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瞑想、その最初の形 其の3「思考を観察し手放していく」

マインドフルネス瞑想を行うにあたって、おそらくどこでも教わるであろう最初の形があります。

①姿勢を正す
②呼吸に意識を向ける
③思考を観察し手放していく



三番目の「思考を観察し手放していく」です。

人は生きているあいだ、とめられないことが二つある。ひとつは「呼吸」することであり、もうひとつは「考える」ことだ。

ジョージ・スタイナー


人間である以上、「呼吸」と「考えること」は一生やめられません。人間とは常に思考する生き物だからです。


実際、瞑想をしはじめると呼吸に意識を向けながらも、自然のうちにあれやこれやと雑念が湧いてくるのが普通です。雑念が入ってくると、自然と呼吸から意識が離れてしまいます。そこでやることは、湧いてきた思考と距離をとって「観察」すること。知らず知らずのあいだに他のことを考えている自分にいち早く気づくことです。


でも、思考を観察するってどう言うこと?


思考を広げない

例えば、「今夜は肉料理にしよう」と浮かんだとき、そこから思考を広げて何の料理にしよう?肉野菜炒めかハンバーグか?・・・はNG。「わたしは料理のことを考えてるな」と傍観し、料理のことを考えている自分に気づくことです。

原因(出どころ)を探らない

例えば、「またあの人同じこと言ってくるだろうな」と思ったとき、わたし何か気に触ること言ったのかな?自分のどこが悪いんだろう? など思考が出てきた原因を探らないこと。一歩引いたところに自分を置き、「◯◯を気にしている自分がいるな」と客観視してみてください。

また、今まで気にしてなかったことが急に頭に浮かぶことがあります。そんなとき「なぜこんな考えが?」と思考の出どころを模索しない。ただ、浮かんできただけです。

評価・判断をしない

思考に「良い・悪い」「好き・嫌い」などの判断基準をつけない。

例えば、ネガティブな思考が浮かんだとき、「そんなこと考えてはいけない」などと判断して無理に抑えこまない。「まったくその通りだ」と評価もしない。肯定も否定もしない。ネガティブな思考をただネガティブな思考だと、視つめるだけでOK。


思考は、通り過ぎていく風のようなもの。

瞑想中に「目を開けて何時か見たい」とか「今日買うものを今のうちにメモしとかなきゃ」という思いが浮かんでも、その思考に従わず、さりとて肯定も否定もせずただただ観察していれば、やがて消えていきます。

しばらくすると脳が、「動け!」「瞑想なんか後でやればいいじゃないか!」「今すぐやらないと忘れてしまうぞ!」と、さらなる追い討ちをかけてきても、ただひたすら目を閉じて坐り続ける。脳はいかにも今それが必要であるかのように要求してくることもあるかもしれませんが、それの言いなりにならないようにするのが「トレーニング」です。

思考は次々と湧いてきます。でもそれに引っ張られなければ「自ら」消えていきます。こうやって瞑想を重ねていけばいくほどに、思考というものは勝手に現れては消えていくものだと「認識」するようになります。

脳は次々と思考を作り出してきます。それが脳のお仕事だからです。思考にはパワーがあります。人間がモノづくりをしたり行動を起こしたりするのも思考があるからです。パワーがあるが故に、そのエネルギーに巻き込まれないよう整理し、コントロールするのも必要です。

マインドフルネス瞑想の、思考を受け止め、物事をあるがままに客観視する訓練を続けることによってそれが可能になっていきます。

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