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何者でもない私の読書日記

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何者てもない私が読んだ本たち。
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#エッセイ

【読書日記】「最悪の将軍」(朝井まかて/集英社)

【読書日記】「最悪の将軍」(朝井まかて/集英社)

五代将軍綱吉の物語。全八章。

綱吉が次期将軍に選ばれるところから始まり、綱吉視点と正室信子視点が交互に入れ替わりながら、綱吉の生涯を描いている。

大河ドラマや時代劇などではちょっとエキセントリックに描かれていたりして、そんなイメージが染み付いていたけれど、この綱吉さんは実直で思慮深い!
正室の信子も、とても賢くて陰ながら綱吉を支えます。

悪い人たちじゃないのに、ではなぜ「最悪の将軍」となって

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【読書日記】ひんやりした千早世界

【読書日記】ひんやりした千早世界

「透明な夜の香り」今読んでいるのは「透明な夜の香り」。

心にいろいろ抱えた主人公若宮一香はスーパーの掲示板で見つけた求人に応募する。雇い主は調香師の小川朔だった。

本書は全部で12章あり、5章まで読み終わっている。
主人公を雇っている小川朔は調香師の仕事をしているのだけれど、とにかく臭覚が超人的である。
生活に支障をきたすレベルなので、主人公が採用されたとき、ボディソープや洗髪関係、化粧水など

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【読書記録】「勘三郎の死」中村哲郎

【読書記録】「勘三郎の死」中村哲郎

勘三郎と私ここ一週間ほど、「勘三郎の死」という本を読んでいた。
中村勘三郎丈は、私にとっては特別な役者さんである。
中学生の時に大河ドラマ「武田信玄」で白塗りで貴族風の今川義元を演じていたのを見てファンになり、母親から歌舞伎役者だよと教えられ、歌舞伎座へ行った。

初めて行った歌舞伎座は赤色メインの綺羅びやかな空間で、ざわざわとした何とも言えない高揚感やワクワク感は今も覚えている。
いくつか演目は

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「戦艦武蔵ノート」を読みました

小説「戦艦武蔵」を読む前に、その取材日誌の本があると知り、こちらを先に読もうと手に取った。
戦艦武蔵ノート
岩波現代文庫
吉村昭
2010.8.20

※※※※※

この本は、吉村昭が「戦艦武蔵」を執筆する際にその建造に携わった人や乗組員、建造された造船所のあった長崎の市民などから聞き取り調査をした記録である。

取材は昭和40年頃に行われた。終戦から20年という時期なので、現在とは違い戦争中既に

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