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【映画感想文】李相日作品「怒り」「流浪の月」

配信で「怒り」と「流浪の月」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
両作とも李相日監督作です。

怒り

2016年 邦画

東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は、無人島で田中という男と遭遇するが……。

映画.comより

面白かったです。
2時間半くらいある長尺の作品ですが、ラストまで集中して観られました。
自分は家で観たけど、映画館で観たいなと思わせるお話の重量感と画面の高級感。
あと、出演者が超豪華だけど、それに頼りすぎない抑制された演出。
一方で、俳優の演技を見せるところはちゃんと見せる。信頼関係を感じましたね。

ストーリーに関していうと、原作小説を読んでないのではっきりしたことは言えないけど、エピソードの刈り取りもうまいと思う。
観ていて違和感なかったな。

殺人事件の犯人を追うっていうミステリー要素が縦軸で、同性恋愛、沖縄の基地問題、素性がはっきりしない人への差別・排他が横軸。
そこから社会の隅に追いやられている人たちの「怒り」をすくいとる。

娯楽性と社会性のバランスの良い良作。
李監督の手腕は見事だと思います。

総合評価 ☆☆☆☆(☆5つが最高)

流浪の月

2022年 邦画

ある日の夕方、雨の公園でびしょ濡れになっていた10歳の少女・家内更紗に、19歳の大学生・佐伯文が傘をさしかける。伯母に引き取られて暮らす更紗は家に帰りたがらず、文は彼女を自宅に連れて帰る。更紗はそのまま2カ月を文の部屋で過ごし、やがて文は更紗を誘拐した罪で逮捕される。“被害女児”とその“加害者”という烙印を背負って生きることとなった更紗と文は、事件から15年後に再会するが……

映画.comより

こちらの作品も画面に高級感というか、ラグジュアリー感があります。
「怒り」同様、大画面の映画館で観たいと思いました。
配信全盛の今、これって映画監督の力量がある意味一番問われるところだと思うので、李氏の仕事ぶりは賞賛したい。

こちらは誘拐事件(とされてしまった)の加害者と被害者の恋愛と、それを取り巻く社会の目を縦軸・横軸に描いた作品。

この作品も2時半ある長尺。ただ「怒り」と較べると登場人物が少なくて、ちょいと長く感じました。
加害者(とされてしまった)の佐伯文にはある「秘密」があるのですが、それをラスト近くまで引っ張る。
自分の意見としては、もう少し早くそれを明かして、その後をもうちょい観たかった。
お話や雰囲気の重さに比して、ラストがあっさりし過ぎかなと。
まあ原作小説(未読)との兼ね合いもあるのかもしれません。
ただ、重たいと感じられる時間が長くて、全体的にのっぺりした印象が残るのがもったいないかな。

総合評価 ☆☆☆+☆半分(5つが最高)

最後にまとめみたいなことを書くと、両作とも長尺ですが見応えあり。音楽もきれい。
秋の夜長におすすめの作品でございます。

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