![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130796442/rectangle_large_type_2_ea4fc4d0202b702c73ffd3807cae1628.png?width=1200)
【書籍紹介】ファンに愛され、売れ続ける秘訣 和田裕美著
著者の和田さんは20年近くに渡りセールスコンサルタントをされている営業のプロ。「成約率98%の秘訣」等のベストセラー作家でもあります。
今回の本は、著者がこれまで営業として、コンサルタントとして蓄えて来たノウハウは、まさに「ファンベース」に基づいていた。ファンベースのフレームワークで解釈するとしっくり来るという解説書。
「ファンベース」の本家、佐藤尚之さんの本が理論編とすると、本書はその実践編にあたります。
本家「ファンベース」については、前回、解説致しましたので、ご興味ある方は、こちらからご覧ください。
「ファンベース」の枠組みで「和田メソッド」を再解釈する中、これまでの主張を自己否定される場面も紹介されています。
例えば、従来、営業コンサルタントとして商談のクロージングを重視してきた。ただ、クロージングという言葉は、「売ることがゴールで、そこでお終い」を想起させる。
ファンベースに基づくと、そこから顧客との関係性が始まる。つまり、クロージングではなく、スターティングと呼ぶべきではないかと。
営業という仕事はお客様に未来のわくわくを売る仕事であり、目の前の人のお役に立つことだと一貫して伝えて来ました。
私は営業を始めた頃から「目の前の人とつながり続ける」ことを何より大切にしてきました。
ファンベースでやっていこうと言うと「そんなものはきれいごとだ」と言われることもある。でも、これからはきれいごとの時代だ。
ファンベースとはファンの方たちを何よりも大切にしてより幸せになってもらう関係を築きながら、中長期的に売上や価値を上げていくという考え方です。
こうした整理を経て、そもそも「売れる営業を育てる」という概念自体に疑問を持ち、「選ばれる営業育成」と定義すべきではと考えるに至ったそうです。
通常のお客さまは、お金を払ってその対価を得ることで完了するわけですが、ファンになると「役に立てる」「手伝える」など自分の行為が増える方がより喜んでもらえるのです。
ファンは、ファンになってからの長さに関係なく、共感度合いによって価値基準が変化するのだと思います。「何かを得る」という段階→「何かを応援する」という段階→「何かを一緒につくる」という段階です。
そうした関係性を築くのに必要なスキルとは?
相手がまだ気づかない課題を見つけて「もしかしたらこんな悩みがあるのでは?」と推測できるスキル。
和田語録は、まだまだ続きます。
どんな場所でも「さみしい人をつくらない」と決めています。私のところに来た、すべての人が「ここに自分の居場所がある」と思って欲しいからです。
あのお客さまはフォローしても意味がないと切ってしまうことは絶対にしてはいけません。どんな出会いも一期一会なのだから、なんらかのご縁があった方としてしつこくない関係を保つことをお勧めします。
和田さんは、営業コンサルタントで、もちろん芸能人ではないのですが、自身のコミュニティをお持ちで、オリジナルグッズの販売までされています。
コミュニティを作ったのは、営業のプロとして「これからはコミュニティの時代。自分のコミュニティを作って、一儲けするぞ」。
と考えて作った訳ではなく、ひとりひとりのお客様と真摯に向き合い、関係構築を続けた結果、ある日、顧客の一人が「和田ファミリーの集い」というファンコミュニティを立ち上げた。という経緯だそうです。
まさに、20年超にわたり、ファンベースマーケティング、コミュニティマーケティングを実践されてきた。まだ、そういう呼称がない頃から。そして、時代がようやく追いついてきて、あとからラベルがついた。
本書のもうひとつのお薦めポイントは、「ムービートーク」事例集。ムービートークとは著者の造語。映画を観ているかのごとく、顧客の脳内に未来の映像を映し出す話術を指します。
「一度は申し込みを決意されたお客さまが考え直し、迷いが生じてしまったケース」「住宅展示場に来てくれたお客様と、次のアポが取れないケース」等々、実際の商談シーンを想定した6つの事例が紹介されています。
状況説明→NG事例→OK事例という構成。実際に営業職に従事されている方のみならず、個人で事業をされている方、事業を始めようとされている方にとっても、物凄く参考になります。
この事例集だけでも、お値段の価値ありです。
最後に、和田さんが、本書の監修者であるさとなお(佐藤尚之)さんに「バズらせる方法ってあるのですか?」と尋ねた際の、さとなおさんの回答を紹介して、締めくくりたいと思います。
「ごめん、バズるについて否定的な立場なので。。。」との前置きに続いて、
何かを仕掛けて売るという考え方である限りマーケティングに未来はないと思っています。もっと誠実なマーケティングに変わっていかないといけない。仕掛けるというのはもう古くて、その人の熱量が周りに自然と広がって行くのを目指すべきです
いかがでしたでしょうか?
順番としては、先に実践編である和田さんの本を読んで、その後に理論編であるさとなおさんの本を読むというのがお勧めです。その方が、入りやすく、かつ、深く腹落ちすること請け合いです。
<関連記事>
コミュニティマーケティングについてまとめ、関連書籍を紹介した記事。
この記事が参加している募集
いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。