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〈LANSCOPE PEOPLE Vol.02〉アートディレクター 徳野佑樹さん[前編]| 語られ、愛されるものに。ロゴデザインの哲学

エムオーテックス(MOTEX)デザイン戦略チームです。
MOTEXが提供するサイバーセキュリティのプロダクト・サービス「LANSCOPE」に携わる人たちへのインタビューを通じて、MOTEXの思想やカルチャーを紐解く「LANSCOPE PEOPLE」。
Vol.2は、前回(
こちら)登場いただいた熊谷正晴さん(BEARS)とともにMOTEXのリブランディングプロジェクトに参画し、テレビCM制作やLANSCOPEのロゴリニューアルを担当された、アートディレクターの徳野佑樹さん(現TOKU)にお話を伺いました。



—— 徳野さんはMOTEXのリブランディングプロジェクト(Vol.01を参考)の中で、アートディレクターを担当されました。MOTEXやLANSCOPEについてどんな印象をお持ちでしたか?

徳野さん(以下、敬称略):やっぱりセキュリティって、自分があまり知らない世界で、少し難しそうに感じる部分がありました。だけど、うまく言語化して、複雑なものを簡単にしてくれるコピーライターがいると理解度が全く違ってきます。だからすぐに熊谷さん(vol.1に登場)に相談しました。

—— テレビCMをつくるにあたって、どのような点に配慮や工夫をされたのでしょうか?

徳野:その当時、タクシー広告を見ていると、「ヤバいんです! だから、これを導入しましょう!」っていうフォーマットが多い印象がありました。
だから、そういったのとは違うアプローチにしたいよねっていうのが最初にあって。他社さんの多くが採用しているアプローチのカウンターを考えるっていう方が理にかなっているし、考えやすいので。
だから、恐怖訴求ではなく、思想・平和訴求になりました。
あと、個人的に「やばいよ! やばいよ!」って言われるより、「大丈夫、大丈夫」って言ってくれる人の方が信頼できるっていうか。その当時の社会の状況を考えると、安心を感じてもらう方が大事だと思いました。

—— そういった思いを持ってつくられたMOTEXはじめてのテレビCMはたくさんのいい反応がありました。特にどのあたりにこだわられたのでしょうか?

徳野:「上質さ」を感じさせるトーン・アンド・マナーにすることが、すごく大事だと思っていました。
競合他社さんがされている広告のアプローチの良さもある中で、LANSCOPEは平和訴求をしていくのであれば、しっとりと、安心が感じられる、上質さを大事にしていきたいと。やっぱり、質の良いベネフィットを提供するブランドは、上質なCMをつくらないと。
また、例えば食べ物のCMだったら食べ物がちゃんとおいしそうに見え、車のCMだったら車がちゃんとかっこよく見える、みたいなことが大事になってきますが、今回の商品は目に見えたり手に取れるものではありません。
そういった点でも、より上質さのようなトーン・アンド・マナーを大切にしました。

—— 続いてLANSCOPEのロゴデザインについて聞かせてください。プロダクトのロゴは、テレビCMのような「広告」ではないと思うのですが、どう思われますか?

徳野:そうですね。でも思考としてはロゴも広告と似ているところもあると思います。映像にしろ、ポスターにしろ、ロゴにしろ、企業の理念や思っていることをわかりやすく伝えるっていう点は同じです。
ただロゴの場合は、普遍性も意識します。企業ロゴの場合だと、特にオーセンティシティーというか、ちゃんとどっしり支えられるデザインになっているかどうかっていうのはすごく大事で。
奇抜なデザインだったら、その瞬間はおもしろいかもしれないけど、すぐ飽きられるなとか、コンセプトが丸見えなデザインもちょっと恥ずかしいよなとかも。かといって、なにもアイデアがなければ人の想いは乗っからない。
なんとなくですが、ひとつのロゴのデザインに込められる気持ちは3つくらいだと思っています。あれもこれもって全部詰め込んでも、人が覚えられるのは3つぐらいだし、良さも伝わない。3つぐらいの気持ちがちゃんと乗っかっていて、それがすごく説明的になっているわけじゃなく、シンプルに仕立てられているっていう状態を目指します。
そこはCMをつくる作業とちょっと似ていますね。抽象化しつつ、また具体化する、ということを繰り返すような感じです。

 

——  普遍性の他に、企業の規模や歴史、思想のようなものも踏まえられるのでしょうか?

徳野:そうですね。今回で言えば、プロジェクトの中でご提案した「Invisible Potential」というワードがあるんですが、これはMOTEXの「潜在能力を引き出す」とか「見えないものを可視化する」みたいな考え方がベースになってるんです。それは上位にある考え方ではあるんですが、ちゃんと製品・サービスにも当てはまっていることだなと思いました。
だからロゴデザインは、単純に機能を表現したロゴをつくるというよりは、潜在能力を引き出すとか、見えなかったものを可視化していくというコンセプトが根幹があり、そこに機能が紐付いてくるっていう考え方をベースに進めました。

——  提案いただいたLANSCOPEのロゴは、私たちの想像を良い意味で裏切る独自性のあるデザインでしたが、「Invisible Potential」というキーワードがあったからこそ納得して選べました。

徳野:やっぱり企業のロゴって、社内の人がこれはこういうコンセプトでデザインされたロゴなんですよって一言で言えるかどうかがすごく大事だと思います。コンセプトとデザインが接着していれば、ちゃんと愛されるものになる。


 

——  デザインされた際、社内への影響も考慮されたのでしょうか?

徳野:僕は、企業ロゴにしてもサービスロゴにしても、インナーへの影響の方が大事だと思っているところがあります。
多くの場合、企業ロゴって、一部の人たちで「よしこれでいこう!」ってデザインを決めると思うんです。
だから、そのデザインを決めた人たちが、このロゴにはこういうストーリーが込められてるんだよって自分のチームの人たちに語れることをすごく大事にしています。
そうやって語れる中身があった方が絶対に愛されるし、そういう中身がないと、なんでこのロゴはこういうデザインなんだっけ? というふうになってしまって、半年後ぐらいにみんな忘れるみたいな。
そういう意味でも、デザインに込める気持ちは3つぐらいまでかなと。

—— シンボルマークのレッドとグレーの間にあるグラデーションや、ロゴタイプの書体にはどんな意味がこめられているのでしょうか?

徳野:グラデーションは、インビジブルな部分を引き出すということを表現しています。手前にすりガラスのようなものがあって、そこからこれまで見えていなかったものが顔を出している、というイメージです。
こういったグラデーションは、印刷の再現性の問題で、企業や製品のロゴで使われることはあまりなかったのですが、最近ではディスプレイ上で見られることが多くなってきましたし、ディスプレイの性能もどんどん上がっているので、今ならいけるんじゃないかと思いました。
ロゴタイプの書体は、いろいろなパターンを検討しましたが、王道感や可読性の高さから最終的にGothamを採用しました。

後編はこちら


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