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90年代邦画2本「バタアシ金魚」「地獄の警備員」

配信で「バタアシ人魚」と「地獄の警備員」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。

この2本をチョイスした理由は特になくて、たまたま90年代の邦画を続けて観たのでございます。
お付き合いいただけると幸いです。

バタアシ人魚

1990年 日本
監督 松岡錠司

ある日の放課後、カオルはプールサイドのソノコに一目惚れ。カナヅチのくせにさっそく、水泳部に入部。ソノコの都合も考えず、すさまじく圧倒的なパワーでアタックを開始。よせばいいのに、ソノコ君との愛のためにオリンピック出場を決意したカオルは、首から金メダルをぶら下げた変なババアをコーチにスイミングクラブに通い、猛特訓を始める。良くいえば、天衣無縫で素直で率直…しかし、ほとんどが一方的にイカレたカオルのパワーにソノコは開いた口がふさがらない。「アイツはね、女のくさったヤツのケツふく紙よ! 」と言い放っていたソノコだが、やがてカオルの“ダサさ”と“一途さ”の間で揺れ動き、やたら食欲旺盛になっていくのだった…

Filmarksより

オフビートな乾いたコメディと真っ直ぐで熱い青春ものを両方表現しようとした、とても志高い作品。
松岡氏のデビュー作で、原作は望月峯太郎氏の漫画(望月氏もデビュー作)。

原作ありきってこともあるけど、デビュー作でこれはすごい!と思う一方、デビュー作だからこそ出来たって気もします。
(デビュー作にこの漫画を選ぶセンスは良すぎだと思います)
これから自分なりの作品をつくっていくぞ、っていうすがすがしい創作野心を感じました。

高校生の青春恋愛ものなのだけど、キラキラした部分とそうでない部分がまぜこぜになった、なかなか一筋縄でいかない作品。
でも見入ってしまう不思議な魅力があります。
季節は夏でロケシーンが多くて、緑がいっぱい映っているのも青春ものっぽくて見ていて気持ちよかった。

松岡氏の作品は他に観たことがないので、作風・文体がどう変わっていったのか(もしくは変わっていないのか。ってことはないか)、ちょい気になります。
ひとりの監督の作品を追って観てみるっていうのもいいですよね。

地獄の警備員

1992年 日本
監督 黒沢清

「スパイの妻 劇場版」でベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督が、1992年に手がけたバイオレンスホラー。バブル景気で急成長を遂げた総合商社に、絵画取引担当の秋子と警備員の富士丸という2人の新人が入社した。元力士の富士丸は兄弟子とその愛人を殺害したが、精神鑑定の結果無罪となった要注意人物だ。秋子が慣れない仕事に追われる一方で、警備室では目を覆うほどの惨劇が幕を開けていた……。

映画.comより


はい、黒沢清監督のホラー映画です。
なんだろう、その世界観だったり恐怖演出が好きです。
気持ち悪いクリーチャー(怪物)を作り出すのではなく、手前は暗いんだけど廊下の先がうす明るくてそこに何かの影が映りそう、みたいなホラー表現がいいんだよなあ。
怪物に襲われてハラハラドキドキする良さもあるけど、周囲の気配が気になる演出って良いですよね。

黒沢監督の名前は知っていたのだけど、「スパイの妻」以外は観たことがありませんでした。
「スパイの妻」は作品に漂う不穏な演出のドライブ感に惹きつけられたのだけど、全体として乗れない自分がいました。
何でだろう?お話の後半がモヤっとしてたからなあ。
あと、俳優の演技の質と作品の雰囲気がいまいち合ってない気がして。
前のめりになりたいのだけど、何だかなれないっていうもどかしい感覚があったんだよなあ。
ただの相性かなあ。

「地獄の〜」に話を戻すと、「スパイ〜」につながる不穏演出の萌芽を感じました。でもまだ徹底具合が緩いし、リズムもテンポアップできそう。
黒沢監督もこの作品から「スパイ〜」までどういう変遷を辿ったか追ってみると面白そう。

たまたま90年代の邦画を2本続けて観たのですが、両作とも作家性の濃い作品で見応えがありました。
今まではその時々の気持ちが向いた作品を観てきたけど、系統だてて(監督なり年代なり)作品を追うっていう見方もいいなあ、と思った次第でございます。

2作品とも総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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