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新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅

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国際指名手配犯となった妻を探すため、ロンドは小さい娘2人と旅をしていた。各国の著名人を狙った犯行を追う中で、手がかりを探していく3人。果たしてこの旅のゆくえは…。 主人公が途中…
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2023年4月の記事一覧

新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2ソナタの旅 Chap2アントワープの事件

新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2ソナタの旅 Chap2アントワープの事件

23.盤石

 おや?珍しく感が鈍いなぁ。

 あんな小さい紙にGPSが混入されているなんて気付くわけないわよ…。しかも何日前の話?いつまでも体内に残るなんて恐怖ね。

 紙を飲み込んだら証拠隠滅…なんて時代はもう終わったってわけさぁ。何でも飲み込むクセ、もうやめたらぁ?

 はいはい、あなたの発明が優れているのはもう分かったわ。さあ、事件解決をしましょう。

 …ソナタ、思っているよりも状況は相

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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2ソナタの旅 Chap2アントワープの事件

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22.豹変

赤縁メガネの女性は"事件"の経緯を話を終えるとカップに口をつけた。

 すっかり冷めてしまったわね。淹れ直してくるわ。

女性は立ち上がりカップを下げトレイに乗せると、赤いピンヒールをコツコツならしながら部屋を出て行った。"犯人はきっとあの子ではない?いや、あの子かも知れないし、全く無関係の人間かも知れない"…様々な考察が生まれては消え消えては生まれるが、無論、真実に辿り着くには事実

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21.告白

歴代の団長が使用してきた重厚感のある木製のデスクの引き出しからノートパソコンを取り出し、ソファに戻った。係員は手を少し震わせながらカップを持ち上げコーヒーを一口に含み瞳を閉じる。気を落ち着かせるよう意識しながら、話を続けるようだ。団長はパソコンを起動させ文字を入力するソフトを開き、係員が先ほど話した内容を記した。

 待たせて悪かったね。続きを聞かせてくれるかい?

 はい、もちろん

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20.疑惑

 おお、今日はお疲れさま。何かあったかい?

団長は優しく声をかけるが係員はずっと下を向いたまま何も応答がない。両手の拳を強く握り体は少し震えているように見える。中で話を聞こうと誘導してもそこから動こうともしなかった。

 このドアは開けておくから準備ができたらいつでも話を聞くよ。

団長は係員の両肩に指先をそっと乗せ、少し屈んでにっこり笑顔でそう伝えると自席に戻った。それから数分…

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