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DWH(データウェアハウス)が次なるバックエンドとしてもたらす新たな価値とは


WApps(ウェアハウス・ネイティブアプリケーション)という新トレンド

WAppsは「Data Warehouse Native Applications」の略で、顧客のクラウドデータウェアハウス上で直接動作するビジネスアプリケーションのことです。Snowflake、Redshift、BigQueryなどのDWH(データウェアハウス)を利用し、顧客データの「ソース・オブ・トゥルース」として機能します。ここでのキーポイントは、WAppsが顧客の既存のデータ構造に依存し、データを最大限に活用する点です。
従来のSaaSモデルとは一線を画すWAppsは、ベンダーが顧客データを自社のシステムにコピーして管理する必要がありません。これにより、セキュリティとデータの整合性が向上し、より効率的なデータ管理を可能にします。
さらに、WAppsの最大の利点の一つは、データベースの固定スキーマに縛られることなく、顧客が既に定義しているビジネスリレーションシップを利用できることです。これにより、データパイプラインの構築やETLツールの追加が不要になり、データの出し入れがより柔軟かつ迅速に行えるようになります。
WAppsは、クラウドデータウェアハウスの普及に伴い生まれたソフトウェア開発の新しいトレンドであり、ビジネスのデータ活用方法を根本的に変革しています。この記事ではWAppsの具体的な事例とトレンドに備えるために必要なことについてお話ししていきます。

リバースETLとの対比から見るWApps

WAppsを深く理解するために、リバースETLとの比較を行ってみましょう。
リバースETLとWAppsは、どちらもデータウェアハウス(DWH)を基盤にして発展してきました。DWHは、営業、マーケティング、財務などの各種ビジネスデータを一元管理するストレージシステムです。
例えば、SalesforceのようなCRMツールに蓄積されたデータは非常に価値がありますが、これらのデータを完全に活用するためには、より高度なデータ操作が必要になります。基本的に営業職の人にとってこれは無理難題でした。
リバースETLの出現は、このニーズに応えるためでした。DWHに蓄積されたデータをSalesforceなどのアプリケーションに再統合し、直感的に操作可能なダッシュボードを通じてデータを可視化することが目的です。既存のUIを変更せずに使い慣れたツールでより多くのデータをみることができるようになります。
一方、WAppsでは、意思決定のためのデータ分析の自動化に重点を置きます。DWHに蓄積したデータはあるが、意思決定を行うためのメトリクス作成に工数がかかったり、何を組み合わせればいいのか分からないといった課題を抱える経営層は少なくありません。
そこで分析からダッシュボード化までに特化したソフトウェアとしてWAppsが誕生しました。DWHに適切にデータさえ入っていれば、分析にかかっていた工数を削減し、意思決定にリソースを割くことができるようになります。

WAppsの具体的なユースケース

それでは、具体的にWAppsにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

Pocus 

Pocusは、Snowflake、Redshift、BigQueryなどのDWHと接続して動作するインサイトダッシュボードとオペレーションを備えたプロダクトレッドセールスプラットフォームです。製品開発、セールス、マーケティング、カスタマーサクセスといった役割における、製品活用状況を基にした施策アクションや、顧客のスコアリングといった指標をダッシュボードで簡単に管理できるようにしています。
従来、営業チームによる顧客のスコアリングは、複雑な手順が求められていました。まず、データチームの構築したBIツールをチェックし、ターゲットアカウントをソートし、機能の使用割合をチェックする。そしてSalesforceを開いて詳細を確認する。そしてOutreachでEメールを送信し、ステータス管理を自分のカレンダーに登録し、来週のアプローチを忘れないようにする…といった具合です。これは顧客数を伸ばす段階にあるスタートアップにおいて営業人員の拡充を必要とする致命的な成長方法です。Pocusでは、製品主導型営業(PLS)を推進し、製品使用状況、ダッシュボード構築、ワークフロー実施を全てノーコードで行うことで、営業人員の工数削減を実現します。

Metronome 

Metronomeは、DWHと連携し、製品の使用量に基づく従量課金ビジネスモデルをサポートするためのプラットフォームです。従来のSaaS企業は、固定料金に加えた従量課金モデルを採用していることが多いですが、価格設定の柔軟なテストを行うのは困難でした。なぜなら、SaaSの利用状況と価格設定をリアルタイムで連携させるためのインフラが必要だからです。
MetronomeプラットフォームではAPIを通じて、最新の使用データと支出データをダッシュボード、アナリティクスツール、通知ツールに取り込むことが可能です。また、自社製品とMetronome間で使用データを送受信することができ、利用状況に基づいて請求書を発行したり、アラートを検知するなどの機能を提供します。さらに、SalesforceなどのCRMシステムに利用状況と金額のデータをプッシュすることも可能です。
これにより、SaaS企業はより柔軟な課金プランを検証し、最適な価格形態を決定することが可能になります。Metronomeでは、事業の規模に関わらず、企業がハイブリッドなビジネスモデルへの移行をサポートします。
WAppsは、このように製品の利用状況とCRMを組み合わせた顧客スコアリングや、機能利用率と課金モデルを組み合わせた価格モデルの最適化といった従来の分析工数を大幅に削減する機能を実現します。企業が抱えるデータを、より細かな領域の分析に利用できるよう特化させたソフトウェアと捉えられます。

WAppsの活用に備えるために

クラウドデータウェアハウスの普及は、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールとしてのWAppsの活用を超え、より広範な用途へと拡大しています。特に注目すべきは、新しいWAppsの導入時にデータ入力の手間が省ける点です。これにより、従来のSaaSでは得られなかったスムーズなオンボーディング体験が実現します。現在、財務、顧客管理、マーケティング、セキュリティ、プロダクト開発など、多岐にわたる用途のWAppsが登場し、その数は増加し続けています。
WAppsを効果的に導入するための鍵は、DWHの適切なモデリングです。データの格納方法や整理の仕方を事前に計画することは、事業のスピードを加速させる基盤となります。
現代のクラウドデータウェアハウス時代に、時系列データの複雑な問題にも対応する実践的なモデリング技法として注目を集めているのは、Data Vaultモデリングという手法です。データを過度に正規化するのではなく、元データソースの情報を保持しながら、柔軟にデータマートを統合しやすくすることに重点を置いています。
こうした手法を参考に、自社リソースに適したモデリング構築が重要になってきます。

とはいえ、一枚岩な管理を組織ですぐに実行できるのか

DWHにおける効率的なモデリングの重要性を理解した上で、企業がWAppsの導入を検討する際には、いくつかの課題が存在します。特に、企業の規模が大きくなるほど、また既存のSaaSツールによってデータがサイロ化されている場合には、WAppsへの移行は一筋縄ではいきません。
データの整備から運用に至るまで、移行プロジェクトは様々な問題に直面する可能性があります。そのため、WAppsの導入を検討する前に、まずは組織内のデータサイロを解消するための具体的な計画を立てることが重要です。これには、データマッピングの作成を念頭に置いたデータマネジメント戦略の推進が必要です。

データマネジメントをするなら「Morph」

DWHの適切なモデリングとWAppsの運用を行うためには、部門をまたぎ、ツール間のサイロ化を解消しておく必要があります。そして、「Morph」はあらゆるデータ収集から格納、分析までをオールインワンで実行できるツールです。
例えば、PostgreSQLやMySQLなど自社プロダクトのサーバーサイドデータベース連携から、Salesforce / Hubspot等のCRMデータの取り込みは勿論、Mailchimpなどのマーケティングツールや、Stripeといった決済情報の取り込みに至るまであらゆるデータソースからのデーア収集を行うことができます。
さらにデータ加工や集計などはAIが担い、セキュアな権限設定機能を備えているため、SQLやPythonの知識は不要で、非IT人材の方でも分析を含めたノーコードでのデータ加工が可能となります。社内データマネジメントを始めるためのファーストステップとしてMorphを活用することで、DWHの最適化の準備を行うことができます。
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