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【レポート #31】第49回衆議院議員選挙レポート(2021 10.31)


 衆議院選挙が、終わりました。

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 投開票前に報道各社の多くが出していた「自民単独過半数を獲れるか」という予想を上回り、自民が15議席減に留まり、野党共闘の中心である立憲と共産が議席を減らし、そして維新が約4倍増という結果になりました。
 あまりにも予想外過ぎて昨日は速報を見ながら全身のチカラが抜けてしまい、0時過ぎには寝てしまったのですが、日が明ければ別の日。 少しポイントも分かってきたのでそれを書き遺しておこうと思います。

※当記事は有料になってはいますが、ほぼ全て無料で読めます。 なので安心して読み進めていただいて、最後に御購入を判断いただければ幸いです。


◆議席以上に大きなものを失った、自民党

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(朝日新聞DIGITALから引用)

 9月の総裁選で岸田氏が総裁に選ばれたとき、私は「自民党に取ってベターな選択をした」と書きました。

 ティラミスやパンケーキのようにこってりとした安倍菅政権から一転、あっさりしてて味の個性は無いけどとりあえず美味しいナタデココのような岸田総裁になるコトで平成初期までの自民党のように左右に振り子を振り、こってり味に飽きた顧客(有権者)の満足度を保てるだろう、と。
 しかし岸田政権が始まると「森友問題の再調査はしない」などと総裁選出馬の時に言った公約を早々に引っ込め、更に「分配なくして成長なし」と言っていたのが数日のうちに「改革なくして分配なし」と真逆のコトを言いだす始末。 参院静岡補選で敗れたショックも有りつつ、それでも最小限の議席減に留められたのは・・・ 認めたくないですが「立憲共産党」を始めとする共産党disが想像以上に有権者に届いたのだと思わざるを得ません。
 もちろんそれは全国でそうだったワケではなく、地域差や候補者の資質による差は存在し、

 石原伸晃氏のように野党統一候補に圧倒的な追い風が吹き、小選挙区がゼロ打ちで敗れたうえに比例復活もならなかった例や、

 甘利幹事長のように説明責任を果たさない御自身の姿勢や演説のトチ狂った発言などのダメっぷりが露呈して小選挙区で敗れた(比例復活)例も有りますが、全体として見ると選挙戦中盤~終盤にかけて選挙戦略を「共産党dis」路線に変更したのが功を奏したのでしょう。 認めたくないけど・・・

 ただ、私が事前に言っていた「岸田総裁(総理)がベターな選択だ」という意味はこういうコトではありません。 安倍菅氏から岸田氏へ、つまり “こってり味のパンケーキからあっさり味のナタデココへ” という振り幅を示すことで、自民党ならではの懐の深さ幅の広さを誇示するものだと思っていたのですが、今回の選挙で自民党が示したのは他党を攻撃し自公政権の実績をアピールしないという、ティラミスのマスカルポーネチーズがガッツリ乗ったナタデココという、非常に姑息器の小さい姿でした。 本来、政権与党側はこれまでの実績をアピール出来るという、野党には絶対に出来ないアドバンテージが有るハズなのにそれを使わない使えない使う勇気がないという現在の自民党の情けない姿。 この(「成功」とまではいかないけど、失敗しなかった)体験をした以上、もう自民党はかつての懐の深い政党に戻るコトは出来ないでしょう。 自民党は今後、極めて画一的な思想に進んでいくものと思われますが、自民党支持者の皆様は、それで良いのでしょうか・・・?


◆野党共闘は、失敗だった

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(しんぶん赤旗より)

 選挙は結果が全て、とは言いたくないのですが、立憲も共産も結果として議席を減らしたのだから、失敗だったと言わざるを得ないでしょう。
 意義は有ったと思うのです。 小選挙区選挙制度が「WINNER TAKE ALL」である以上、野党がまとまり候補者を一本化し、選択肢を少なくしたうえで有権者に判断いただくという戦略は正しいと思いますし小選挙区が始まって以来初めて(第三極を除いて)二者択一の構図に持ち込めたのは大きなトピックです。 が、都議選のように政権が獲れなくても議席増が出来たのならまだしも両党ともに議席を減らしたのなら、繰返しになりますがこの戦略は失敗だったと言わざるを得ません。
 議席を減らしたのならば、負け。 ならば立憲の枝野-福山体制刷新するのが必至でしょう。 トップの仕事は責任を取ること。 国会で立憲議員は安倍菅政権の責任を絶えずただしていたのですから、それを身を以って示すべきです。 ただ一方で、今回の結果を受けて、

「共産と手を切れ!」
「連合に従え!」
「維新に近づけ!」

 という声が出るのは避けられそうになく、枝野体制が崩れるコトはそれ即ち方針転換に繋がる可能性が高いです。 私としては一旦舵をきったリベラル政党への方向性が止まることが無いようにと願わずにはいられません。 
 では次の党首は誰が良いかと考えた場合、支持者界隈で待望論が相次いでいる、

 小川淳也氏の党首就任は時期尚早だと思うのです。 いくら人気急上昇とはいえ小選挙区での勝利は6選中2回だけで未だ「強い政治家」とは言えず、間に誰かを入れて「次の次」を担ってもらうというのが良いのではないでしょうか。

 私としては辻元清美氏が次の党首に最適だと考えていました。 とかく分裂しがちな民主系政党において、

 自民党重鎮の山崎拓氏を応援演説に呼ぶような懐の深さと左右の幅の広さが立憲には必要だと考えていたからですが、落選してしまっては、ねぇ・・・
 また共産党についても、何らかの総括は必要でしょう。 共産党の現状を鑑みれば支持者の高齢化が著しく赤旗の販売部数も激減しており、かつての全選挙区に候補者を立てられるような体力が党に無い中で、生き残りを賭けて、そして自公政権打破のために立憲との野党連合に動いた共産党=志位小池体制の判断は間違っていなかったと思います。
 ただ、それでも、共産党の今後を考えると総括は必須です。 立憲との野党連合路線を進めるならやはり「政権を獲ったら入閣はしないが閣外で協力する」というスタンスは中途半端であることは否めず、それならば党名の変更綱領の改訂が必要になるでしょうし、もう一度独立独歩路線に戻るにせよ現状のままでは沈没していくだけなので、

 田村智子氏をトップに据えた新体制への変更が必要ではないでしょうか。 国政政党で唯一の女性党首としてアピールするのは、今がチャンスです。


◆維新の躍進は時代の必然

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(産経新聞より)

 選挙前から議席を大きく伸ばすと言われていた日本維新の会は約4倍増の議席を獲得し第3党に躍進しました。

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(選挙ドットコムより)

 小選挙区の結果を見ると大阪だけ独立国家に見えて兵庫の1議席を加えた関西限定の結果のように見えますが、「自公政権 vs 野党共闘」にスポットライトが当たる中で第3極として候補者を全国に擁立。 その擁立先が絶妙で与党候補が強い選挙区に立てて与党票を喰い、野党候補が強い選挙区に立てて野党票を喰って存在感を示し、それにより党の存在をアピールすることで比例票を伸ばし比例でも公明党を上回る議席を獲得していきました。
 タイトルに「時代の必然」と書いたので私が維新を支持していると捉えられているとしたら心外この上ないのですが、この選挙結果を見ると私は「世代交代が進んだ結果」だと捉えているからです。 ただし、それは「政治家の世代交代」ではなく「有権者の世代交代」を表しているものだと。
 確かに維新の候補者は相対的に若いし高齢候補者の落選も見られたので「政治家の世代交代」とも言えなくもないですが 、維新という党が投票数が多い60代以上ではなく「ロスジェネ世代」と言われる40代を中心とした層をターゲットに想定していて、そんな政党が支持を集めたという結果こそが「有権者の世代交代」だと考えます。
 維新が政策集や演説等で訴える「日本社会の問題点」というのは野党共闘側が訴えているものと一緒なのです。 ただ結論が違うだけで。

・今の自公政権では問題が解決しない
・少子高齢化による人口減は歯止めがかからない
・地方の衰退が止まらず、東京一極集中は加速する
・停滞し続けている経済、既得権益の抵抗
・格差の拡大と下がり続ける給料の手取り額
・「失われた30年」と言われ世界から取り残されている現状
・新型コロナで有事に対応できない体制だと明らかになった政府
・災害大国でこれから先もどんな災害が起きるか分からない
・場当たり的な政権運営で中長期的ビジョンが無い
  
  
  
◎だから維新が必要なのです!!!!!

 野党支持者とすれば「なんでやねん!」と関西風のベタなツッコミのひとつも入れたくなるところですが、それを維新が訴えると支持者の多いロスジェネ世代に届いてしまって、票を集めてしまうのです。 維新はロスジェネ世代のルサンチマンを刺激することで支持を集め、その姿が更に若い層にも届き始めています。 この国は未だに小泉純一郎総理時代の「改革」というワードに振り回されているとも言えますが、ロスジェネ世代狙いの党が躍進したという結果は他党の政策決定や党運営に大きな影響を及ぼすのではないでしょうか。 実はターゲットにすべきは、ロスジェネ世代に移り変わったのです。

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(Twitterより 拡大してご覧ください)

 ただ、一方で維新といえば “不祥事の総合商社” としても有名です。 議員が4倍増というコトはリスクも4倍増。 今後ポロポロと化けの皮が剥がれていくことでしょう。 断言します。 “バカのひとつ覚え” のように唱えてる「既得権益の打破」「構造改革」の矛先が未だに公務員というのもダサいし言ってることが小さすぎる!  本当に既得権益打破を訴えるなら原子力発電にこだわり続け再生可能エネルギーへの転換を阻み続けている電力会社をターゲットにすべきであり、公務員をターゲットにし続けていたらそれが既得権益の入れ替え(=竹中平蔵が儲かる)だということがバレるでしょう。 そして党首と副党首が大阪にいて国会内にいないという構造的欠陥は健在なので、先行きは決して明るくないと見ています。 落ち込む必要は有りません。 お楽しみは、これからです。


◆れいわは維新の “合わせ鏡”

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(日刊スポーツより)

 今回の選挙で躍進したもうひとつの政党、それが、れいわ新選組です。 結党以来初めての衆院選で議席ゼロ(選挙直前に入党した高井崇志氏の議席は有るが立憲の比例議席のため、除く)から3議席獲得。 山本太郎氏の個人商店を脱せない現状で山本氏自身も小選挙区から出馬できず「山本太郎」と書けない比例区の出馬を余儀なくされる中で自身が国政復帰を果たし、更に南関東ブロックと近畿ブロックでも1議席ずつ獲得し衆参合わせて5議席となり議席数でも国政政党となり党勢で社民党を追い抜きました
 れいわはそれこそロスジェネ世代のルサンチマンを狙い撃ちした政党で、政策の違いこそあれ、れいわは「維新の合わせ鏡」だと言えます。 れいわの躍進も維新と同様に「有権者の世代交代」を示す結果となり、他党の戦略に影響を及ぼすものと思われます。
 ただ、ひとつ大きな問題があり、

さゆう

 山本太郎吉村洋文という、個人として人気のある政治家がいる政党に人気が集まるという、過度なポピュリズムが招いた結果だとも言える部分もあり、それについてはとても危惧しています。 投票先を選ぶ際に「党より人」を基準にすることは賛成なのですが、有権者が政治について考える時にこの二人のようなカリスマ性の高い政治家の言うことを鵜呑みにする事態になってしまっては、それこそ民主主義が崩壊してしまいます。 民主主義は市民が主役であり政治家は市民の代理人にしかすぎません。 偉い人、人気のある人に従うのではなく我々市民が日々考え行動し、それによって政治家を動かさなければいけないのです。
 あと、これは個人的な期待になるのですが、

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 大石あきこ氏がテレビで再度、橋下徹と対決する構図を見たいと思ってます。


◆ここまでやっても、投票率が伸びないのか・・・

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(東京新聞より)

 投票率は前回から2.25ポイント上昇したものの55.93%と、50%台を脱することが出来ませんでした。

 芸能人が投票を呼び掛けても、

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 投票率を75%にしようというプロジェクトが立ち上がり各党にアンケートを実施して有権者に政策のアンケートを実施したり、

 市民街宣を東京で実施し、その波が全国に波及して各地でマーチ(デモ、パレード)が行われても、それでも投票率が伸びなかった。「ネット上だけの盛り上がりでしょ」と言われればそうかもしれませんが、それでも投票率60%に乗ってほしいと思っていたし、そう信じていました。 実際に「争点がない選挙」と言われていましたがここまで政策が議論された選挙は今まで無かったと思うし、それにより有権者の政治リテラシーは確実に上がっていると思っているので、投票に行く人が確実に増えると思っていたのですが・・・

 でも、それでも、やり続けなければなりません。 完成しそうなパズルを目の前でバラバラにされたような気分ですが、それでもイチからパズルを組み始めなきゃならないのです。 だって、今の政治って絶対におかしいじゃないですか? コロナ禍とオリンピックという二大問題が起きている中で国会を開くコトを拒んだ人たちですよ! 国会で働かない人たちが選挙の時だけ「国会で働かせて下さい!」と訴え、そしてそれが支持されるというのはどう考えても許されるべきものではありません。 例え「理想論ばっか言いやがって」と後ろ指さされても、ファイティングポーズだけはとり続けましょう。


「でも、やるんだよ!」

 この言葉は根本敬著「因果鉄道の旅」の一説で、多くのミュージシャンやサブカル人を勇気づけた言葉です。 今回の選挙結果に打ちのめされた皆様もどうか諦めずに、やり続けることを続けて行きましょう。 私も頑張ります。


 さて、ここまで無料で読んでいただいて何が有料かというと、私の比例投票先を発表しようと思いまして。 「そんなの、どーーーーでもいい!」と言われれば返す言葉も無いのですが、一応私の個人情報であり無料で公開する勇気も無いので有料とさせていただきます。 万が一、もし知りたい方がお買い上げいただけると有難いですし、今回の衆院選期間で長野1~5区+長野市長選、長野県議補選を追いかけた私に、チオビタドリンク1本おごるつもりでお買い上げいただければ、嬉しいなと思います。 ハイ、、、

 あと、こちらの「衆院選 長野選挙区パック」も好評発売中です。 筆の進みが遅い私なので早急にお届けできるわけではないのですが、頑張って書き上げますのでもし宜しければ御購入いただきたく存じます。 宜しく御願い申し上げます。

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