【映画感想文】李相日作品「怒り」「流浪の月」
配信で「怒り」と「流浪の月」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
両作とも李相日監督作です。
怒り
面白かったです。
2時間半くらいある長尺の作品ですが、ラストまで集中して観られました。
自分は家で観たけど、映画館で観たいなと思わせるお話の重量感と画面の高級感。
あと、出演者が超豪華だけど、それに頼りすぎない抑制された演出。
一方で、俳優の演技を見せるところはちゃんと見せる。信頼関係を感じましたね。
ストーリーに関していうと、原作小説を読んでないのではっきりしたことは言えないけど、エピソードの刈り取りもうまいと思う。
観ていて違和感なかったな。
殺人事件の犯人を追うっていうミステリー要素が縦軸で、同性恋愛、沖縄の基地問題、素性がはっきりしない人への差別・排他が横軸。
そこから社会の隅に追いやられている人たちの「怒り」をすくいとる。
娯楽性と社会性のバランスの良い良作。
李監督の手腕は見事だと思います。
総合評価 ☆☆☆☆(☆5つが最高)
流浪の月
こちらの作品も画面に高級感というか、ラグジュアリー感があります。
「怒り」同様、大画面の映画館で観たいと思いました。
配信全盛の今、これって映画監督の力量がある意味一番問われるところだと思うので、李氏の仕事ぶりは賞賛したい。
こちらは誘拐事件(とされてしまった)の加害者と被害者の恋愛と、それを取り巻く社会の目を縦軸・横軸に描いた作品。
この作品も2時半ある長尺。ただ「怒り」と較べると登場人物が少なくて、ちょいと長く感じました。
加害者(とされてしまった)の佐伯文にはある「秘密」があるのですが、それをラスト近くまで引っ張る。
自分の意見としては、もう少し早くそれを明かして、その後をもうちょい観たかった。
お話や雰囲気の重さに比して、ラストがあっさりし過ぎかなと。
まあ原作小説(未読)との兼ね合いもあるのかもしれません。
ただ、重たいと感じられる時間が長くて、全体的にのっぺりした印象が残るのがもったいないかな。
総合評価 ☆☆☆+☆半分(5つが最高)
最後にまとめみたいなことを書くと、両作とも長尺ですが見応えあり。音楽もきれい。
秋の夜長におすすめの作品でございます。
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