなのだけど、いろんなものを浅く広くって感じだから散漫な印象が残る。
SFというジャンルには(一見遠い世界に思えるフィクションを通じて)現実に風穴を開ける力があると自分は思うのだけど、そこまでのパンチ力はなかったかな。

HELLO WORLD

2019年 日本
監督 伊藤智彦
2027年、京都。内気な男子高校生・直実の前に、10年後の自分だという人物・ナオミが現れる。ナオミによると、直実はクラスメイトの瑠璃と結ばれるが、その後彼女は事故で命を落としてしまうのだという。直実は瑠璃を救うため、大人になった自分自身とバディを組んで未来を変えようと奔走する。しかしその中で、瑠璃に迫る運命やナオミの真の目的、そしてこの現実世界に隠された秘密を知り……。

映画.comより

あらすじにあるように、事故で命を落とした彼女を救うために10年後の自分が現れるーーという、SF好きにはたまらないアニメーション作品。
ご飯何杯でもいけちゃうやつですね。
この種のものは手をかえ品をかえ何度でも作ってほしい。

とそう言っておいてなんだけど、今作は既視感強め。
ネタバレにつながってしまうのだけど、主人公の世界は実はデータの中の世界だったっていうのはマトリックスぽいし、そのデータ世界にも階層があるのはインセプションぽい。
京都の街の描写がリアルなのは新海作品ぽいし、カラフルでポップなデータ世界描写は細田作品ぽい。主人公の自意識で物語が突っ走っていくところは今敏作品。

今挙げたとこは嫌いじゃないのだけども、良く言えばいいとこどり、悪く言えば寄せ集め。
うーん、自分の印象は後者かなあ。

この作品は最後にどんでん返しがあって、そこにジェンダー要素があります。
どんでん返しのネタバレは避けたいのではっきりとは書かないけど、こういうお話って、どうしていつも男が女を救うんでしょうね…。

はい、ここまで。あとはご自身の目でお確かめくださいませ。

インフィニット 無限の記憶

2021年 アメリカ
監督 アントワン・フークア
身に覚えのない記憶と不安定な精神状態に10代の頃から悩まされてきたエヴァンは、定職に就くこともできず薬物に頼る日々を送っていた。そんな彼の前に謎の組織の人間が現れ、衝撃的な事実を告げる。世界には記憶を保持したまま輪廻転生を繰り返す人間「インフィニット」が存在し、エヴァンもその1人だというのだ。戸惑いながらも事実を受け入れたエヴァンは、輪廻転生を断ち切るために人類滅亡を企む「ニヒリスト」たちを阻止するべく立ち上がる。

映画.comより

あらすじにあるように、前世の記憶を持ち続けながら転生している人たちが善・悪のグループにわかれて争っているお話。
主人公と敵ボスが「(紀元前の)第二次ポエニ戦争で初めて出会った」ってセリフをやり取りした時は笑いました。
ポエニ戦争…世界史の授業以外ではまあ出てこないワード。
自分、声に出したくて家で何度かつぶやきました。「ポエニ戦争」。
世界史を勉強してるとほんとにいろんな戦争名が出てくるけど、「ポエニ戦争」を選ぶ渋さに笑いました。
「ポエニ戦争」、今後発する機会はあるのだろうか?

ただ映画はいたってシリアスで(笑ってごめんなさい🙇)、そんな設定のアクションもの。
でも紀元前のワードを持ち出して壮大そうに見せかけて、実は小ぢんまりした作品。

登場人物は多くないし、敵グループはもう転生をしたくないから世界中の生き物を死滅させようとするのだけど、敵ボスは善グループの人たちの魂をコレクションして部屋に飾ってるので(名前が書かれたブロックみたいなもの。それをされると転生できない)、自分にそれをすればいいのではと思うのだけど、嫌みたい。何でだろう?

で、いつも西洋人に転生するのは変だよねってことで、過去にアジア(日本)人だったってこともあって、刀を作ったり刀でアクションをしたりする。
輪廻転生が仏教的ってこともあるのかもしれません。
アジアンなものを好意的に取り入れている作品です。

ただ今作には、いつの時代も恋人同士の男女がいます。
前世の記憶があるから待ち合わせの場所を決めて、そこで必ず出会うようにしている。
この設定、以前なら「来世でも結ばれよう」的でロマンチックな感じがしたけど、自分が思ったのは男がいつも男に転生するとは限らないよなと。
百歩譲って常に人間に転生するとして、「男女」「女男」「男男」「女女」のパターンがありうる。
何でもかんでもジェンダーに結び付ければいいってものではないけど、そういう観点があれば作品に幅が出るのになと。

『ゲド戦記』で有名なSF作家・ル=グウィンさんの『闇の左手』という作品には両性具有の星人が出てきます。
その星の人は発情期があって、その時期に男になるか女になるか本人も分からない特徴を持っている。
ただジェンダー的な面ばかり押し出した小説かというとそうでもなくて、政治闘争に敗れた主人公たちが極寒の氷原を生死をかけて渡りきるエピソードもあって、あんまりジェンダーうんぬんってことは考えなくてハラハラドキドキした記憶があります。
半世紀前の1969年の作品です。

SFってやっぱ面白い。またSF作品レビューしたいなあ。

長文にお付き合いいただきありがとうございました😭


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