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無常は、魔法の世界と紙一重

ブッダが現した真理のひとつに「無常」があります。
この世の全てのものは変化するという事実です。

ふだん、わたしたちはこの「変化」に気づいていません。というか気に留めていません。

朝日が昇り夕方沈んでゆく。全ての人が皆同様に歳をとってゆく。季節がめぐれば草花も次の季節のものと入れ替わります。生きてるものだけでなく、石などのような動かないモノでさえ時が経てば「風化」していきます。


昔こどもの頃よく見たディズニー映画の「シンデレラ」。

ただのお手伝いだった娘が、魔法使いのおばあさんと出会い、念願の舞踏会に出かけるシーン。カボチャは馬車に、ネズミは馬に、ワンコは御者に変わります。美しいドレスを着て変化した娘は一気にサクセスストーリーまっしぐらです。


このお話、全て夢物語のように思われますが本当にそうでしょうか。

この「変わる」ということ。映画ではおばあさんの魔法の杖の一振りによって行われるのですが、実はこれ、無常の現実と紙一重じゃないか、というのがわたしの持論。

もちろん映画のように一瞬にして何もかも劇的に変わる、ということはありません。ですが、わたしたちは心も体も周りの環境も実はこのように変化しています。


先日読んだ「無常の見方(アルボムッレ・スマナサーラ著)」の中で、こんな文章がありました。

「花は黄色いとはいえない」

光のエネルギーが花に入ります。すると花びらが乾いたり、細胞が壊れたりします。

花が変わったのです。

花を変えることで、光も変わります。エネルギーの量も変わるし、色も変わります。
花に当たる光(直射光)と、花で跳ね返る光(反射光)は違いますね。直射光は太陽光の色でも、反射光は赤や黄や紫だったりします。

花から出た光が私の眼に入ると、目の神経細胞が反応します。

私の体が変わったのです。

それから私に「花だ」という認識が生まれます。

私の心が変わったのです。

「無常の見方」アルボムッレ・スマナサーラ著

これ「無常」の説明の一説ですが、なんだか魔法のように感じませんか?


そしてさらに面白いのが、変化するスピードです。
自分も世界も「同じスピード」で変化しているのだそうです。

すべてが同じスピードで動いているから、この変化に気づきにくい。机などのモノをじっと見ていても、その変化に気づきにくい。自分と同じ速さで変わっているからです。

時々、電車などに乗っていて、横に走っている列車が自分の乗っている電車と同じ速度で走っていると、お互い止まっている感覚を得たりしませんか?

同じ速度で走っているとお互い動いていることに気がつかないのです。


そして、この速度ですが、ひとつだけ違う速度で動いているものがあります。

「心」です。

心の変化は、物質よりもずっと速く、光の17倍だそうです。

すごくないですか?

なので、心の眼で見ると物質の無常が見えてくる、心の変化は物質のそれよりずっと速いので、変化がわかるようになる。


瞑想することで、意識が、自分の変化や周りの変化に気づかせてくれます。心が速い速度で動いているからです。
心がなぜ気づきを得ることができるのか、腑に落ちた瞬間でした。17倍の速度で動いていればそれより遅い速度の変化は容易に見分けられます。

目に見える一才は変化し続けている、ということが解れば、物事に執着しなくなります。モノの所有にも興味なくなります。意味がないからです。

また、一瞬一瞬を感じることで、変化が楽しみにもなってきます。毎日毎日、毎秒毎秒が楽しいのです。変わっていくことの素敵さ、この「一瞬」を「今」でしか見られないと思うと、全てのものに慈しみの気持ちが湧いてきます。
この変化する様に、苦しみを見出す方もあるようですが、わたしには楽しいとしか思えないのです。まだまだ修行が足りないのかも知れません。

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