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2023年6月の記事一覧
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
2.胡乱
先生!ロンドがまた学校をサボってます。
ロンドが何か悪いことをしたら恩師に言い付けるのがソナタの役目だった。ロンドの両親は子供を自由に育てる主義らしく、何も言わない。何をしても、何をしなくても良いも悪いも言わないのだ。両親には考えがあってこんな教育方針をとっているのだろうが、幼いソナタにとってはそんなことはお構いなし。ど正論をど直球でぶつける学級委員タイプである。恩師は学校の教師で
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
1. 手蔓
"タウン"…誰しもがそう呼んでいた。ほかにもあるのか、どこからどこまでがそうなのか、分からないことは多いのだが、確かにそこには彼らの暮らしがある。
タウンの住民は何らかの形で"上"と繋がっていることは、みんなが認識していた。ただし、"上"という組織は実体を伴わないから、組織でも個人でも誰がどう繋がっているかは世間一般の者には分からないし、"上"の存在自体を知らない。そして、何より住
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.2アントワープの事件
29.模糊
事件当日、幼馴染と団長は楽屋で話をした。
本当に久しぶりだね。元気そうで何よりだよ。
団長、ご無沙汰しています。その節は母が大変なことをしてしまい、どうやってお詫びをしていいのか…申し訳ありません。
…私にも大きな責任がある。だがいまの立場を退かないことにしたのは、その"責任"から逃げないためだ。ところでいまも音楽は続けているんだろう?
ええ。でも今日はそのお話ではな
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.2アントワープの事件
28.媒鳥
俺には俺のやるべきことがあるってことさ…。
辺りがすっかり暗くなるころ、2人を乗せた車は木々が生い茂る山奥へと入った。車体が見えなくなるほど密に、そして背が高く伸びた草木を掻き分け、旧友はある地点で停車した。
時間がない。追手はすぐそこまで来ている。もう一回同じスイッチを押すんだ。
ソナタが旧友に言われたとおり実行すると後部座席の足元から音が聞こえた。足を置く部分が水平に開
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.2アントワープの事件
27.嘱託
君はいつも話が早くて助かるねぇ。
どういうこと?
おや?やっぱり最近疲れてるのかなぁ?勘が鈍くなったねぇ。
大きなお世話よ!ムダ口はいいから本題に入りなさい。
おっとぉ…もうすぐ目的地だからねぇ。軌道修正感謝するよぉ。まずはダッシュボードを開けて、右上奥にあるスイッチを探してくれ。
旧友の言われたとおりダッシュボードの奥に手を伸ばすがすぐに突起物のようなものには触