見出し画像

【レポート #36】衆議院議員選挙・長野県第4区レポート(2021 10.31)


 長野4区は「野党共闘の象徴」と言われた選挙区で、今夏までは最も「現職落選」の可能性が有る選挙区だと言われていました。 それが、秋になって情勢は一変。 これも “岸田マジック” なのでしょうか。 あっという間にどこよりも固い選挙区になってしまいました。
 閣僚入りした現職に長野県の野党共闘唯一の共産党候補が挑む選挙を、レポートします。


◆概要

(Wikipediaより引用)
  • 長野県中部の諏訪地域、塩尻地区、木曽地域を範囲とする東西に広い選挙区で、
    ◎岡谷市
    ◎諏訪市
    ◎茅野市
    ◎塩尻市
    ◎諏訪郡
    ◎木曽郡 の、5市5町4村が含まれる

  • 有権者数:240,401人(長野県で最も少ない区)


◆立候補者

長瀬 由希子 (53) 共産 新 党県委員会書記長 ※野党共闘候補
後藤 茂之  (65) 自民 前 7期目を目指す ※公明党推薦
(比例重複)

 長瀬候補は東京都出身で信州大学卒業後「しんぶん赤旗」記者、日本共産党長水地区(長野市・上水内郡)委員長を経て、日本共産党中央委員、日本共産党長野県委員会書記長を務めています。 2017年の衆院選で比例北信越ブロックに比例単独で立候補し落選し、今回は長野県選挙区で唯一の共産党からの野党共闘候補として立候補。「政権交代でいのち守る政治へ」を掲げ初当選を目指します。

 後藤候補は東京都出身で東京大学卒業後、大蔵省に入省。 主税局に配属され企画調査室長まで務めた一方、在職中にアメリカのブラウン大学大学院修士課程に留学し経済学修士号を取得。 1996年の衆院選に長野4区から初出馬し落選するも2000年の衆院選で同区で初当選。 2009年の衆院選で民主党政権誕生時に落選しバッジを失いましたが2012年の衆院選で政界復帰し現在まで、合わせて6期衆院議員を務めています。 今年の岸田政権で厚生労働大臣に任命され初入閣。 閣僚として今回7期目を目指します。


◆POINT① 野党共闘の “象徴” 長瀬候補

(信濃毎日新聞より引用)

 県内全選挙区で野党共闘候補擁立に成功した長野県ですが4区以外は全て立憲民主党公認の候補。 4区の長瀬候補が唯一、日本共産党公認で一本化されて出馬しています。 地方議員も含めて議員経験は無いのですが長野県共産党で役職を務め、2019年の参院選でも出馬の話が有りましたが野党候補一本化のため出馬を取り下げ、今回満を持して衆院選出馬となりました。
 長野県選出の国会議員は殆どが男性で、女性は調べてみたら1953年に萩元たけ子(左派社会党)さんという方が衆院議員になって以来、70年近くも誕生していません。 これまで共産党から女性候補が何名か国政選挙に挑みましたが当選できずじまい。 なので長瀬候補は共産党、野党支持者、そして女性議員誕生の期待を背負っての出馬となり、野党共闘一本化も出来たので事前調査では「接戦」「リード」と報じられ勝機も充分ありました。 そう、岸田内閣が誕生するまでは・・・

◆POINT② 政界の “不思議ちゃん?” 、後藤候補

(自民党HPより引用)

 私は1997年に長野県へ移住していますので後藤候補のコトは初当選時から知っていますが、何ともいえない “不思議ちゃん” という印象です。 というのも、初出馬した1996年は新進党公認で2000年の初当選は民主党公認、政界デビュー時は野党議員だったんですよね。 ところが次(2003年)の衆院選では自民党から出馬していてビックリして新聞見たら、同年に自民離党→少しだけ無所属→自民入党となったらしく、初当選時に後藤候補に破れて政界を引退した自民議員の後継に自らなるという華麗すぎる転身を遂げたのです。 当時の私は確固たる政治思想は有りませんでしたが後藤候補については「なんだコイツ・・・」という想いをずっと抱いていました。
 そこから6期、自民党所属として衆院議員を務めたのですが、何故か派閥に絡まず無派閥で活動を続けており、どこを調べても無派閥を貫く理由が見つからない。 そのせいかこれまで閣僚経験が無かったのですが9月の総裁選で岸田文雄氏支持に回ったコトが功を奏したか、岸田政権で遂に “順番” が回って来て厚生労働大臣に任命されました。

第一次岸田内閣(マネクリ より引用)

 私は第一次岸田政権を「新・選挙管理内閣」と呼んでいました。 例えば2000年の参院選前に誕生した第一次小泉政権では総裁選の小泉旋風の勢いよろしく田中真紀子氏を外相に、扇千景氏を国土交通相に任命したり、石原伸晃氏を初入閣させるなど人気の有る政治家を入閣させて選挙の「顔」としてアピールしました(のぶてるも当時は人気だったんですよ・・・)。 一方岸田政権は後藤候補や西銘恒三郎復興・沖縄・北方担当相(←任務多すぎだろ・・・)、山際大志郎経済再生担当相のように、衆院選で当落線上だと言われていた議員を閣僚に任命し “格上げ” するコトで当選を狙うという新手の手法をブチ込んだものと私には見えるのです。 おかげで長野県からは2005年の小坂憲次文科大臣以来の閣僚誕生というコトで地元は祝福ムードとなり、それまで事前調査では「接戦」「長瀬氏を追う」となっていて県内ではどこよりも危ないと言われていたのが一転して「リード」となり、どこよりも盤石な選挙区となっちゃいました。 岸田政権、恐るべし・・・

両候補の演説を取材し、そこから見えてきた野党候補の選挙運動のマズさと新しい戦略、そして存在を忘れられかけた地区についてレポートしています。 もし宜しければ御購読いただきたく存じます。 

 また、今後リリースが続く長野選挙区のレポート5本をまとめた「第49回衆議院議員選挙 長野県選挙区パック」を販売中です。

 国政選挙レポートの基本料金である¥300×5本(プラスおまけの1本)の¥1,500で販売しております。 基本料金のみなのでどんなに文章や写真が増えてもお値段据え置き、恐らく単品4本分の値段で5本のレポートが読めることになる予定です。 お安く手に入れたい方や長野選挙区に興味のある方は、是非マガジンの御購読がオススメです。 御検討の程、宜しく御願い申し上げます。

ここから先は

4,602字 / 27画像
この記事のみ ¥ 440

もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。