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数多の女子を狂わせるBANANAFISH ②~NY公共図書館でアッシュの18年に思いを馳せる「prayerX」を添えて~
『数多の女子を狂わせるBANANAFISH ①~聖地巡礼~』ではニューヨークの聖地巡礼先を網羅的に紹介した。
そこで、このブログでは、「NY公共図書館」に特筆して記したい。
また、聖地巡礼の紹介と共に、BANANAFISH という作品の持つ魅力やアッシュの人生について思いを馳せたいと思う。
1.最高の聖地巡礼先「NY公共図書館」
最寄り駅は「5th avenue」駅だがタイムズスクエアから横に少し進んだ通りにあるので、正直マンハッタン中心部の駅で降りれば、どこからでも歩いて行ける。オイスターバーのある「グランドセントラル」駅からも近いので、そことセットで聖地巡礼をしても良いと思う。
BANANAFISH 好きなら、誰の記憶にも永遠に残り続けているであろう「NY公共図書館」(作中では「NY市立図書館」)。この場所はアッシュが1人になりたい時に訪れる場所であり、なおかつ、アッシュが英二の手紙を傍に最期を迎えた場所である。
まずは外観。
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建物が目に見えた瞬間、「わ~!!ここが!!何度もアニメで見た場所…」と思わず、口に手を当てて感動を抑えきれなかった。
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そして、図書館前にあったホットドックの屋台。
ここでアッシュと英二はホットドック買ってたのかな~と思いを馳せる。
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象徴的なライオン像。
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ここはアッシュと英二がホットドックを買って一緒に食べていた場所。
ただ、今現在、建物の保全のために、柵で囲われていた…..悲しい。
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リンがアッシュに手紙を渡すシーンの画角はこんな感じ。
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そして、この椅子は、アッシュが英二の手紙を読んでいるシーン。私もアッシュが座っていた場所に座ってみた。
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そして、走り出したアッシュが刺されるシーンはこの場所。
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このシーン、アニメで見た時は驚きすぎて、一瞬自分の中で時が止まったかのような感覚になった。このシーンでは、アッシュが手からこぼれ落ちた「英二の手紙」に必死に手を伸ばしているところが印象的だった。アッシュにとっては、自分の傷なんかよりも、英二からの恋文をも超えた「魂の手紙」が何よりも大切だったことがわかる。
そして、朝10時(開場時間)になったので図書館に入場する。
最初に手荷物検査が軽くある。ちなみに、入場料は無料なので、何度でも足を運べる。
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中に入ると、英二が登っていった階段。
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アニメに出てきた画角など。
そして、最も行きたかった場所は図書館の3階にある。
その名も「Rose main reading room」
アッシュがよく調べ物をしていた場所であり、かつ、アッシュが英二の手紙を傍らに息を引き取った場所である。
今現在、10:00~10:50の間は旅行者も許されたエリアまで自由に入場して写真を撮ることができる。それ以降の時間は「Rose main reading room」のみのツアーに申し込んで入場する形になる。(図書館全体のツアーも別にある)ツアーは人数制限があり、1日2〜3回、しかも15分ほどしかないので、10:00~10:50の間に行った方が長居もできるので良いと思う。
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「泣いた」
BANANAFISH を見てからずっと恋焦がれていた場所….。12時間のフライトを経てこの場所にやっと来れたのだという嬉しさと、ここでアッシュが….という思いから涙が….。
そして、勉強する人のみ、席に座ることができるとの情報を(聖地巡礼に既に行ったbanana fishファンのツイートから)仕入れていたので、あらかじめ、勉強道具と本を持ってきて、アッシュの席に座った。(ここに旅行中2回行ったのですが、2回目はアッシュの座った場所で、普通に英語の勉強してました(笑))
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ここがアッシュが最期に座った席。(多分)
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そして、座っていた席からの景色。
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アッシュが見上げた天井。
この空間、静かでそして神聖で、とても心が落ち着く場所だった。マンハッタンの中心にこんな場所があるんだと…。マンハッタンの喧騒の中で生きるアッシュが「1人になりたい時にここに来る」理由がわかるような気がした。マンハッタンにいながら、その中の混沌や喧騒からひと時でも逃れられるような、そんな場所だったのだと思う。
何よりも、私自身、思いが溢れてしまったのが、窓から差し込む太陽の日差しである。ちょうど、アッシュが座っていた席にピンポイントで太陽の光が差し込んでいた。
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自然な光に包まれ、とても暖かかった。
そして「光の庭」のこの場面を思い出してほしい。
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リン「あの時、あんた何を考えてた?ゆっくりと体中の血が流れだしていく。血圧が下がり体温が失われ、死が訪れるまでの長い長い時間。あんた苦しんだはずだ。傷は急所を外れていたから。それなのにーーー」
このように、アッシュが死ぬまでに、それは長い長い時間がかかっていたはず…。刺された場所からゆっくり血液が流れ出る。その死を待つまでの長い間、段々と身体は冷たくなり、苦しかったの
だろうと思っていた。
しかし、アッシュの座っていた席には暖かな日差しが差し込んでいた。
優しい光に包まれ、暖かいと思えるほどにーーーー。
アッシュは、最期に、光に包まれた暖かい場所で、死んでゆけたのだと、私はこの場所に実際に来ることで確信できた。
英二の手紙と図書館に差し込む日の光によって、アッシュはこれまで生きてきた中で、これ以上ないほどの光に包まれて、最期を迎えたのだろう。
リン「それなのにーーー、あんた微笑んでた。まるで楽しい夢でも見ているように」
2.マンハッタンの喧騒と「PrayerX」から考えるアッシュの18年、そして、最期の光の中の図書館
余談だがNYに行ってみて感じたことがある。NYの町は楽しく賑やかなことがある反面、街中には、ごみが散らかり、たばこや大麻を吸っている人、街歩く人にお金を求める人、家がなく道で夜を過ごす人、大麻の影響か地下鉄内で暴れている人、本当に色んな人がいた。
まさしく「混沌」としている場所だった。
「光と影」の差が激しく、それが明確にハッキリと表れている場所。
それがニューヨーク(主にマンハッタン)なのだと思う。
そんな場所だからこそ、アッシュは様々な欲望が入り乱れる混沌とした世界で、「哀しみ」と「憤り」を抱えながら生きることになったのだろう。
私はアッシュの英二に出会うまでの人生を明確に表した言葉があると思っている。
それが、KingGnuの「PrayerX」の歌詞だ。
生まれ落ちたその時には泣きわめいていた
奪われないようにくたばらないように生きるのが精いっぱいだ
胸に刺さったナイフを抜けずにいるの
抜いたその瞬間に飛沫をあげて
涙が噴き出すでしょう?
アッシュは幼少期7歳という若さで近所の退役軍人に常習的にレイプされ、そして、その相手を銃で射殺し初めて人を殺す。
そこからゴルツィネのところに連れていかれ、オヤジたち向けのクラブの商品(男娼)として働かせられる。その後も、自身より力の強い相手にレイプされ続け、少年売春をさせられ、憎しみに駆られていく。
ストリートキッズたちのボスとして多くを率いるカリスマ性を見せるものの、常に自分を利用しようとする(主に性的に懲らしめようとする)者に憎しみと恐怖を抱いていた。
そんな世界で生きていたアッシュ。まさしく、自分の心が抉られ、傷つき、多くのナイフが刺さっていることに敢えて”気づかない”でいないと心を保てなかったのだと思う。その傷に気づいた瞬間に、心が砕けてしまう。涙が溢れて、この混沌とした世界では生きることができなくなってしまう。
アッシュは、この世界で、もうこれ以上自分の尊厳と自由を「奪われないように」「くたばらなうように」するため、力を身に着け、戦い、人を殺して、自分自身を守らなければなかった。
普通の世界ではない、この狂った世界で生きるために、必死だったのだ。
自分が「傷つけられている」ことに敢えて気づかないようにしている。
故に、彼は目的のためなら「性的に誘惑」したり「レイプされたり」することもある。でも、それは傷ついていなかったり、平気な訳ではない。
生きるために、それによる傷に気づけなくなってしまっているだけなのだ。
ジェシカ「アッシュ、あの時あなた…いえ、ごめんなさい」
アッシュ「…YESだよ。レイプされたかどうかって言うんだろ?」
ジェシカ「どうしてそんなに冷静でいられるの?私、立ち直るのに半年かかったのよ」
アッシュ「そんなにかかってたら、俺はとっくに死んでる」
この台詞にあるように、アッシュは傷ついている暇さえなかった。
自分の居場所でさえも見失ってるの
怒りにのまれて光に憧れて
今日も空を眺めるのでしょう
そんな状況で、彼は「光」の包まれる場所に焦がれていた。
痛みや悲しみさえも飲み干した今、僕らは
一体全体、何を信じればいい?
自分のことを利用する人間ばかりの世界で、アッシュは「何を信じたらいいのか」それすらもわからなくなっていた。信じられるものなんて何もなかったのだろう。たった17の少年だ。17歳にして、痛みや悲しみの感情を抱く余裕なぞ、なくなっていた。
しかし、そんな時に「英二」に出会う。
アッシュの美しい翡翠色の瞳に英二の姿が初めてハッキリと映った瞬間がある。それは、オーサーの仲間たちから逃げる際に、行き止まりの壁を飛び越えるために英二が棒高跳びをして、空高く跳んだシーンだ。
アッシュが光に焦がれて見上げた空には、自由に高く飛ぶ英二がいたのだ。
アッシュ「お前はいいな。あんな風に飛べて」
英二はアッシュにとって安らぎをくれる「光」だったのだろう。
そして、光である英二は同時にアッシュにとって弱みにもなった。
英二といる時は、痛みも哀しみも感じる普通の17才の男の子になる。
故にあの世界で生きるには英二といる時だけ隙が出来てしまうということなのだ。
アッシュ「俺は今、幸福なんだ。この世に少なくとも、ただ1人だけは、なんの見返りもなく、俺を気にかけてくれる人間がいるんだ。こんな幸せな気分は生まれて初めてだ。もうこれ以上はないくらい、俺は幸福でたまらないんだ」
「憎悪」「好色」など何かしらアッシュを利用しようとする男たちの世界で生きてきて、純粋に良心からアッシュを気にかけてくれる「英二」という存在は彼にとって、初めて信じられる存在だった。
そして、図書館の写真に戻る。光に焦がれていたアッシュ。
そんなアッシュが光の当たる暖かい場所で、唯一身を預け、安らぎ、信じることのできた英二の手紙と共に永遠の眠りにつけたのなら、これ以上にない幸せだったのではないだろうか。
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「君は1人じゃない。ぼくがそばにいる。ぼくの魂はいつも君とともにある」
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私も横になってアッシュが最期に見た景色を目に焼き付けてきた。一生忘れない。
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