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【レポート #50】群馬県・富岡市長選挙レポート(2022 4.17)

 同日に市長選の投開票が有ったので、南北に隣接する富岡市と安中市を同時に取材したのですが、選挙の状況は異なっており、お隣りさんでも抱えている事情は異なるんだなぁと感じながら取材をしてまわった、富岡市。
 「2期目を目指す現職と新人の一騎打ち」 一見するとどこでも見られるような構図ですが、群馬県独特の事情が浮き彫りとなる選挙でした。 ともに「輝く」という言葉を掲げた戦いにおいて鍵を握るのは、そう、あの知事です。


◆概要

富岡市役所
  • 面積:122.85㎢(群馬県 第19/35位) 群馬県南西部の市で高崎市、安中市、甘楽郡下仁田町、甘楽町と接する

  • 人口:46,665人(群馬県 第11位) 人口減少が続き、2000年の54,401人から約8,000人減少している

  • 関東平野の北西端に位置しており、中心市街地が市域の中央東部に形成されている

  • 2006年、甘楽郡妙義町と合併し改めて富岡市が発足

  • 2018年、市役所新庁舎が完成。 デザインは新国立競技場でお馴染み、隈研吾氏(どーりで木材が多いワケだ・・・)

  • なんといっても、世界文化遺産の富岡製糸場が有名

  • 「こんにゃくゼリー」で有名な、㈱マンナンライフの本社がある

  • 衆議院選挙区は群馬5区に属し、小渕優子(自民・8期)氏を選出


◆立候補者

榎本 義法 (53) 現 2期目を目指す
堀越 英雄 (73) 新 元市議

  • 榎本 義法(えのもと よしのり)候補

 榎本候補は富岡市内で高校まで通い東京経済大学卒業後、太陽神戸三井銀行入社。 退社後、家業である幼稚園教育の道に進み2013年には学校法人の理事長に就任しました。 政治は2018年の市長選に2度目の挑戦で初当選。 今回「輝く未来へ!」と掲げ2期目を目指します。

  • 堀越 英雄(ほりこし ひでお)候補

 堀越候補は富岡市出身で富岡高校卒業後、JA勤務や老人ホーム等の運営を経て、2007年の市議選に初当選し議長も経験しました。 今回4期目途中で市議を辞職し市長選に立候補。「真に輝く富岡市へ」と掲げ初当選を目指します。


◆POINT

①群馬県の保守分裂模様を押さえる

 同日に投開票が有った安中市長選では自民党が一丸となって新人を応援し現職を倒したのですが、南隣にある富岡市では状況が異なっていました。

(こー見えても、知事です)

 群馬県の知事といえば、みんな大好き 皆様ご存知、山本一太氏。 今の時代、Twitterの140文字で発信すれば充分評価されるのに知事は未だにblogを駆使し、結構な文量を一日何度も更新。 こと「発信力」に関しては知事の中で、いや、政治家全体でもトップクラスと言って良いでしょう。
 だがしかし、政治家は結果を出してナンボの世界。 

「山本一太 知事 評価」

 で検索してみたところ、出てきたのは「県庁に30億円投じて作ったスタジオで自らのYouTube配信」といったものぐらい。

 もちろん知事としてやるべきコトはやっているでしょうし、就任直後に新型コロナが襲ってきたので不運な部分も有りますが、「山本県政1年の実績と成果」というPDFを見ると、このYouTube配信を「県政の透明化・オープン化」の成果として県資料に堂々と書いているのは、いくらなんでも・・・ と疑問を抱かざるを得ません。
 そして一太知事の名前が久々に全国ニュースに出たと思ったら、

 都道府県魅力度ランキングで44位とされたコトに激怒し「法的措置も検討する」とまで発言したニュースという。 そもそもこのランキングを調査している「ブランド総合研究所」はコンサルティング会社で、このランキングで下位になった自治体に「ランキングが上がるようにお手伝いしますよ」と営業をかけるコトが目的なのでそんなカリカリする必要ないハズですが、政界トップクラスの発信力を生かして県のPRに尽力してきた(つもり)のに下位評価されてアタマに来たのでしょう。 国会議員時代に揶揄された「小物界の大物」っぷりを存分に発揮した形となりました。

 そもそも、中曽根康弘福田赳夫小渕恵三福田康夫という首相経験者を輩出している群馬県は由緒正しき保守王国の中で一太氏は本流ではなく、しかも参院議員だったため60歳になっても要職に就けなかった結果、国会議員としての将来に見切りをつけて県知事に転身したというのが顛末であり、その流れは最近だと、

 石川県知事が当てはまりますね。
 このような状態なので群馬県自民党は「山本一太知事」「知事以外」に分裂するコトが多々あり、昨年3月に行われた伊勢崎市長選では知事が応援する現職と知事以外の自民党員が応援する新人の一騎打ちで、現職が敗れるという事態が発生しています。

 と、いうワケで前段が長くなってしまいましたが、今回の富岡市長選においても、群馬県の自民党国会議員が全員応援している現職に、一太知事の応援一本で挑む新人という構図になっているのです。 この選挙もまた、来年の群馬県知事選を占う上で重要な選挙といえます。

② “鬼門” の2期目に挑む榎本市長

 実は富岡市は2006年に妙義町と合併して以降、市長が1期4年で替わるコトを繰り返しています。 基本的に “現職の2期目の選挙” というものは現職有利に働くものなのですが、“鬼門” となっているのです。 この流れを榎本候補が断ち切れるのでしょうか。

もしかしたら結果を知らずとも、ここまで読めば見当ついたかもしれません。 実際その通りになったのですが、それを決定づけたのは知事や国会議員では無く、候補者を支えている人たちの「熱量」でした。 優劣をひと目で判断できる決定的な写真を載せていますので、宜しければ御購読下さい!

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