見出し画像

tinderでドタキャンされた僕はドーナツを揚げた。

昨日の夕方、Hさんから一件のライン。「明日厳しそうです、、すみません。」

彼女とは今日のお昼にグリーンカレーを食べる約束をしていた。サブカルが好きな女の子は、スパイスの効いたカレーが好きな気がする。

彼女は本来は土日休みだし、土日にバイトと学校がある私に休みを合わせてもらっていた。昨日の朝に、「今日仕事が終わらなかったら行けないかも、、」と連絡をもらっていたので、ドタキャンではないのかもしれない。

久しぶりの女の子とのデートということもあり、結構楽しみにしていた自分がいた。彼女の顔すら見たことないのだけれども。

そんな私は、昼食にドーナツをつくることにした。ここで謎の発想の跳躍。

時間はあるし、昨日すごい優しそうなお兄さんがドーナツを作る動画をたまたま見てしまったからだ。KINTOのコーヒーブリュワーの使い方をyoutubeで探していたら、この方のチャンネルを見つけた。これがセレンディピティというやつか、、、!

それに誰だったかは忘れてしまったが、ドーナツを作ってみたというnoteを少し前に読んだ。その文章は素晴らしかったし、私もドーナツをつくりたくなってしまったのだ。


家にホットケーキミックスがあったので、ネットで「ホットケーキミックス ドーナツ」で検索する。普段お菓子作りはしないが、ホットケーキミックスがあれば、クッキーとかの焼き菓子は何とかなるみたいな認識がある。レシピが何個も出てくる。だいたいどれも同じような簡単なレシピだった。ホットケーキミックス、卵、砂糖を混ぜ合わせて160℃くらいの油で揚げるというもの。

2,3個レシピを見て、スマホをキッチンからリビングのソファに放り投げ、ドーナツづくりに集中する。「名古屋のMr.ドーナツ」襲名の日も近い。

ホットケーキミックスを2袋分使って、1つをプレーン味、もう1つをココア味にすることにした。普段から料理はしないが、考えることが我ながら洒落ている。

あと、ホットケーキミックスの粉の個包装を袋から取り出すときってテンションが上がる。いけない粉の取引が始まる気分。たぶん空港の荷物検査で止められるだろうし、一袋200gも入っているから末端価格は何千万円だろうかなんてとりあえず妄想する。鼻から吸い込んで「上物だな、、」と言うやつは、今日のところはやめておこう。

一袋目をボウルに開け、他の材料と混ぜ合わせていく。泡だて器で混ぜようとするが、生地が固くモタモタしていて混ぜれない。仕方なく手で混ぜることにする。

なんだろう。このいけない事をしている感覚は。食材を手でこねくり回すという背徳感。そして、混ぜると「ネチャッ、ネチャッ」と音がしてちょっとエッチ。

無事にエッチな生地が完成したのだが、思ってたんとちゃう。動画で見たやつよりも生地が緩い。こんなんじゃ型抜きできないな、と思い、少し小麦粉を加えてみる。まだ緩い。

「もうサーターアンダギーにしてしまおう!」今の私は全ての事象に寛容なのだ。tinderでドタキャンされようが、名古屋のMr.ドーナツになれなくても構わないのだ。心はもはやキリスト。殴られればもう片方の頬をなんとやらだ。

ユルユルの生地をスプーンで救い(救世主だけにね。)、熱した油に投入していく。十数秒で表面の色がキツネ色に変わっていく。成功だ。見ただけでわかる、うまいやつ。小学生の頃、おばあちゃんがよくドーナツを作ってくれていたのを思い出した。

2つ目の森永のココアパウダー入りの生地もユルユルに完成。ホットケーキミックスでつくるとこうなってしまうのだろう。動画では、薄力粉とベーキングパウダーでつくっていた。いつかまたリトライしたい。

全ての生地を揚げ完成。見様見真似で簡単なソースもつくってみた。

※北海道のザンギをイメージした訳ではございません。

揚げたてを一口食べてみる。豪快な見た目とは裏腹に、外はサクサク、中はふわっとした食感、そしてほのかな甘み。tinderなどという邪なものに支配されていた私の心が浄化されていく。これが禅の世界か。

しかし、やはり私が求めていたのはオールドファッションのような詰まったゴチゴチの生地感。どうやらまだMr.ドーナツ襲名への旅は続きそうだ…

家族にも振舞い好評を頂いた。

tinderでドタキャンされがちなこの世界線。みんなもドーナツを揚げてそんなこと忘れよう。以上、丁寧な暮らし男子の最強ライフハックチャンネルからでした。


「全然大丈夫ですよー!また今度行きましょう」
と返事した後、彼女からの連絡はまだ来ていない。

スキしてもらえると喜びの舞を踊ります。