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ここから3年間の日本政治

みなさん参議院選挙お疲れ様でした。
結果としては自民党が単独で改選議席のうち半数を占める大勝利を遂げました。
また、ほとんどの一人区で自民党が勝利することになりました。

まあそんなことは誰でもわかるので今後の政治の予想をしていきたいと思います。

1.二度目の左翼の崩壊

前回の衆院選もそうでしたが、立憲民主党は徐々に党勢を失っています。これは伝統的な左翼の理念が徐々に衰退しつつあることを示しています。

55年体制以降、日本の伝統的な左翼の理論は、社会主義と平和主義でした。日本社会党及び日本共産党はこの2軸で、自民政権と対抗していました。当時は戦争を知る世代が多く、多くの人間が左翼の理論に共感していました。
そして、時代が進んで行っても左翼の勢いは続いていきました。公害問題などの社会問題が左翼への投票につながっていたことや、左翼の支持団体である日本教職員組合が生徒に行った平和教育などの影響が大きいでしょう。

しかし、この情勢は一変します。1991年のソ連の崩壊です。理論の1つの軸だった社会主義の限界が明らかになり、社会主義の勢いは急速に失われていきました。その結果、日本社会党は崩壊します。

ただ、もう一つの軸である平和主義にまだ力はありました。ここで一度日本の平和主義について解説します。ここで言う平和主義とは、「戦後日本のガラパゴス的な平和思想」のことを指します。日本は戦後国防をアメリカに丸投げした結果、本気で軍隊無しで自国の平和を守れるのではないかと考える思想が発達しました。この軍隊は持たない(=つまり憲法9条を守る)と言う思想が平和主義です。依然として平和主義に力があったのでその思想を背景とした民主党が政権を取ることも可能でした。

しかし、この平和主義の力も徐々に失われています。まずは民主党政権がうまく行かなかったことで平和主義の理論に対する疑問が生まれました。
さらにこの頃、自民党も自らのアイデンティティを模索した結果、急速に右傾化します。自民党はインターネットなどをうまく活用し、結果社会全体を右傾化に導きました。   

こうして、平和主義は支持を失い立憲民主党は党勢を失っているのです。これは左翼の二度目の崩壊であり、新しい政治秩序の模索段階でもあります。

2.国会は や党・ゆ党・よ党 時代へ

左翼がかつての勢いを失った結果、国会は
野党 ゆ党 与党 の三つ巴の状態になっています。
(ゆ党=ひらがなの「や」と「よ」の間に由来、野党でも与党でもない勢力のこと)

野党=平和主義を背景とした伝統的左翼(立憲民主党など)
ゆ党=伝統的野党でもなく、与党でもない(維新、国民)
与党=自民党、公明党

3年後の選挙ではゆ党がさらに躍進しているかもしれません。これが、今後数年の日本政治の形です。

3.遂に憲法改正へ

先述のゆ党は憲法改正に前向きなので改憲勢力が衆参両院で2/3を占める状況は続いています。
今後は国政選挙のない3年間(いわゆる黄金の3年間)が訪れますので、自民党は遂に悲願の憲法改正を成し遂げるかもしれません。

今までの岸田政権は何もしない「ゆるふわ内閣」と言われていました。おそらく、何もしないことで失点を防ぎこの参院選を乗り切ろうとしていたのでしょう。ここからの3年間で岸田さんは自分のやりたいことをやるはずです。

岸田さんのやりたいことは緊縮財政でしょう。安倍さんが凶弾に倒れた今、緊縮財政を止める人はいません。思う存分消費税増税でもしてください。金利上げてください。それが国民が望んだことだから。

ただ、岸田さんには安倍さんからの大きな宿題が残りました。それは憲法改正です。
安倍さんの悲願である憲法改正は、彼が死んだことで必ず達成しなくてはならない空気感が生まれました。
もし、岸田さんが後ろ向きであれば「安倍さんの遺志を継がないのか」と党内から厳しい批判が寄せられるでしょう。

安倍さんは自分の目で悲願を見届けることはできませんでしたが、自分の命と引き換えに悲願を達成します。
こうして彼は伝説の政治家となるでしょう。

さあ、憲法改正。大きく日本社会が揺れる3年間の幕開けです。国論は分断され、与党も大きく揺れるでしょう。特に連立与党の公明党はどう振る舞うのか、維新と国民はどのようにイニシアチブを握るのか。岸田さんはどのくらい妥協するのか。安倍さんはどのように神格化されるか。

激動の「黄金の3年間」の開幕です。

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