シェアハウスに引越しました。
東京に引っ越して2年。
住み慣れてきたおうちの契約更新が近づいて、
わたしは引っ越しを決意した。
この記事で書いたのがその瞬間の気持ち。
引っ越しを決めた理由はいくつかあるのだけど、
いちばん大きな理由は
人と住む、ということをやってみたかったから。
東京に来てから住んだおうちは職場のすぐ近くで
通勤に便利だからの一択で決めた。
狙い通り通勤は本当に楽で、慣れない生活の中で
満員電車に乗らなくていいというのは
わたしにとって、とても大きかった。
東京に住んですぐ、なにもかもが珍しくて
週末になるといろんな街に出かけた。
東京は、どの街もその街だけの良さがあって
キラキラして見えた。
2年目になると、ちょっとずつ家から出るのが億劫になって
あっという間に職場と家を往復するだけの毎日になった。
悲しいこととか、ちょっとクスッと笑ってしまうような
出来事とかをだれに話すわけでもなく、
ひとりで飲み込むのが当たり前になった。
毎日飲み込んだ石の塊みたいな物体はいつの間にか
岩みたいになって、気がつくとわたしの身体も心も
ずっしり重たくなってしまった。
布団の中で丸くなっていると、
得体の知れない孤独感や閉塞感が
たまにやってきてニヤニヤわたしを見下ろすのを感じた。
その孤独感にすっかり洗脳されてしまったわたしは
逃れられなくてわたしに一生ついてくるんだと思っていた。
幸せってどうやって掴めばいいか忘れちゃったのだった。
よく電話する友達になんとなく
「いつかわたしも人と住むっていうのやりたい、シェアハウスとかいいな」と言った。
でも心の中では無理だろうなと思った。
わたしは人と距離が近くなればなるほど関係がいつも上手くいかないし、今まで人と暮らしたのは家族だけだけど
安心できる場所と思ったことがなかったから他人と上手に暮らしていけるなんて出来っこないと思った。
友達は、「わたしいいシェアハウス住んでる子知ってる!
合うと思うから紹介してあげるよ」と言って繋いでくれた。
コミュニティをちょっと覗いてみるだけ、と思って
繋いでもらったその子は「来月でわたし部屋退去するんだ」と言った。シェアハウスのある街はわたしがよく出かける、大好きな街だった。
少しドキドキしてシェアハウスのホームページを覗くと
なんとまあ、素敵なおうちがあらわれた!
インテリアもシェアハウスのコンセプトも
心の真ん中どストライクで、
食い入るようになんどもサイトを見た。
サイトの下の方にいくと「ひと部屋空きあり」とあった。
なんとなく、わたしはここに住むんだろうなと思った。
それからすぐ、大家さんに連絡して内見の予約をとって
契約更新の取消を不動産に依頼して返金手続きをした。
シェアハウスのことを知ってから10日でおうちの解約とシェアハウスの契約をした。ラッキーの実が爆発したとしか思えない。
おうちを出ることが決まってから、
わたしはなんだか幸せで満たされた気持ちでいっぱいだった。
なにがいちばん嬉しかったかというと、
ラッキーが通った瞬間に掴む決断が出来たことだった。
わたしはわたしが幸せになれないと決めていて、
それはとても大きな呪いだったのに、
自分で呪いを振りほどいて、幸せになる決断ができた。
そのことがいちばん、わたしの気持ちを満たしてくれた。
あれから半月。わたしは新しいおうちに引っ越した。
誰かがすぐそばで生活をする音がして、
それはなんだか心地よくて新鮮だった。
まだ部屋には段ボールがたくさんあって
荷解きをしてぐったり疲れて夜、即席の敷き布団に転がる。
わたしは明日がくるのが楽しみになった。
懐かしい孤独感たちがわたしのことを見にやってきて
諦めてすごすごと帰っていく。
もうお前たちにあげるものはなんにもないぞ。
新しい部屋の新しい主。
わたしはシェアハウスに住んでいる。
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