果物をコーティングしてフードロス削減に貢献するApeel Science|世界のサステナブルな企業紹介
本日紹介するのは、カリフォルニアを拠点とするApeel Science社。同社は野菜や果物からの抽出成分を使った天然由来のコーティング技術を持ち、同技術を活用して野菜や果物の鮮度を大幅に引き延ばすことが可能です。コーティングされた食品は、内部の水分を閉じ込めながら外気を遮断し、水分の蒸散と酸化、つまり腐敗スピードを遅らせることができます。
本技術はアボカド、柑橘類、リンゴなど様々な果物に対して使用することができ、無味無臭かつ安全性の高い素材とのことです。どれくらい鮮度保持期間が伸びるのかは食材によって異なるようですが、いずれの品種でも少なくとも2倍の期間まで伸ばすことが可能なようです。
FAOによれば、現在世界中で生産されている食料のおよそ3分の1は廃棄されており、世界的にフードロスの問題が注目されています。特に、日本含む先進国では、消費者側での食品廃棄が多く、その中でもスーパーやコンビニといった小売店で賞味期限が過ぎた食品の廃棄が大きな割合を占めています。
同社の技術はフードロス削減というサステナビリティへの貢献はもちろんですが、この技術が画期的なのは、小売店などの事業者にとっても経済的メリットが生まれる点にあります。食品廃棄が生まれるということは、小売店にとってはその仕入原価がロスになるということです。このコーティング技術によって鮮度保持期間を伸ばし、顧客へ販売することができれば、経済的なロスを生まないだけでなく、売上アップにも貢献することができます。単純に鮮度保持期間が2倍に伸びれば、顧客へ販売する機会も2倍になりますからね。
さらに、冷蔵などの温度管理も必要としない事から、輸送段階や在庫段階での大幅な電気代削減にも貢献します。さらに、ケミカルな防腐剤いらずで消費者にとっても安心です。
まだアメリカ国内での活動が中心のようですが、今後のグローバル展開に期待です。