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感じた空気をそのまま残すって

って、残すってなんだろう。

もともとはディズニーで楽しそうに踊っているダンサーさんを見ているのが好きで、生き生きした表情を心の中だけじゃなくて物として残したくて始めたカメラだった。

でもきれいな画質で、目に見えている色よりも良い発色で、動きがまるで止まっているかのように撮ることが本当に必要なのか自分でもわからなかった。

そんな時に友達が勧めてくれたフィルムカメラはなんだか撮っていた時の気持ちや感じた空気も一緒に写真の中に閉じ込められる魔法のように感じた。


フィルムカメラというものについて

数年前に比べて「エモい」という言葉が世に浸透して撮り直せない、現像の時のわくわく感が若い世代にも流行っていると思う。

私がフィルムカメラを触り始めた5,6年前は若い人は写ルンですなんて使っていなかったし、中古カメラ屋さんでおじさんと肩を並べてカメラ選びをした。

フィルムの値段は高騰し、生産も終了していくばかりだ。こんな悲しいことはないと思いつつも、そうやって選択肢が狭められた中で本当に好きな人は結局やめることができないのだと思う。

好きな人の後ろ姿や妹の制服姿、写真を撮った後に食べておいしくてびっくりしたホットドックやシャッターの音に気が付いて撮った後に目線をくれたニューヨークで犬を散歩させていたお兄さん。

思い出すことは山ほどあって、そうやって時間を少しずつ積み重ねていけるのがフィルムカメラだと思う。

空気なんて当たり前に残せないし、1本全部失敗してその時のことがすべて消えてしまったような気持ちになることだってある。

でもやっぱり、少しでも時間をかけたものはいつの時代も人の心に深く根差すものなんだな、と思う。

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