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映画『丘の上の本屋さん』

トップガンマーヴェリックにはまってから、また映画館に足を運ぶようになった。アンテナを張っていると好みの映画が引っ掛かってくるようだ。

今回観たのはイタリアの美しい村の古書店を舞台にした『丘の上の本屋さん』。イタリア映画は『ニューシネマパラダイス』くらいしか観ていないが、流れている時間が同じようなテンポだった。それはのんびりというのでもなく、ゆっくりというのでもなく、別の空間をただ時がゆったりと流れているという感覚で心地よい。
何十年も前の設定かと思いきやインターネットやWifiの話題もでてくるので現代を舞台にしている。人生に余白部分がたくさんあるようで、それは何もしない時間ではなく贅沢な時間の使い方だと思いながら見ていた。

この映画は本好きの人にはたまらないだろう。そこには本との幾通りもの出会いが描かれている。紙の本の表紙、手触り、におい。。。本というのは内容だけでなく、こうしたもの全部含めてが本なのだ。
この映画の中で知った一節、「持ち主が代わり、新たな視線に触れるたび、本は力を得る」。なんという素晴らしいフレーズだろう。一冊の本を読んでも100人読めば100通りの感想があり、気づきがあり、楽しみ方がある。本は人に力を与えるものだと思っていたら、本のほうでも力を得ているというのだ。本好きの想いが本にも伝わっていて一方通行の片思いではないというのがうれしい。

美しい映像と本に対する愛情が満ち溢れていて、観たあとで心の容積が増えたような気がした。本好きな人に特におすすめしたい映画。


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