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風の強い日、「まともな人」になるのはあきらめた。

24歳無職、今はアルバイトを探しているが、貯金もどんどん減りつつあるのでウーバーイーツの配達員をしながら少額ではあるがお金を稼いでいる。これがなかなかアルバイトが決まらない。

所謂サラリーマンとして働いていたときは、広く言えばアパレル関連の仕事をしていた。学生時代から服が好きだったからだ。

4月からは資格取得のために学校に通う予定。その職で海外で暮らす目標を叶えようと思っている。

バイト探しのときは、いつもアパレルの求人ばかりを探してしまう。やはりまだあの業界への思いが自分にあるんだろうと不意に思い知らされる。

資格取得後はその職に就くのか、やっぱりアパレル関連の仕事に就くのか迷っている。海外で働くことになっても、いずれどんな形でもいいからアパレル業界に戻ってきたいなあ…

そんな悩ましい日々だ。


金曜日の昼、いつもどおりウーバーの配達に出掛ける。1件目の配達からレストランでめちゃくちゃ待たされ、一気にやる気を失い、早々に仕事を切り上げることにした。こういう辛抱弱いところが私のダメなところだ。

そして、家に帰る途中、桜の花びらが舞うのがふと視界に入る。日曜日と月曜日は雨だと天気予報が言っていたのを思い出す。明日の土曜日も予定があったので、今日桜を見るのがベストだろうと思い、花見をすることにした。もちろん一人でだ。笑

密かな楽しみを見つけ、胸の高鳴りと共に昼飯を平らげ、近所の書店まで自転車を走らせる。オードリー若林さん著、「表参道のセレブ犬とカヴァーニャ要塞の野良犬」と太宰治さんの「女生徒」を購入し、近所の川原へと向かう。

私は最近、時間もあるし本をたくさん読もうと思っている。新卒で入社した会社は1年も続かず、財力的に豊かな人間になるのはあきらめた。少しでも、気持ち的に豊かな人間を目指そうと思っている。いい文書を書けるようにもなりたいしね。

普段はあまり本を読まないので、何を読んでいいかわからず、2冊とも知り合いにおすすめされた本を選んだ。最近友人に合う度に、私がおすすめの本を聞くのはその為だ。

川原の横の道の桜並木が眼前に広がるベンチに腰掛け、どちらから読もうかと悩む。特に理由はないが、リュックから「表参道のセレブ犬とカヴァーニャ要塞の野良犬」を手に取る。

読み始めたらすぐにこの選択は正解だったと気づいてしまった。

ほんとにおこがましいのだが、冒頭で若林さんが日々の東京での暮らしで感じていた憤りや悩みみたいなものにとても共感してしまった。私と同じようなことを考えている人がいたなんて。

冒頭では、なぜ日本の社会が今日のような競争社会になったのかの理由が簡単に説明されていて、そして、その憤りや悩みのような感情は、その仕組みの下でだからこそ生まれているのだと、若林さんは考えたようだ。

本では、日本の社会の成り立ちについて学んだ若林さんが、その仕組みを相対的に見るために、別の仕組みの社会を見てみたいと思い立ち、社会主義のキューバに単身旅行に出るという旅行記だ。

旅行記自体も若林さんがキューバで体験したこと、情景、感情が細かく書かれていて面白い。さすがは人気お笑い芸人といったところだ。

私も1年半前にベトナムに一人旅に出たのだが、あのときの感情が湧き上がってきた。また海外に行きたいな。

次はロシアに行きたい。他の人があまり体験したことがないようなことがしたい。次の就職前にロシアに行き、私達がよくイメージする、ロシア人が被っている帽子を被って、ウォッカを胃にぶち込むのが今の人生の一番の目標。

まだ3分の1ほどしか本は読めていないのだが、非常に面白い。本を読むのがあまり得意でない私が、2時間もぶっ通しで読めてしまった。

心地のよい時間を過ごせた。最近のストレスが一気に春風に飛ばされた気がした。しかし、如何せん風が強すぎた。あと1時間ぐらい読んでいたかったが、寒くなってきたので帰ることに。


心地の良い気温の日に外のベンチで本を読む。視線を移すとはそこには風に揺れる桜の木々。そんな毎日がこれからも続けばよいと思ってしまった。働かずに一生これでいいかもと。親が見たら泣くかな。笑

私もお金とか競争とか、そんなものと無縁な社会で暮らして生きていきたい。

無職の戯言でした。






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