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理想の生き方!映画「幕末太陽傳」

「幕末太陽傳」を配信で鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。

※この作品は品川が舞台なのですが、ものすごく良い作品だったので、品川まで写真を撮りに行ってしまいました。青春だぜ。
それにしても、月、明るいなあ。

1957年の邦画で、監督は川島雄三氏。
いやあ、傑作ですね。まいりました。
登場人物たちが早口で、正直台詞を聞き取れたのは、全体の6~7割。
それでも面白い!

はじめに

簡単な情報です

1957年 日本
監督 川島雄三
佐平次 フランキー堺
高杉晋作 石原裕次郎 など

頃は幕末、ここ品川宿の遊女屋相模屋に登楼したのは佐平次の一行。さんざ遊んだ挙句に懐は無一文。怒った楼主伝兵衛は佐平次を行燈部屋に追払った。
ところがこの男黙って居残りをする代物ではない。いつの間にやら玄関へ飛び出して番頭みたいな仕事を始めたが、その要領のよいこと。売れっ妓こはるの部屋に入浸って勘定がたまる一方の攘夷の志士高杉晋作たちから、そのカタをとって来たり、親子して同じこはるに通い続けたのがばれての親子喧嘩もうまく納めるといった具合。しかもその度に御祝儀を頂戴して懐を温める抜け目のない佐平次であった。
この図々しい居残りが数日続くうちに、仕立物まで上手にする彼の器用さは、女郎こはるとおそめをいかれさせてしまった。かくて佐平次は二人の女からロ説かれる仕儀となった。ところが佐平次はこんな二人に目もくれずに大奮闘。女中おひさにほれた相模屋の息子徳三郎は、おひさとの仲の橋渡しを佐平次に頼んだーーー
ウィキペディアより抜粋

「軽さ」がたまらない

いやあ、冒頭にも書きましたが、傑作です。
話の中身はあらすじを読んでいただきたいのですが、自分が引き込まれたのは、なんといっても、登場人物たちの身のこなしの軽さ。
特に主人公・佐平次役のフランキー堺さんの動きの軽さといったら、もうたまらんですね。

台詞が早口で聞き取りづらいのが難ですが、その軽快な身のこなしを見てるだけで、自然と明るい気持ちになっちゃうんですよね。
映画自体はモノクロなので、色彩は白黒なのですが、映画の調子がとにかく軽くて明るい。

この「軽さ」はもう武器ですね。
小津安二郎氏の「家族」、黒澤明氏の「重厚」、溝口健二氏の「格調」。
同時代の名監督たちの特徴はそれぞれありますが、川島氏の特徴は「軽さ」。
一見軽薄に見える「軽さ」ですが、全然負けていない。
むしろ「軽さ」で勝負する川島監督はかっこいいなと思いました。

佐平次は理想の生き方

主人公の佐平次の生き方は、自分的には理想の生き方なんだよなあ。
ずるがしこいんだけど、でも自分のやり方で人助けもする。
自己のスタイルが確立されてて、誰にもこびを売らないし、遠慮もしない。
自らのタイミングで遊郭の相模屋にきて、自らのタイミングで出ていく。
こんなふうに人生送れたらなあ、と思ってしまいました。

佐平次は基本明るくてお調子者なんですけど、根アカではないんですよね。
時に咳をしてて薬を飲んでる描写が入ります。
何でもうまくこなしてしまう佐平次は、売れっこの遊女2人からももてちゃうのですが、それには全然なびかない。
理由は、身体に良くないから。

そんな感じで、たまにちょっと翳のある雰囲気を出すのだけど、それをうまく飲み込んでるところが気持ちいい。
自分の毒を自身で中和しているというか。
きっと後ろ暗い過去もあるんだろうけど、それを自分のなかでうまく処理していて、気分のよい人生を過ごそうとしている。

あんな感じで、右へ左へ小気味よく動いて生きていけたら最高だ。
しかも後ろは、たまに振り返るぐらい。
この、「たまに」っていう程度が大切。
いつも振り返ると重くなっちゃうし、全く振り返らないと、それはそれで本当に軽薄になってしまう。
軽いふりを演じているわけじゃないんだろうけど、重くなりすぎないように自身を方向付けしている。
それって、結構大事なことだよなあ。
これは自分への処世訓として刻んでおきたいです。

「アベンジャーズ」に佐平次みたいな軽いヒーローがひとりいてもいいと思うのだけど、ま、無理だな。

幻のラストシーン

この作品は、撮影当時の1957年の品川の風景から映画が始まり、そのあと幕末の品川遊郭のシーンに移っていきます。
で、ラストは、その幕末の品川の海岸を走っていく佐平次の後ろ姿で終わります。

でもウィキペディアによると、幻のラストシーンというのがあって、「佐平次がスタジオの扉を開けて、そのまま1957年の品川の街を駆け抜ける」という構想だったらしいのです。
ただ斬新すぎるという理由でみんなから反対されて、川島監督は断念したそうです。

あー、そっちのラストの方が断然いい。。。
絶対、そっちがいい。
あー、そのラスト観たかったなあ。

ということもあって、夜の品川くんだりまで写真を撮りに行ってしまいました。

品川ふ頭に向かう橋の上から、レインボーブリッジ方面
同じ橋の上から逆方向

めちゃくちゃ暑かったけど、海を感じられて楽しかった。
ああ、佐平次に走ってほしかったなあ。
(総合評価の下におまけあります。よかったらどうぞ)

総合評価 ☆☆☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!


◇おまけ
帰り道、品川駅に向かう途中の和カフェで食事しました。
うまかった。


まぐろとアボガドの漬け丼
あんみつ

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