美少年蜥蜴【光編】/西尾維新

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読了日2020/01/05

視力を失うことが前提とされた、瞳島眉美たち美少年探偵団最後の戦い。
消えた美少年探偵団を追いかけて、眉美はかつて訪ねた野良間島へ向かう。

そこで見た衝撃の光景の中に美少年たちはいるはずなのに、誰も見つからない。
そんなことってある?

眉美は乱用を禁じられた視力を使い、美少年探偵団を見つけるべく彼らを探す。

やっていることは、眉美が野良間島に上陸して五重塔学園(眉美が命名)から美少年たちを探すというだけのことなのだけど。
瞳島眉美だからこそ、というか、語りが長いというか。
しかしそれだけではないから困った。

個人的に学生時代にあまり良い思い出がないタイプ(まったくないわけじゃない、ということは強調しておく)なのだが。
とにかく「学校」とはそこに所属する「学生」にとってはいわゆる「地球」であり「世界」であるわけよね。
だから「学校一」は、ほぼ「地球一」か「世界一」のように思える。
だから「学校(クラス)」でいじめられたら「世界」が終わる感覚さえする。

でも実際そんなことはない。
と言い切れないところもつらいよね。
だって「学生」の身分である以上「学校」は「世界」なのだから、「世界」から追い出されたら死ぬしか道はないと思っちゃうわけ。

ところがやっぱり、そんなことはないわけだ。
「うちのクラス(学校)は世界一♡」
みたいな意見も、それこそ地球中、世界中のクラスの数だけあるわけ。

だから「学生」という狭い「世界」しか知れない身の上では、身のまわりにあるものの中から世界一を見つけるしかない。
身のまわりから受け入れられなかったら、「世界」から見放された幻影というのも理解できるよね。

とまあ、気楽に読めるはずのラノベから深読みしてみた。
なぜなら指輪学園における一流の生徒たちだった美少年探偵団も、日本中の生徒と競わせたら、やっぱり狭い「世界」しか知らなかっただけの子どもに過ぎなかった現実を突きつけられたから。

だが例外たる眉美は、仲間たちを信じる。
だってこれは現実ではなく小説だから。

井の中の蛙大海を知らず、
されど空の青さを知る。

イイこと言うじゃん?

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