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【レポート #53】新潟県・津南町長選挙レポート(2022 6.19)

「女性町長」「35歳」「全国最年少」  

 そんな、よそから見たら輝いて見える方が町のトップにいる、津南町。 しかし実際に町に入ってみると、外からは見えないドロドロの人間模様が有りました。 そして取材をしていく中で、それは決して高齢の方が多い町議会議員だけの責任だとは言えないコトも分かったのです。
 “現職の2期目” という間違いなく現職有利の選挙となるハズなのに、何故町内が混乱するような選挙となってしまったのか、レポートしていきます。


◆概要

(津南町役場)
  • 面積:170.21㎢(新潟県 第20/30位) 中魚沼郡に属し、十日町市、南魚沼郡湯沢町、長野県下水内郡栄村と接する

  • 人口:8,980人(新潟県 第24/30位)※2022年4月末現在 1970年には約16,000人いて、半世紀で半分近く減少したことになる

  • 長野県栄村と県境を接し、両自治体にまたがる秋山郷「日本の秘境100選」に指定されている

  • 町内の河岸段丘は日本最大の規模で、苗場山と「石落とし」と呼ばれる崖の景観は苗場山麓ジオパークに指定されている

  • 町全体が特別豪雪地帯に指定されている

(夏の間に豪雪に備える)
  • “平成の大合併” の際、十日町市など6市町村との合併が検討されたが住民投票の結果、津南町のみ独立の道を選び、残りの5市町村が合併し現在の十日町市になった

  • 2011年3月12日の長野県北部地震で町内を最大震度6弱の揺れが襲い、37人が怪我し51軒の家が全半壊。 その他、道路や建造物に大きな被害が出た

  • 津南ひまわり広場は約50万本のひまわりが咲き誇り、4haの土地を3つに分けて開花時期をずらしているので長く楽しめて、巨大迷路などが作られる

  • 衆議院選挙区は新潟6区に属し、梅谷守(立憲・1期)氏を選出、高鳥修一(自民・5期)氏が比例復活


◆立候補者

桑原 悠  (35) 現 2期目を目指す
小野塚 均 (66) 新 前副町長
藤木 正喜 (67) 新 元町議
 

  • 桑原 悠(くわばら はるか)候補

 桑原候補は中魚沼郡出身で2009年に早稲田大学卒業後、東京大学公共政策大学院在学中に津南町を襲った長野県北部地震を機に25歳で町議選に立候補し当選。 2期目途中で町長選に出馬し新人3人の選挙を制し初当選しました。 今回は「ともに歩もう この先の津南へ」と掲げ2期目を目指します。

  • 小野塚 均(おのづか ひとし)候補

 小野塚候補は十日町高校卒業後、津南町役場に入庁。 総務課長などを歴任し2016年に定年退職後、同年に副町長に就任。 2020年に任期満了で退任しましたが、今回周囲からの後押しを受け町長選に立候補。「未来へ まっすぐ」と掲げ初当選を狙います。

  • 藤木 正喜(ふじき まさき)候補

 藤木候補は十日町実業高校卒業後、ユリ栽培を専業し、2007年の津南町議選に当選、1期3年で辞職しています。 以後、農業に従事し今回町長選に立候補。「このままでいいのか、津南町」と町長選に一石を投じます。

 

◆POINT

① “最年少町長” 桑原悠候補とは?

自治体通信ONLINE より引用)

 上段の紹介で書いた通り、人口減が続く津南町に突然現れたのが、東大大学院在学中の25歳で町議選でトップ当選。 25歳の議員として「AERAが選ぶ日本を立て直す100人」に選ばれるなど注目を集め、更に二期目途中で町長選に立候補し、自民党津南支部や上村憲司前町長などの支援を受けて初当選。と、一気に町のトップに駆け上がった桑原町長。 全国最年少の町長として日本経済新聞の「令和新時代に活躍が期待される人」に選ばれるなど更に注目を集める一方、町議時代に結婚し二人の子供を授かって “町長+母” として頑張っています。
 一期目の実績として町財政の健全化、特に慢性的な赤字に苦しんでいた町立津南病院の経営改革(1.8億円の収支改善)を達成しています。 しかもコストカットではなく地域包括ケア病床の開設や整形外科医の常勤化、総合診療内科の新設、生活習慣病外来の設置など病院の特色をつけるコトにより利用者を集めるコトに成功した形です。
 このように、若い町長で、女性で、子育ても頑張り、現職の二期目となれば盤石の選挙、、、となるハズですが、そうならずに新人が二名立候補したのは、やはりそこには若い首長に対してやっかみに近い感情を持つベテラン議員たちと町長との軋轢に有るようです(詳しくは有料部分で・・・)

②町議補選は無投票当選

 町長選と同日に告示された町議補選は、江村 大輔(えむら だいすけ)候補が無投票当選となりました。 38歳と若く、なんと全員60歳以上という津南町議会に新風を吹き込んでくれそうです。 来年本選が行われますが、そこでも当選を果たせば津南町の新たなキーパーソンになる可能性が有り、注目しておきたい人物です。

有料部分では町長の能力に疑問符がついた保育園問題に触れ、主要2候補を取材して分かった津南町政の問題について書いています。 “首長と議会の対立” というのは最近どこかで聞いたような気がしますが、何故津南町でそれが起きてしまったのか。 是非ご購読いただいて知っていただきたく存じます。

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