葉紫歌🍃

ばしかと申します。観た映画や読んだ本や、その他いろいろのことを書いていこうと思っていま…

葉紫歌🍃

ばしかと申します。観た映画や読んだ本や、その他いろいろのことを書いていこうと思っていましたが、映画の事しか書いてません。中途半端な似非シネフィルです。

最近の記事

『天上の花』(監督:片嶋一貴)

さて、年を越す前に備忘録しておきましょう。 「ポリタスTV」11/24配信の回で取り上げられた映画、『天上の花』。 番組のオンエア以前から、漫画家の瀧波ユカリさんはTwitter上で「製作陣、出演者のDVに対する認識が低解像度である」として疑問を呈しておられました。 ◯瀧波ユカリのなんでもカタリタスTV #9|瀧波ユカリさんとの濃厚雑談。今回のテーマは「萩原葉子の『天上の花』からDVを考える」。DVの普遍性と家族問題|ゲスト:瀧波ユカリ(11/24)#ポリタスTV (番組

    • 『アテナ』

      監督:ロマン・ガブラス / 2022年 / フランス 2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。 Netflixで2022年9月23日から配信。 せっかくALEXA65で撮影しているというのに、IMAXとか極爆上映で観られないのが本当に残念な一本。 『ROMA』や『ドント・ルック・アップ』みたいに、3週間限定公開でもしてくれればいいのですが。 配信で小っちゃな民生テレビだと、どうしても暗部のブロックノイズに限界を感じます。 しかし、それを補って余

      • ◯『スープとイデオロギー』

        監督:ヤン・ヨンヒ 日本、韓国合作、2021年 青春時代に済州4・3事件を経験したオモニ。 「絶対他の人に喋ったらアカン」 祖国を批判する事を許されず、学校では優等生を演じ続けたヨンヒに、オモニはそう4.3の事を語って聞かせた。 「結婚するのはどんな人間でもいい。ヨンヒがいいと思うなら。ただし日本人とアメリカ人はダメだ。朝鮮人なら、北でも南でもいい」 古いホームビデオの中のアボジは、ヨンヒにこう投げかけた。 仲睦まじい親子の風景の中に、絶対的なイデオロギーが影をチラつ

        • 『シン・ウルトラマン』

          監督:樋口真嗣、企画・脚本:庵野秀明 さあ、やはり書かずにはいられません。 ザクッと所感を述べますと、意外とベストムービー入りではありません。 いえ、めちゃめちゃおもしろいです。 ど頭から散りばめられた小ネタは、昭和ウルトラマンフリークの私としては十分すぎるくらい楽しめました(開幕タイトル、ゴメス≒ゴジラネタ、宮内國郎サウンド、東宝効果集団SE、ウルトラマンのマスク造型ネタ、バラゴン系統着ぐるみネタ……)。 シナリオ的には、オリジナル版『ウルトラマン』('66)のうち

        『天上の花』(監督:片嶋一貴)

          『カモン カモン』

          原題:C’MON C’MON 監督:マイク・ミルズ(『人生はビギナーズ』(10)、『20センチュリー・ウーマン』(16)) 「なぜ人は物語を紡ぐのか」という問いかけ。作品を生み出す行為は、製作スタッフ間の、また作り手と受け手との、言語を超えたコミュニケーションであるらしい。 言葉ではなかなか分かり合えなかったジョニー(ホアキン・フェニックス)とジェシー(ウディ・ノーマン)は、音の世界をハブとして通じ合う。 インタビューを受ける子どもたちにとっても、ガンマイクは世界と繋がる

          『カモン カモン』

          映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争〈リトル・スター・ウォーズ〉2021

          監督: 山口晋/2022年 武田鉄矢の「少年期」がない『のび太の宇宙小戦争』なんてあり得るのか…と思っていましたが、まったく杞憂でした。いいリメイクでした。 本来は昨年の今頃公開される筈だった作品で、コロナの影響にて公開延期。故にタイトルも2021。 これ、ひょっとすると延期した後も若干手を入れているんじゃないでしょうか。プロローグの演出などには、「おかえり!ドラえもん」といった風情をありありと見出せます。 独裁者ギルモアに支配されたピリカ星。横暴に抵抗せんとする地下

          映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争〈リトル・スター・ウォーズ〉2021

          ◯『春原さんのうた』

          杉田協士/日本/2021年 ずっと見ていられるものってありますよね。 焚き火の炎とか、川の流れとか、コーヒーを入れているときの一滴一滴とか。 目に見えない時間の流れを感じさせるもの。 そんな感じの映画です。 最低限にライティングされた、生っぽい画。 残留するカメラの存在感。 決して多くは語られない、登場人物の背景。 それらが却って被写体の実在性に説得力を持たせているし、 自分は彼らの隣人なのだと錯覚させてくれる。 そして主演の荒木知佳さん、映画初出演だそうですが、こ

          ◯『春原さんのうた』

          『香川1区』

          監督:大島新/2021年 選挙って、自分の考えに基づいて、いちばん近いスタンスにいる(と思われる)候補者に入れるものだと思っていますが、 ある種の人々にとってはどうも「義理を通す」「和を以て尊しと為す」ことの方が優先度は高いようです。 私は東京・武蔵国一帯という、良くも悪くもドライな環境で生まれ育ちました。 選挙権を得て、投票に際して、何がしか心理的なバイアスはあるとしても組織的なしがらみを感じる機会は無く、「20歳の頃からずっと党員やってるから、今更ねぇ…」という人生

          『香川1区』

          ◯『牛』(原題:Cow) @東京国際映画祭2021

          監督:アンドレア・アーノルド/2021年/イギリス ウシ映画。(準)徹底的に、「牧場で飼育される乳牛の目線」に立った映画です。 望遠で「イイカンジに」撮ることも出来ただろうに、ウシと一緒に牛舎を歩いたり、搾乳場の中の、ウシたちが入るスペースにカメラを置いたり、仔牛を移送するトラックの荷台に同乗したり。 時に「カメラマンも実はウシなんじゃ……」と思わせるほど、カメラワークがむちゃくちゃな場面もあります。敢えてGoProとか(多分)使っていないのだとは思いますが。 本篇にナ

          ◯『牛』(原題:Cow) @東京国際映画祭2021

          『東京自転車節』

          @ポレポレ東中野 監督:青柳拓 / 2021年 Uber Eatsの配達員である監督自身の、コロナ禍1年間の姿を記録したドキュメンタリー。 大学卒業後、山梨で映画を撮りつつアルバイトもしつつ奨学金(という名の借金)を返す生活を送っていたが、コロナで仕事がなくなり、東京へ出てUber配達員に。 ふだんUber使う身としては絶対に観なアカンと思い。 下半期マイベスト映画に入るかもしれません。 * 全篇iPhoneとGoProで撮られた荒削りな映像は、ある意味で臨場感満載

          『東京自転車節』

          ◯新文芸坐 「追悼・田中邦衛 優しさとユーモアと」

          ご無沙汰しています。 田中邦衛さんの追悼特集上映をやっていたので観に行ってきましたが、 ほぼ「テンション高めの菅原文太が大暴れまつり」でした…笑 * 1、『人斬り与太 狂犬三兄弟』(1972) 本篇:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07JJMSDC7/ref=atv_dp_share_cu_r 監督・深作欣二、主演・菅原文太。 邦衛さんは文太さんの弟分という設定で、『仁義なき戦い』シリーズのプロトタイプ的ヤクザ映画

          ◯新文芸坐 「追悼・田中邦衛 優しさとユーモアと」

          ◯ひとり佐藤純弥まつり

          其の壱 『実録・私設銀座警察』(1973年) 佐藤純弥の映画は『空海』と『新幹線大爆破』しか観たことないと言ったら、ヒトから勧められAmazonレンタルしました。 深作欣二『仁義なき闘い』もそうですが、とかくこの時代の東映のヤクザ映画は徹底的に暴力を描き切ってますよね。 これ以上ない暴力描写による、暴力の否定……というのは、ちょっと自分のいいように解釈しすぎな気もしますが。 この感じは東宝や大映の映画にはない気がします。 東映ヤクザ映画の例に漏れず、ちょっとボーッとして

          ◯ひとり佐藤純弥まつり

          ◯新作篇『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』

          監督:岩合光昭 / 2021年 猫含め、あらゆる動物たちは基本的に人間とは違う時間の流れの中で生きている。 ただ、ときたま時間と場を共有することもある。 そこで生じるのは、早いでもゆっくりでもない、ふしぎな時の流れ。 朝の日差しの中、牛たちの白い吐息を背に浮かび上がる、毛長の猫のシルエット。 人、牛、猫。 形も、声も、寿命も異なる三者が、同じ瞬間を生きている。 干渉するでもなく、放置するでもなく、お互いがお互いを認めている。赦し合っている。 それは遠く離れた亜熱帯の国で

          ◯新作篇『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』

          ◯ 新作篇『Boze Cialo』

          邦題:『聖なる犯罪者』 監督:ヤン・コマサ / 2019年 / ポーランド・フランス合作 いま個人的にもっとも「キテル」と思う映画監督、ポーランドのヤン・コマサさん。 なんでしょう、これこそ上手く読後感がまとまらないというか。下手な文章で矮小化するのが憚られます。 とりあえず主人公を前科者に設定することで、「聖」とは、「罪」とは、と、ちょっと考えちゃいますね。 主人公ダニエル役の俳優の、ちょっとヤバい感じ — 痩けた頬に、ギョロリと向いた眼、血の色の透けたような涙袋 —

          ◯ 新作篇『Boze Cialo』

          ◯ 旧作篇『赤ちょうちん』

          監督:藤田敏八 / 1974年 出演:高岡健二, 秋吉久美子, 河原崎長一郎 本篇:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08FLCRFPK/ref=atv_dp_share_cu_r 予告篇 「いい映画」とは必ずしも「いい話」とは限らない。 この映画のテーマを強いて見出すとしたら、「正気と狂気の違いとは」という問いかけでしょう。 思い返せばそういうフシはあったけれども、意思の疎通に問題はなかった。 しかしそれは“たまた

          ◯ 旧作篇『赤ちょうちん』

          ◯『ドラえもん のび太の宇宙小戦争〈リトルスターウォーズ〉』

          監督:芝山努、1985年 本篇(Netflix):https://www.netflix.com/title/81044900 * もうレビューでもなんでもないので、読み飛ばしてください。 * まず前提として、「ドラえもんは前の声優陣の方が良かった」などという声に与するつもりはありません。勿論しっくりくるのは、大山のぶ代ら旧声優陣のシリーズです。それを観て育ってきたのですから、当然です。でも、作品に対する評価と個人の好き嫌いはあくまでも分けておきたい。 そんな事を

          ◯『ドラえもん のび太の宇宙小戦争〈リトルスターウォーズ〉』