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~『確実性』を携えて三ツ沢陥落へ~ 2023.#12 横浜FC×アルビレックス新潟 展望

※(恐らく敢えて)「FCさん」と横浜FCを称する松橋監督に倣って、『FC』という表記を多用していきます。


何故横浜FCを意識してしまうのか?

1.昇格同期だから

2022年のJ2リーグではアルビレックス新潟・横浜FC・ベガルタ仙台・ファジアーノ岡山と主な4つによって昇格争いが繰り広げられていきました。仙台が早々に脱落して岡山が徐々に尻すぼみになっていく中で、残ったのは前者2つ。昇格枠をほぼ手中に収めて後は優勝を懸けた一騎打ちに。そこで最終節を前にして優勝を決めたのが新潟でした。

昇格レースに身を置く日々の中で、やはりライバルの動向は気になるところ。新潟の試合が無い日や時間帯は優先してFCや岡山の試合を観ていましたし、タイムラインが彼らについて埋まる光景もよく目にしていました。特に岡山はそのプレースタイルもあって結構なヒール役となっていた印象です笑

そんなこんなでトップ2によるマリオカートを演じてきた横浜FCは2022年の下半期にずっと意識してきた存在、そして共にJ1に乗り込んだ仲ですから今でも意識してしまいます。なんかフットボールの話から外れるニュアンスだな..

2.若干のコンプレックス

ここではフットボールのニュアンス強め。まずはこれを見せた方が早い。

こっからの

こう。

そう、狙っていた元ロアッソ熊本MF・坂本亘基を横浜FCに獲られてしまいました

編成の方針もあって入れ替わりが少なかった22年オフ。そうなるとオファーする他チームの選手は少なく、当然表に出てくる名前も比例することに。それだけ新顔一人一人に対する思い入れを強く感じるオフでしたが、その中でも報道が出た際に我々を一際心躍らせたのが坂本。

リーグ天皇杯と新潟相手に得点を記録したアタッカーは左WG,OMFが主戦場。突破力と内側でのコンビネーション、その先にあるフィニッシュに強みを持つプレースタイルは昨夏に海外へ羽ばたいた本間至恩そっくり。補強ポイントを埋める意味でも戦力強化の意味でも、対戦相手としてインパクトを残した選手の加入は心強い…はずでした。

横浜FCはその他にも
ンドカボニフェイス
橋本健人
新井瑞希
とJ2リーグは勿論、新潟との対戦時に活躍した好プレイヤーを次々と獲得。文字通りのJ2オールスターズとしてカテゴリーの乗降に挑む決意表明を果たしました。(新井使わないなら貸してくれ)

現場の責任者である監督自身が「2022年のメンバー全員残して戦いたい」とリクエストしたので大きな問題はありませんがピンポイント補強に留めた新潟に対して、大きな入れ替わりを敢行したFC。そしてその中には我々もそして強化部も目をつけていた選手が複数名を連ねるなど、地域的,資金的な不利を若干感じてしまうオフとなってしまいました。しかもそれが昇格争いの同期/優勝争いを制したライバルときたので余計にね、色々感じてしまうサポーターは多かったのではないのでしょうか。


3.『1』を争うライバルだから

苦労してようやく掴み取ったJ1への挑戦権。とはいえJ1とJ2の差は以前よりも拡大しており、J2で猛威を振るったジュビロ磐田(2021)が1年で逆戻りしたのも記憶に新しいところです。だけどそんな事は分かってる、明確なフットボールを染み込ませた今度こそJ1で戦い続けたい…!そんな激しいサバイバルの格好がつく最上位のカテゴリーでは降格枠が『1』。そうなるとJ2上がりの新潟とFC、どちらかが転落防止柵の無い椅子に座らされる事が有力視されていました。実際筆者もそう思っていました。

本来ならそんな事情を気にせず『自分達』に主語を向けて道のりを歩んでいけばいい。ただ、そんな綺麗事だけでは成り立たないのが弱肉強食のフットボールの世界。生き残るための現実を踏まえると、流石にFCの動向は定期的に気になるところです。


これらのように、様々な時間軸,事象があって2023年も引き続き心のどこかで気になる存在となっている横浜FC。そんなHAMA BLUEと5.3、昨季苦味を口にしたニッパツ三ツ沢球技場で決戦に挑む新潟。しかもGWのナイトゲーム、一般的な表現をそのまま引用するとしたら『舞台は整った』といったところでしょうか。これほどまでに燃えるシチュエーションは無いはず、本当に楽しみです!


展望

1.求められる"防波堤の整備"

前節の東京戦では開始10分も経たずにカウンターで一刺しを喰らった新潟。

藤原が絞って対応したけど流石に形勢不利


カウンタープレスの共有意識と強度が指摘された失点シーンですが、マッチレビューでも言及した通りそもそものポジションバランスから瓦解している、という個人的な見解を抱いています。4月シリーズでは個々の不足してる側面が浮き彫りになっていくなど、J1基準の速さ,強さ,正確さを手中にする作業に取り組んでいる新潟。ですが、正しいポジショニングの中で力を発揮しやすい状況に身を置かないとせっかく鍛えた能力も中々活用されないと思います。

前節のホームチームで指揮を執っていたカタルーニャ人の下でポジショナルプレーに取り組み続けた新潟。『ポジショナルプレー』には最適解と言える定義がありませんが、整理された配置,個人戦術を落とし込んで、盤面も試合展開も確実性を持って占領していく…そんなフットボールの方法論に則って進み続けた2年間だったと解釈しています。

別に前体制と同じ物を表現する必要はありませんが、アルベルトと松橋のチームに共通するフレームワークを与えてくれるのがポジショナルプレー。ラスト30mの攻略法やフットボール,スペースに対しての解釈に違いはあれど、保持時のポジショニングを整理してカウンターの防止策を同時に機能させる。そういった基本中の基本に違いが生じるべきではないと思います。

それに、FC公式のマッチプレビューでは予想スタメンに山下諒也,近藤友喜とスピードあるサイドアタッカーが名を連ねています。保持する新潟vs非保持のFCという構図が予想される中で、失点の危険性を高める被カウンターは何としても阻止したいところ。ゲームの流れと勝敗を必然的に高めていくために、攻め込む時こそ守備の事を考えるチームになって欲しいなと思います。

2CHの一角や逆サイドのSBを中央で防波堤として運用させるなどやりようはいくらでもあるはず、直面した課題に対して貫くのかテコ入れを加えるのか。果たして新潟はどう出るのでしょうか。


2.ゲームプラン

最後の項ではホームチームにも主語を置きながら。前節の札幌戦、新潟と若干の親和性があるガンバ大阪(ポヤトス)との前々節を観ました。

ボール保持

ビルトアップではGKを含めた2CB+2CHで前進ルートを形成。最少人数で前進する事でその先にパワーを費やしたい狙いが見て取れます。新潟がいつも通り4-2-1-3のような形でプレスに行くならFCも大きくはやり方を変えてこないでしょう。SBとWGが内外のレーンを入れ替えてスムーズにボールを循環させる右サイドに対して、左サイドはややオートマチックに欠けるように映るので、右を塞いで左に誘導する傾向があるといいのかなと思います。

ただ、左斜めに左利きの三田が降りて数的優位形成+相手FW,SHが届かないエリアからサウロミネイロ目掛けて長いボールを送り込む、なんて隠し玉も用意しています。実際ロングセカンドを拾う近藤や山下でチャンスを創出したシーンがありました。(札幌戦の63分) 

先発?の松田がボールに行くのか/パスコースを消すのかの守備的な判断を苦手としている事と、連戦が続く舞行龍・前節不在のトーマスと対人に長けた2人がいないかも?という事を踏まえると、FCのやり方⇩は見事にハマる可能性があります。ならGKブローダーセンまで下げさせてその目論見を打ち砕くのが一番。右WGが選択肢を狭めながらFCの左サイドを機能不全に陥れられるか。ここも一つの鍵を握るのかな、なんて思っています。

精度高いボールを送る三田と言わずもがなサウロ。このルートはなるべく抑えたい。

非保持

ここはガンバ戦を参考に。ハイプレス/ミドルプレスでも見受けられたのが人への意識が強い2CH人と人の間の門が空きやすい逆サイドへの展開が効く の3点。

この3つの特徴を踏まえると、相手が構える前にフィニッシュまでの足がかりを作りたいのが新潟。ビルドアップに対してプレスをかける際に、自軍FWが背後を消しきれずにユーリ,三田が相手CHを捕まえに来るので人と人の間が空きやすい。敢えて彼らに影響を与える事で侵入経路を開拓。そこに顔を出すのは涼太郎でもいいですし、出し手と共鳴して相手CBを背負って引き出せるネスカウもより活きてくると思います。

札幌もガンバも中央,ボールサイドから切り崩してフィニッシュを逆サイドに求めていましたが、それは新潟も模倣したいところです。比較的中央に起点を作りやすいのでそこで目線を集める事で活きてくるのがドリブラー松田。先発起用ならFC戦のキーマンは彼になるでしょう。攻守に渡って進化を見せてほしいところです。


という訳で横浜FC戦の展望をお届けしました。課題を修正しながら相手の武器を消して自分達の強みを発揮する。そうすれば自ずと勝ち点3が近づいてくると思います。この大一番、絶対に勝ちましょう


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